夢にチャレンジ!Special Interview 笹生優花 / 岩井明愛 / 岩井千怜 夢にチャレンジ!Special Interview 笹生優花 / 岩井明愛 / 岩井千怜

2024年10月4日(金)〜6日(日)にスタンレーレディスホンダゴルフトーナメントが開催され、Hondaの協賛選手であり、今年2度目となる全米女子オープンを制した笹生優花選手と、Hondaの所属選手であり、姉妹で日本ツアーをけん引する岩井明愛、岩井千怜選手が揃って出場し大会に華を添えました。Honda GOLFは舞台となった東名カントリークラブに駆け付け、凱旋帰国した笹生選手と米ツアーへの挑戦を表明した岩井姉妹に緊急インタビューを実施!

夢に向かって突き進む彼女たちのそれぞれの胸の内をお伺いしました。

編注:本インタビューは2024スタンレーレディスホンダゴルフトーナメント終了直後に実施したものです。岩井千怜選手は、スタンレーレディスホンダゴルフトーナメントから3試合後の樋口久子三菱電機レディスゴルフトーナメントで、見事今シーズン3勝目を挙げました。

2024.11.21

笹生優花 ゴルフ人生を終えるまでにどれだけ成長できるかが一番大事なことだと思います 笹生優花 ゴルフ人生を終えるまでにどれだけ成長できるかが一番大事なことだと思います

2度目のメジャーに勝っても、
変わったことはありません

― お疲れさまでした。久しぶりの日本の試合はどうでしたか?

笹生1年ぶりの日本の試合でしたが、3日間できたことが良かったと思います。雨が心配でしたが、2日目に27ホールを消化できましたし、最終日は晴れたので気持ち良くプレーできました。疲れましたが、楽しかったです。

― 今年2つめのメジャータイトルをとりましたが、何か変わったことはありますか?

笹生1回目に勝ったときは日本での生活からアメリカでの生活に変わったので、生活自体が凄く変化したということがありましたが、2回目はあまり…。自分では変化はないと思っています。

― ゴルフ関連の場所に行くと気付かれて大変じゃないですか?

笹生そうでもないです。自分が気付いてないだけかもしれませんけど(笑)。そもそも外出しないほうなので、そういう経験があまりないのかもしれません。

― 家にいるのが好きなんですか?

笹生はい。家にいるのが大好きで、遊びなどは家でできるものをやっています。外食にもあまり行きませんし、練習も日本では外に行かず自宅のインドア施設で行います。アメリカでは近くのコースで練習しますが、日本では芝から打てる練習場がないので、ちょっと打ちたいなと思ったら自宅で練習します。

― 勝負どころでの強さには定評がありますが、現在のプレースタイルになったのはいつぐらいからですか?

笹生プレースタイルはアマチュア時代から大きく変わることはありません。自分の意識も変わっていないし、周りから見ても変わってないと思います。ただプロになってミスの幅が狭くなったかもしれませんね。そこは頑張って改善しようとしているところで、最近ではティーショットが安定してきたのと、アイアンショットだとミスの幅が狭まっているとは思います。もちろんいいときも良くないときもあるので、ミスしたときに大きなミスにならないように、というのは課題ですね。

集中力がしっかりあるうちに
練習することを意識しています

― どうすれば笹生選手のように強くなれるのか、ここはみなさん興味があるところだと思いますが、ふだんはどういう練習をしてますか?

笹生特別なことはやっていないと思います。人間ができるぐらいの練習です(笑)。ただ子どものころからトレーニングや身体のケアはしっかりやってきたのと、ゴルフの練習では距離感を大事にしています。ショットの距離感やアプローチやパッティングの距離感は意識して練習していますね。

― 練習量に関してはどうですか?

笹生球数はたくさん打ってきました。毎日500球ぐらいだったと思います。いまでも練習場に行くと球を打つほうで、気付かないうちに打ち過ぎてしまうので気を付けています。今日は1時間で終わり、2時間で終わり、と決めて打つようにしていますね。もちろん球数を打つのも大事ですが、数を打つだけではダメで、しっかりゴール(目的)を持ってやろうと心がけています。集中力が持続する時間は決まっているので、6時間練習したからといって集中力が続くかというとそうではないので、集中力がしっかりあるうちに集中して練習することを意識しています。

― スイングで悩んだりはしないほうですか?

笹生悩みますけれど、そんなに深くは考えなくて「なんとかなる」と思っています。

― 今年の全米女子オープンでは勝負所のパー4で1オンを狙いに行くなど、積極的なプレーが目立ちましたが、そのあたりの行く、行かないはどのように決めていますか?

笹生選手には場面場面で感じるものがあると思うんで、攻めていけるなと感じれば行くし、一歩引いたほうがいいな、と感じることもあります。だから「つねに攻める」とかではなくて、そのときの感覚で決めていますね。昔は一歩下がることができなくて、全部攻めていくという感じだったので、そこは変わったかもしれません。

― 誰もが欲しいメジャータイトルを2つ獲得しましたが、このあとどういうモチベーションを持って進化していきますか?

笹生特に変わりはなく、これから自分がゴルフ人生を終えるまでにどれだけ成長できるかが一番大事なことだと思うので、日々成長できるように頑張りたいなと思います。

― 笹生選手にとっての「成長」とは?

笹生ゴルフだけではなく、人間としても成長したいです。ゴルフの成長はもちろん大事ですが、それ以外のことも大事だと思うので。ただプロゴルファーはゴルフ場とホテルにしかいないという生活になるので、いろんな人に会って人間的に成長するという経験が少なくなるじゃないですか。それを補うという意味で、本を読んだりしなきゃとはいつも思っているのですが、実際にはできなくて、家では寝ている時間が多いですね(笑)。

― 最後の質問になりますが、これまでのゴルフ人生で記憶に残る一打があれば教えてください。

笹生えーどれだろう? 考えたことありません。

― みなさんの記憶に新しいのはこの間の全米女子オープンでしょうね。最終ホールのアプローチショットが凄かった! という声を聞きますが。

笹生じゃあそれにします(笑)。

岩井明愛 何かを変えるということはせず、ありのままの自分を貫きます 岩井明愛 何かを変えるということはせず、ありのままの自分を貫きます

海外でもできる、とは
思いたくない
チャレンジ精神を
忘れずにいきます

― 今週は降雨で初日のスタートが大幅に遅れるなど、大変なスケジュールだったと思いますが、振り返っていかがでしたか?

明愛今週は楽しくて、あっという間の3日間でしたね。天候もいろいろありましたけど、ホステス大会を楽しめたかなと思います。

― 今シーズンのここまでに関しての自己評価は?

明愛海外メジャー大会にも挑戦できましたし、日本でもふたりで5回勝てているので、結果的には良いシーズンではないかと思いますが、残りの試合も頑張りたいですね。

― ここまで明愛選手が3勝、千怜選手が2勝と素晴らしい成績だと思いますが、お互いの戦いぶりを見て変化を感じたりする点などはありますか?

明愛千怜は自分の順位を知ってプレーしていくのが上手いなと思います。緊張するっていいますけれど、緊張しているように見えませんし。

― 姉妹とはいえ、年間で複数回優勝するトップ選手がここまで一緒にいることはあまりないと思いますが、ふだんの生活で意識しますか?

明愛あまりないですね。ひとりになりたいとも思わないし、相手に刺激を受けて自分も頑張れる感じです。

― 12月に行われる米女子ツアーの最終予選会にエントリーしたとのことですが、海外への挑戦を決めたきっかけや抱負などがあれば教えてください。

明愛もともと海外に挑戦したいという気持ちはあって、タイミング的にチャレンジするのは今年なのかなという感じですね。ただ「海外でもできる」とは思いたくなくて、なぜかというと、できると思って行って失敗したときのギャップとかもあるからです。あくまでもチャレンジャーなので、チャレンジ精神を忘れずに行きたいと思います。

― 予選会まで残り2か月ですが、どういう準備をしますか?

明愛何かを変えるということはしないほうがいいので、ありのままの自分で行けばいいかなと思っています。

前回のインタビューでお父様から「困っている人がいたら助ける。ひとりぼっちの子がいたら仲間に入れてあげる。やられて嫌なことはしない。女の子と小さい子にはやさしくする」という言葉を聞いて育ったという話がとても印象的だったのですが、ご自分が大事にしている言葉や、将来お子さんができたときに言ってあげたい言葉はありますか?

明愛人にやさしく、ですかね。人にやさしくするのは難しいし、自分でもできてこなかったところもいっぱいあるから、そのぶん大事だよ、っていうところは伝えたいですね。

岩井千怜 どうせやるなら限界を超えてみよう、という気持ちが大事だと思います 岩井千怜 どうせやるなら限界を超えてみよう、という気持ちが大事だと思います

残りの試合で
すべて優勝するつもりで
頑張ります

― 今週はHondaの主催大会でということで気合が入ったと思いますが、振り返っていかがでしたか?

千怜もう少し頑張りたかったな、というのはありますね。ただその中でも、みなさんの応援で楽しくできたかなと思います。ホステス大会なので予選は通らなきゃという思いが強かったんですが、2日目は最後までどうなるかわからなかったので緊張しました。最後にバーディーを取れたので良かったです。今年一番緊張した試合かもしれませんね(笑)。

― 今シーズンは2勝を挙げていますが、ここまでの戦いぶりを自己評価するなら?

千怜2つ勝てましたけど、今年の目標は10勝することだったので、あと8つですね(笑)。残り7試合しかありませんが(笑)、全部勝てるように頑張ります!

― 明愛選手の戦いぶりを見て、昨年から変化を感じたりする点などはありますか?

千怜いつも一緒にいるのでどこが変わったかわかりませんが、明愛はすごく落ち着きがあるなとは思っています。緊張とかしないように感じますし、ベテランみたい(笑)。

― 姉妹でありながら、試合ではライバルとなるトップ選手同士ですが、ふだんの生活でやりにくかったりすることはありますか?

千怜言われてみればそうかな、という感じで意識することはありませんが、向こうが優勝したら自分も頑張るという気持ちで切磋琢磨していけますね。

― 姉妹揃って米女子ツアーの予選会に出場を表明されましたが、海外への挑戦を決めたのはいつ頃でしたか?

千怜昨年から海外メジャーに行くようになりましたけど、海外で戦う中で「思い切り戦ってみたいな」という気持ちが出てきました。手ごたえがあるからということではなく、まだ全然イメージもできていませんが、いままでやってきたことは間違いではなかったし、これから残りの試合も頑張っていけば予選会までいい流れを作っていけるのではないかなと思っています。

― 米ツアー挑戦に向けて特別な準備などは考えていますか?

千怜明愛もそうだと思いますが、何かを変えることはありませんね。

― お父様からの言葉に大きく影響を受けたということですが、千怜さん自身に将来お子さんができたときに言ってあげたい言葉はありますか?

千怜どうせやるんだったら全力でやろう! と思います。勉強はあまり得意じゃないので何も言えませんけど、トレーニングなんかも嫌々やるよりは、どうせやるなら限界を超えてみよう、という気持ちでやるといいと思います。

取材・文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。