家族であり、ライバルでもある岩井千怜選手の優勝から遅れること3か月、スタンダード・ポートランドクラシックで優勝を勝ち取った岩井明愛選手。ハワイでサーフィンに挑戦するなど、プライベートでも充実ぶりを見せる彼女のアメリカ生活はどのようなものなのか。そして、ゴルフよりも好きだと気付いたスポーツとは?
いつも千怜に先を越されるので
海外メジャーは先に勝ちたいです
優勝した週はホテルの窓から見た夕陽がめちゃくちゃ綺麗でした
― まずは何より米ツアー初優勝おめでとございます!ルーキーイヤーに勝てるという予感はあったんですか?
明愛正直なかったです。やはり千怜の優勝が大きくて、そのおかげというのもありましたね。
いつも先に勝つのは千怜で、「自分も勝たなきゃ」まではいかないですけど、「勝ちたいな」という思いが強くなってきて、頑張ろう!と思える良い刺激をもらえました。
― 千怜さんが5月に優勝してからの3か月はどういう気持ちで過ごしていましたか?
明愛早く追いつきたい、私も優勝したい、と思っていました。
― メジャーは先に勝ってやろうという思いはありますか?
明愛正直ありますね。
― 優勝した週ですが、なにか予感させるような出来事とかはありましたか?
明愛ふとしたときに予感めいたものはありますね。たとえばホテルの部屋から見た夕陽がとても綺麗なときがあるんですが、そんなとき「今週いいことありそうだな」と感じます。日本の試合だったんですけど、午後試合終わりでランニングしていて、困っている様子の方がいたので助けたことがあるんです。「自分にいいこと返ってくるかも」なんて思っていたら、その週優勝したりとか。で、アメリカで初優勝した週ですが、いま思えば夕陽が綺麗でしたね。説明しにくいんですけど、いいことありそうだな、と思っていたら勝てました。
― 米ツアーを転戦しながらも、SNSや報道などで拝見するとプライベートがかなり充実してそうですが、どのように時間を作っているんですか?
明愛休みなく試合には出てますが、たまに2週間空いたりすることもあるので、そこで遊んだりしています。どこに行くかをチームで話し合って決めてます。ダラス・カウボーイズの練習場に行けたのは千怜がプロアマでカウボーイズの選手と回ったからですね。
― ハワイではサーフィンにも挑戦していましたね。
明愛サーフィンはやってみたかったんです。初めての割にはできたほうかなと思ってます。2時間のレッスンだったんですけど、波が来たときに先生が押してくれたりしていたので、まだ完璧に乗りこなせないのは悔しいです。今後も機会があったらやってみたいですね。
― 食事はどうしているんですか?
明愛外食が多いです。日本食、イタリアン、中華などいろんなお店に行きますけど、自分としては基本日本食がいいですね。ただチームの中ではいろいろ変えていったほうがいいね、という方針なので、いろいろ食べに行ってます。千怜と食べ物の好みは合っているので揉めたりはないですけど、たまに食べたいものが違った場合は千怜の意見を通すようにしています。面倒臭いんで(笑)。
― 海外ツアーは移動が大変だと言われますが、この1年でトラブルとかはなかったんですか?
明愛飛行機が遅れることが多いですし、乗り継ぎ便の予約が取れていなかったりが重なって、空港で10時間以上待ったこともありました。
― アメリカでの生活は好きですか? 好きな町とかありましたか?
明愛好きです。どこが好きというよりは、ホテルに必ずジムがあったり、トレーニングができる環境が整っているのがいいですね。試合会場も雰囲気が明るくて、コミュニケーションがフランクというか、楽しい感じなので、そこはいいなと思います。好きな町はダラスのフリスコですね。穏やかな雰囲気で、治安もいいらしいです。
子供の頃に魅力を知っていたら
F1ドライバーになっていたかもしれません
― さて、ここで先日行ったHonda GOLFのキャンペーン参加者から寄せられている質問があり、それに答えていただきたいと思います。
まず最初の質問は「長いキャリアの中で、技術向上に一番効果があった練習は?」というものですが、いかがですか?
明愛いつも練習の最初に58度のウェッジで片手打ちをやっているんですけれど、片手打ちはゴルフを始めたときからずっとやっていて、良い練習だと思います。手打ちにならないように、体と腕が同調するように意識することが大事です。
― 次の質問に行きます。「緊張する場面で自分を落ち着かせる方法は何かありますか?」こちらはどうでしょう。
明愛ないですね(笑)。経験上、緊張しているときに何かやって気持ちをほぐそうとしても結局落ち着かないので、その場の雰囲気に任せています。
― 「試合前に必ず行うルーティンはありますか?」という質問も来ています。
明愛朝起きて髪の毛を必ず洗う!
― それって試合の日じゃなくてもやりますよね? 試合前のルーティンではないかも。
明愛確かに(笑)。試合前に必ずやることはないかもしれませんね。
― もっと早く知りたかったことはありますか? たとえばジュニアの頃の自分に会えたとして、何かアドバイスしてあげたいことはありますか?
明愛最近思うのが、「F1レーサーになりたい!」ということなんです。というのも鈴鹿にF1を見に行く機会をいただいて、めちゃくちゃカッコいいな!と思ったんです。それからはF1のインスタをフォローして結果とかをチェックしているんですけど、子供の頃にこの魅力を知っていたらF1ドライバーになっていたかもしれません。
― F1の魅力を早く知りたかった、と?
明愛はい。F1カーを運転してみたいですね。
― 最後の質問になりますが、今後のビジョンというか、どういうふうにステップアップするイメージを持っているかを聞かせてください。
明愛今シーズンはもう1勝したいなと思いますし、来年はメジャーで勝ちたいなと思っていますが、自分のペースでコツコツ頑張れればいいかなと。具体的にはパッティングのスタッツを上げれば自然に毎週良い位置で戦えるとは思うので、そこは意識して、入る確率を上げていきたいです。
取材・文
Honda GOLF編集部 小林一人
Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。