ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論ゴルフの「タメ」とは?
作り方と習得のための練習ドリル

2016.04.27

みなさんは「タメ」という言葉をご存じでしょうか。
「タメ」もしくは「タメる」というように使うのですが、「タメ口をきく」「お金を貯める」のタメではありません。一般的にゴルフ用語の「タメ」とは、トップオブスイングで作られた手首の角度をダウンスイングでキープすることを指します。

「タメ」を作ってみよう

「タメ」を作ってみよう

A:アドレスしてからクラブヘッドを持ち上げシャフトを水平に。

B:クラブを右に回してシャフトを飛球線と平行にする。このときできる手首の角度が「タメ」。

聞くところによれば、欧米のゴルフ用語には「タメ」にあたる言葉がなく「ホーガン」と言ったりするようです。これは「ベン・ホーガン」から来ていて、インパクト直前までコックをほどかずにクラブを加速して打つベン・ホーガンの動きはまさに「タメ」のあるスイングそのものです。

さて、「タメ」の何がいいかというとやはり、クラブを加速させられることでしょう。手首の角度をほどくことを「リリース」といいますが、切り返し直後にリリースしてしまうと加速できないだけでなく、ハンドファーストにインパクトできないので、ダフりなどのミスも多くなってしまいます。
リリースが早いことを「アーリーリリース」と言いますが、アマチュアにはアーリーリリースが多く、上級者と差が出てしまうのはこの部分の動きにあるといっても過言ではありません。

ではどうしたら「アーリーリリース」を防ぎ、「タメ」を作って打てるようになるかというと、まずは手首の角度を作ってみることが近道です。アドレスしたらクラブヘッドを持ち上げてシャフトが水平になるようにしてください。次に、クラブを右に回してシャフトが水平かつ飛球線と平行になるようにしてください。このとき手首とシャフトにできる角度が「タメ」で、ダウンスイングでこの角度をインパクトの直前までキープして打てばいいわけです。

「タメ」を覚えるドリル

「タメ」を覚えるドリル

A:アドレスしてからクラブヘッドを持ち上げシャフトを水平に。

B:アドレスであらかじめ「タメ」を作った状態からバックスイングして打つ。
クラブはショートアイアンから始めよう。

C:グリップエンドをボールに向かって突き出すように振り下ろすとタメをキープできる。

D:インパクト直前で左肩を上げるとタメが自然にほどけてダウンブローにヒットできる。

試しに、体の正面でタメを作ったこの状態からバックスイングして打ってみてください。いままでタメを意識したことがなかった人でも、このドリルでタメを作れるようになるはずです。それでも早めにリリースしてしまうようなら、トップオブスイングからビリヤードのキューで球を突くようにグリップエンドをボールに向かって突き出すようにしてください。

慣れないとかなり違和感がありますし、振り遅れてボールが右に飛んでしまうように感じると思いますが、正しくタメを作って打つことができれば振り遅れることはありませんし、驚くほどクラブヘッドが加速します。さらには、タメをうまく使えるようになるとスイング中に視覚が変わらないのでミート率も上がります。
おそらく最も効率の良い飛距離アップ法だと思いますし、アイアンもうまく打てるようになりますので、ぜひトライしてみてください。

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

「ゴルフ理論」の記事一覧へ