ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論シャフトはいつ「しなる」のか?
本当のしなりを使いこなす方法

2017.06.22

少しゴルフがわかってくると、ボールを飛ばすのは腕力ではなくシャフトのしなりだということを理解するようになります。また、スイングの軌道やテンポによって合うシャフトは違ってくるので、自分のポテンシャルを最大限に引き出してくれるシャフトを探すようにもなります。

しかし、本当にシャフトのしなりを感じられているかというとどうでしょうか? ほとんどとは言わないまでも、アマチュアの多くがスイング中のシャフトのしなりをリアルに感じていないのが現実ではないでしょうか。少なくとも、アベレージゴルファーのレベルでは、感じていないか、感じているとしてもインパクト付近に限定されていたり、手首の過度なアクションでしなりを作っていたりと、ここでいう本来の「しなり」とは違うものだったりします。

どんなスイングであれ、間違いなくシャフトはしなっているのですが、しなりを自分で作り、なおかつ感じ取ることが大事だというのが今回の話のテーマ。どこで感じるべきかというと「切り返し」です。改めてお聞きしますが、みなさんはバックスイングからダウンスイングへの切り返しでシャフトがグッとしなるのを感じたことがあるでしょうか? 「ある」という人は上級者でしょうし、「ない」という人はそこが技術的な「伸びしろ」といえます。切り返しでしなりを感じられるようになれば、スイングの質は上がります。

そもそもなぜ切り返しでシャフトのしなりを感じないかというと、大きな理由は2つあって、1つめはグリップが緩んでいること。そして2つめは、上半身と下半身の動きに時間差がないからです。バックスイングで腕が上昇している間に、下半身はダウンスイングの動作に入るのがプロや上級者のスイング。この時間差があるためにシャフトはしなるのですが、アマチュアにはなかなか難しい動きです。腕の上昇が完了し、いったん静止してからダウンスイングの動作を始めても、シャフトはしなりません。もちろん振り下ろすときにはしなりますが、それでは大きなエネルギーは発生しないのです。切り返しで発生したシャフトのしなりがダウンスイングで増幅され、インパクト付近でしなり戻ることで大きなエネルギーが発生するのであり、これが飛距離の出るシャフトの使い方といっていいでしょう。

シャフトのしなりを感じるにはノーコックで打ってみるといいでしょう。グリップしたら左右の手首を固定し、コッキングが入らないコンパクトなスイングでボールを打つのです。手首を固定しているとテークバック直後にシャフトがたわんで膨らみますが、まずこれが大事。その後、バックスイングが上がっている間に、下半身はダウンスイングの動作に移ってください。腕が上がっている間にバンプの動きを入れてしまうのです。こうすれば、切り返しでシャフトがしなるのを感じるはずです。そのまま打ってもいいですが、インパクトで手元を止めれば、しなり戻ったシャフトが強くボールを弾くことがより実感できるはずです。

もし自分のクラブでピンと来なければ、女性用のクラブ、もしくは練習用の極端に軟らかいシャフトが刺さったクラブでやってみてください。シャフトのしなるメカニズムがわかれば、スイング中の無駄な動きがなくなるはずですよ。

シャフトのしなりを感じる

手首を固めてグリップし、肩と腕でできる三角形を崩さずノーコックでボールを打つ。手首を使わなければテークバック直後にシャフトが膨らむが、これも大事な挙動。腕が上がっている間に下半身を切り返すとシャフトがしなり、しなり戻ってボールをとらえる。インパクトで手元を止めるとしなり戻りを実感できるのでやってみよう。

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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