ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論ゴルファーのための体感トレーニング|初心者向けメニュー6選

2018.11.01

ゴルフスイングではアドレスが重要です。スタートポジションである構えが安定していないことには、正しい動きをしようと思ってもできないからです。バランスの良い前傾姿勢をとることではじめて理にかなったスイングが行えるようになりますし、それを反復することが可能になります。

とはいえ正しいアドレスの知識があって、それを実践すれば全てうまくいくかというと、そうでもありません。猫背の人もいれば反り腰の人もいて、それがアドレスに反映されてしまうからです。まっすぐ立っているときは安定していても、前傾するとバランスが崩れる場合もありますから、体にそれを行う準備がないと、本当の意味での正しいアドレスは作れませんし、動いたときに安定した姿勢をキープすることができないのです。ですから、トレーニングによって立位の姿勢の安定と動きに対する体幹の安定を身に付けておく必要があります。

そこで今回は、スイングを通して安定した姿勢を維持できるようになる体幹トレーニングをご紹介。スイング中の動作に関しては、側屈や胸郭の回旋に慣れておくことが重要で、それには背骨の回旋や腹斜筋を使うトレーニングが有効です。関節の動きを伴うアイソトニック・トレーニングと筋肉を収縮させた姿勢を維持するアイソメトリック・トレーニングをバランス良く行って、いかなる状況でも安定した姿勢が維持されているスイングを手に入れてください。

背骨が自然に湾曲したニュートラルポジションにあるバランスの良いアドレスは、トレーニングによって体の各部の筋肉の状態やポジションを把握する力が養われることで得られる。

トレーニング1

キャット&ドッグ

脊柱を可動させることでアドレスのニュートラルポジションを知る
アドレスでは背骨から骨盤にかけてのラインがまっすぐになっていることが大事ですが、このとき背骨は自然な湾曲が保たれており、自分でその姿勢をつくるためには、ふだんから脊柱および骨盤を動かしてポジションを意識できるようにしておく必要があります。キャット&ドッグはそのためのトレーニングで、背中が丸まらない人は腹筋が使えないということですし、背中を反れない人は腹壁が硬かったり背筋が弱いということです。

①四つん這いになり背中をフラットにする。両手と両足は肩幅に開き、つま先を床につける。
②口から息を吐きながら、手で床を押すようにして背中を天井に向かって突き出し、丸める。背中が上に上がりきったところで3秒停止。
③鼻から息を吸いながら、肩甲骨を狭めるようにして背中を反らす。背中が反りきったところで3秒停止。終わったら①のポジションに戻り、これを10セット繰り返す。

トレーニング2

ソラシックローテーション

背骨(胸椎)の回旋がしやすくする
ダウンスイングでクラブをスイングプレーンに乗せるためにも、またクラブヘッドを加速させる上でも、切り返しで胸を開く動作が重要ですが、この動作を正しく行うためには、背骨(胸椎)の回旋をスムーズにしておく必要があります。肩甲骨の外転および内転の可動域も広げておきましょう。

①四つん這いの状態から右手を浮かせ、頭の後ろに添える。右ひじを内側に絞るようにして胸を左に向け、肩甲骨を広げる。
②右ひじを上げて肩甲骨を中央に寄せるようにして、胸を右に向ける。これを左右10回ずつ。腰から下は固定したまま、背骨を軸にツイストするようにして行い、体が起き上がらないようにする。

トレーニング3

エルボープランク

お腹周りの筋肉を鍛え正しい前傾姿勢をつくる
両ひじと両つま先で体を支え、体幹を板のようにまっすぐにキープするエルボープランクは、ゴルファーにとって必須のトレーニングです。腹直筋や腹斜筋といったお腹周りの筋肉やお尻の殿筋群、背中にある脊柱起立筋など、姿勢を維持するための筋肉を鍛えられるほか、全身の関節を固定維持する能力も高めることができます。このトレーニングを行う際には腹壁に意識を持ち、縦の長さが変わらないように気を付けましょう。

うつ伏せの状態から両ひじと両つま先の4点で支えて、腰を上げる。首の付け根と尾てい骨を結ぶラインが床と平行になるようにし、背骨はニュートラルポジション(自然な湾曲)を維持。体幹が安定した状態で10秒キープする。

キープしている間、胸郭の第10肋骨と上前腸骨棘の間の長さが変わらないようにすることがポイント。ここが長くなると腰が反るし、縮むと背中が丸まってしまう。

トレーニング4

サイドプランク

外腹斜筋と中殿筋を鍛える
ゴルフスイングで重要な体幹の側屈や回旋運動は外腹斜筋によるところが大きいので、ここもしっかり鍛えておきたいところです。そのために行う「サイドプランク」は「エルボープランク」と同様、関節を動かさず姿勢を維持しながら筋力が力を出し続けるエクササイズで、このようなトレーニングを「アイソメトリック」といいます。アイソ=等しい、メトリック=長さを意味し、筋肉が長さを変えないでパワーを出し続けるトレーニングになります。このように筋肉が収縮しっ放しのトレーニングは意識しやすく、スイング中にどこの筋肉が働いているかがわかるようになります。

横たわった状態で腹筋に力を入れて腰を上げ、左ひじ・両足側面の3点で体を支える。右手は背骨と直角になるよう天井に向けて伸ばす。体の中心ラインがまっすぐになるようにし、左右の腹斜筋の長さを変えないように意識しながら10秒キープする。

頭が落ちないように注意。

トレーニング5

シングルレッグブリッジ

姿勢の維持に重要な大殿筋を鍛える
姿勢の維持に大きく関係しているお尻の筋肉も鍛えましょう。筋肉への「気付き」を呼び起こすのがトレーニングの大きな目的で、意識して筋肉を動かせるようになると正しい姿勢がとれるようになりますし、動いても体幹の安定をキープできます。ポジションが不安定なことを察知し、修正できるようになれば、ゴルフのスキルか各段にアップするでしょう。

仰向けになり、両ひざを直角に曲げて、両手を合わせて天井に伸ばす。この状態から片足を伸ばし、お尻に力を入れて腰を上げる。足首から首までが一直線になるようにして、この体勢を10秒間キープ。

トレーニング6

サイドプランク・サイドベント

腹斜筋がアクティブになり側屈がスムーズに行えるようになる
肩や背中、腹斜筋、中殿筋を鍛えることのできる少し難しいトレーニングです。腹斜筋がアクティブになることで前傾姿勢の維持ができるようになるので、上級者はぜひ取り組んでみてください。

①左ひじをついて横向きになり、両ひざを直角に曲げる。

②お腹の横に力を込めて、できるだけ高く腰を上げる。体勢を維持しながら、右足をゆっくり上下させ、両ひざを開閉させる。足を上げるときに口から息を吐き、下ろすときに鼻から吸う。これを左右10回ずつ行う。

トレーニング指導
「タイカンズ」チーフトレーナー中川祥太朗

NSCA-CSCS、NASM-PES、NLPプロフェッショナルコーチ。オリンピック選手も指導できるストレングストレーナーで、これまでに1万人以上のアマチュアを指導している。


Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

撮影:阪上恭史 協力:タイカンズ新宿御苑店

「ゴルフ理論」の記事一覧へ