ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論「右足の前で打て」は注意が必要!
上達の妨げになることも

2017.01.26

レッスンプロから「右足の前で打つように」と教わったことのある人はいるでしょうか? これはボールがつかまらないときの処方箋で、右足の前にボールがあるとイメージし、それを目標にまっすぐ打とうとすることでフェースをスクエアに戻そうという意図が込められています。初心者はどうしてもインパクトでクラブフェースが開いてしまうので、それを防ぐため、早めにアドレスの状態に戻してしまおうということですね。

確かに右足の前でフェースをスクエアにすれば、インパクトでフェースが開くことはないのですが、この「右足の前で打て!」というレッスンには副作用があることを知っておくべきでしょう。というのは、スイングがまだできていない段階で右足の前で打とうとすると、ほぼ確実に手首のコッキングがほどけてしまうのです。要はアーリーリリースになってしまうので、まっすぐ飛んだとしても飛距離が出ませんし、必要なスピン量も入りません。

多くの場合、こうしてまっすぐ飛ばせるようになったスイングをそのまま続けてしまうので、手首の「タメ」を使わないアマチュア的なスイングに落ち着いてしまいます。このままスコアをある程度出せるようになることもありますが、根本的にはスイングのシステムが悪いので、いつか上達が止まってしまいます。そうならないためには、あくまでも応急処置的なレッスンだということを知ることですし、一番良いのは、正しい動作で右足の前のボールを打てるようになることです。

では、どのように打てば良いかというと、ハンドファーストに当てることです。なおかつフェースがスクエアになっていることが必要ですが、このときの「スクエア」とはターゲットに対してではなく、クラブの軌道に対してスクエアということで、たとえば軌道が4度インサイドアウトだとすればフェースアングルは4度オープンになります。右足の前のボールを打ったとしたら、正面にある本来のボールに向かって飛んでいくのが正しいフェースの向きです。

ですから、右足の前のボールはコッキングが完全にリリースされないハンドファーストの状態でとらえることが重要です。その上でフェースが軌道に対してスクエアになっていれば正しい動作といえます。実際に球を打って練習する場合はティアップした状態で右足の前に置き、ターゲットよりやや右に飛び出せばOKです。当てっぱなしではなく、ボールをとらえてからクラブフェースが自然にターンしていくようなフェース使いができれば上級者といえるでしょう。

右足の前のボール

BAD:右足の前のボールをまっすぐ打とうとするとコッキングがほどけてしまうし、クラブが外から入ってきてインサイドに引っ張り込むような動作になってしまう。
GOOD:右足の前のボールを打つ練習はハンドファーストにとらえてこそ意味がある。フェースは軌道に対してスクエアなのでやや右を向いているのが正しい。

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

「ゴルフ理論」の記事一覧へ