ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論スイングを台無しにする「ある動作」とは?

2015.01.29

ゴルフレッスンには「リリース」という言葉がよく出てきますが、ご存じない方がけっこう多いのではないでしょうか。「リリース」とはバックスイングで作った手首の角度を元に戻すことです。もう少し詳しく説明すると、アドレスしたときに左右の手首に角度はあまりついていませんが、バックスイングすると両方の手首は親指側に折れます。この動作が「コッキング」で、ダウンスイングでコッキングをほどいて元の状態に戻す動きを「リリース」というのです。

ゴルフスイングではいつこのリリースを行うかが重要で、そのタイミングがショットの成否を分けるといっても過言ではありません。プロや上級者はリリースするのが遅く、インパクトの直前でコッキングをほどきますが、そうすることでクラブヘッドを最大限に加速させることができるからです。

一方、多くのアマチュアはダウンスイングした直後にリリースしてしまいます。この動作を「アーリーリリース」というのですが、コッキングを早くほどいてしまうと、クラブヘッドを加速できないだけでなく、ダフリやトップ、スライスや引っかけなど、さまざまなミスの要因になってしまいます。

ベン・ホーガンは有名な『モダンゴルフ』の中で「両腰がダウンスイングを起動する」と述べていますが、これはアーリーリリースを防ぐための重要なポイントです。トップオブスイングから手でクラブを振り下ろそうとするから、切り返し直後にコッキングがほどけてしまうのであり、手や腕は何もせず、両腰を回転させれば手は自然に腰の高さまで下りてきます。このとき手首の角度はトップの状態のまま保たれていることが望ましく、この角度のことを「タメ」というのです。

『モダンゴルフ』は味のあるペン画のイラストが特徴的ですが、このダウンスイングの動作は次のように描かれています。トップオブスイングを完成させたホーガンの左手首とベルトのバックルがゴムひもでつながれていて、腰を左に回すとゴムひもが腕とクラブのユニットを腰の高さまで引っ張り下ろすのです。

ベン・ホーガンは名著『モダン・ゴルフ』で「両腰が左に回転することで、自動的に両腕と両手が腰の高さまで引き下ろされる」と解説している。このとき手首のコッキングはまだほどかれていないが、これが「タメ」であり、ボールをまっすぐ遠くに飛ばす秘訣だ。

ベン・ホーガンは名著『モダン・ゴルフ』で「両腰が左に回転することで、自動的に両腕と両手が腰の高さまで引き下ろされる」と解説している。このとき手首のコッキングはまだほどかれていないが、これが「タメ」であり、ボールをまっすぐ遠くに飛ばす秘訣だ。

ホーガンは、「両腰を左にねじ戻す動きから始まる体の全連鎖運動がスピードを増し、ゴルファーの力を10倍以上にも増す」と指摘する一方で、「この素晴らしい機構を台無しにする一番確かな方法は、ダウンスイングの始動を腰から始めないで、両手からやりだすことだ。未熟なプレーヤーはほとんどがこれをやる。両手からやり出したら、そのとたんにもうグッドショットのチャンスを殺したことになるのだ」と言っています。その表現の激しさから、アーリーリリースをどれほど悪しき動きであると考えていたかがわかりますね。

手でクラブを引き下ろすと、切り返し直後にコッキングがほどけてしまうが、これが「アーリーリリース」で、さまざまなミスショットを引き起こす。

手でクラブを引き下ろすと、切り返し直後にコッキングがほどけてしまうが、これが「アーリーリリース」で、さまざまなミスショットを引き起こす。

『モダンゴルフ』が出版されたのが1958年。その前年に権威あるスポーツ誌『スポーツ・イラストレイテッド』に5回に渡って連載されたホーガンの技術論をまとめたもので、いまなお世界中で最も読まれているゴルフレッスン書といっていいでしょう。半世紀以上の年月が過ぎ、クラブやボールが大きく変わったいまでも、プロを含む大勢のゴルファーがそこに書かれていることを信じ、実践しているのは驚くべきことですし、それだけに、ホーガンが力説している「腰からダウンスイングを始める」という指摘は、時代を超えたゴルフスイングの真理といっていいのではないでしょうか。

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

「ゴルフ理論」の記事一覧へ