ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論ウェッジのスピンのかけ方は?
激スピンアプローチの打ち方

2018.10.18

アマチュアはプロのようにキュキュッ! とスピンがかかったアプローチショットを打つことができませんが、実はそれがドライバーで飛距離が出ないことと大きく関係しているのをご存じでしょうか?
えっ? アプローチが上手くなればドライバーが飛ぶようになるの? そう思った方も多いと思いますが、その通りです。いまからその理由をご説明しましょう。

なぜアプローチでスピンがかからないかというと、すくい打っているからです。ウェッジでボールを打ったときにスピンがかかる条件は、

① ロフトが立って当たること
② クラブフェースとボールがくっついている時間と面積が長い

ということになるのですが、すくい打ってしまうとこの条件を満たさないのです。アプローチ下手のピッチショットはロフトが寝た状態でボールに当たりますので、ボールの下をクラブが潜るようなインパクトになり、ポッコン! と上に上がるような球になるか、フェースに当たらずリーディングエッジに当たってトップになるか、のいずれかです。また左右対称のストロークで比較的上手く打てるという場合でも、②の条件を満たさないことにはいわゆる「激スピン」というようなものはかかりません。
ならば上から鋭角に打てばいいのかというと、そうでもなく、ワンバウンド目でスピンがほどけてピンを大オーバーといったことになりがちです。これはなぜかというとフェースターンがないからで、フェースを開いたまま打ち抜いてもボールとのくっつきが甘いのでさほどスピンはかからないのです。ダウンブローに打ち、なおかつしっかりとフェースターンを入れることで激スピンはかかります。

ところがアマチュアにはこの技術がないので、当然ドライバーでも同じインパクトが再現されるのですが、ドライバーの場合はすくい打つとフェースの下に当たってスピンがかかりすぎてしまいます。ロフトが寝て入ってくるとフェースでとらえる確率が低くなり、なおかつすくい上げるものですからフェースの下っ面に当たるのです。奇跡的にうまくフェースでとらえたとしても、フェースが上を向いているので打ち出しの高さに食われて距離は出ません。そのほかにはそもそもがダフりやすいなど、いずれにせよすくい打つ動きではドライバーをうまく打つのは至難の業です。

そこでおすすめしたいのが、きっちりとスピンがかかるようにアプローチショットのスイングを作り上げることで、ポイントは

① インパクトでロフトを立てること
② きっちりフェースターンすること

の2点です。といっても要領がわからないと思うので、具体的な練習の仕方を紹介しましょう。使用するクラブはロフト56°程度のウェッジ。このクラブで30ヤードぐらいのピッチショットを打ちます。バックスイングが上がったら、シャフトを軸回転させながら振り下ろしてボールをとらえてください。このとき意識してもらいたいのは左手の使い方で、左手でしっかりシャフトを回してください。そうすると手の甲が張ると思いますが、ここが重要なポイント。その状態でハンドファーストにインパクトできるように練習しましょう。もちろんインパクト付近では右手でもシャフトを回します。左右の手でバランスよくシャフトを回してフェースターンできればボールがフェースに乗るようになり、スピンがかかり始めます。
この練習で大事なのは打った後に手首を折らないことで、左手の甲を張り続けながら右手をターゲットに押し込むようにしてフェースターンを行います。うまくハンドファーストに当たらなければ左手の甲が下を向くぐらいのイメージで打ってみましょう。インパクトした後は絶対にクラブヘッドを跳ね上げず、シャフトが時計盤の4時ぐらいまでの振り幅で打ちましょう。打ち終わったときに両腕が伸びていること、左手の甲が張っていること、フェースがしっかりターンしていることをチェックしてください。

バックスイングで開いたクラブフェースを閉じながら当てることでスピンの効いた球が低く飛び出す。ポイントは左手の操作で、シャフトを軸回転させることによりインパクトは甲が張った状態になるが、そのままフェースを回し続けることでボールとフェースの接触時間が長くなる。

このスイングでヘッドを走らせると面白いようにスピンがかかりますが、ドライバーに持ち替えて同じように打ってみてください。そう、ドライバーでアプローチショットをするのです。クラブヘッドの慣性モーメントが大きいので4時の位置では止まりませんが、それで構いません。重要なのはドライバーでピッチショットを打つことです。おそらくいままでなかったようなぶ厚い打感を経験することになるでしょうし、アプローチの小さなスイングでもけっこう距離が出ることに驚くかもしれません。この練習を繰り返してボールのとらえ方が理解できたら通常のスイングで打ちましょう。強い弾道が出るはずですし、クラブを力任せに振り回すよりもよっぽど飛ぶことが理解できるでしょう。要は正しい動作でフェースターンを行って打つと、クラブ本来の機能が生かされるということで、ウェッジではスピンがかかりますし、ドライバーでは飛距離が出るのです。

ドライバーを短く持ってスピンアプローチと同じスイングで打つとハンドファーストでとらえることができ強い弾道になる。インパクトの後もしっかりフェースを回転させることがポイント。

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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