ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論考えすぎはミスのもと!ラウンド前のウォーミングアップの心得

2015.02.26

人間の動作には意識的なものと無意識なものがあります。たとえば歩く動作はほとんどの人が無意識に行っています。みなさんは腕をどう振ろう、足をどう運ぼう、と考えながら歩いているわけではありませんよね。つまり、意識しなくても「歩行」という動作はできるのです。

ゴルフの上級者は、「ティを拾う」という動作も無意識で行うことが多いですね。ティショットを放った後、いつの間にかポケットにティが戻っています。もちろんどこかに飛んだティを手で拾い上げ、ポケットにしまいこむのですが、ティショットと一連の動作になっているため、無意識のうちに行っているのです。ミスをすると、ティがふだんとは違った飛び方をするので、「どこにいったかな?」と探すことはありますが、ナイスショットをしたときは、ほぼ自動的にティがポケットに戻っているといっていいでしょう。

ゴルフの上達は、このような無意識にできる動作をいかに増やせるかにかかっているともいえます。ボールを打つときに、どう構えて、どう振り上げて、どう振り下ろして、どんな感じでボールをとらえて、どこに振り抜くか、こんなことをいちいち考えていたらスムーズなスイングはできないからです。上級者になればなるほど「クラブを振る」「ボールを打つ」という動作を無意識に行っていて、そのぶん、どうやってそのホールを攻めようかというコースマネジメントに意識がいっているものです。

朝イチのティショットがうまくいかないのはこのせいで、初心者やアベレージゴルファーはいろんなことを考えすぎるんですね。不安なあまり、クラブの握り方やバックスイングを上げていく方向、クラブフェースの向き、といったことが頭の中を駆け巡るのでしょうが、そういったことを意識すればするほどいつものように動けなくなり、ミスをする確率は高くなるといっていいでしょう。

そういうことにならないように、ラウンド前の練習で意識すべきポイントを絞っておくことが大事です。何も意識しないでボールを打ってみて、その結果からその日に気を付けるべきことを見つけるのです。右手の力を抜くこととか、インパクトで体が開かないこと、あるいはボールの位置など、意識すればショットが改善するポイントは必ずあるものです。理想的には1つ、どんなに多くても2つ、そのポイントを見つけることを朝のウォーミングアップのテーマにしてください。

そして朝イチのティショットを成功させるもう1つの方法は、あらかじめ1発ミスショットを打っておくことです。どういうことかというと、朝の練習の最後に、スタートホールのティショットで使うクラブで1発真剣に打つのです。もしうまく打てれば本番でも同じように打てばいいですし、ミスショットが出たら、その日のポイントを思い出してティグラウンドに上がるようにしてください。

OBを打ってしまった後の2発目は、力が抜けてうまくいくことが多いものです。あの状態を作ることができれば、誰もが苦手な朝イチのティショットをうまく切り抜けられるはずですよ。

朝イチから飛ばすねキミ ハイ部長! 気持ちの上では2発目ですから!

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

「ゴルフ理論」の記事一覧へ