
ゴルフには9つのメジャー大会がある
競技ゴルファーが最も憧れるのがメジャー大会のタイトルを取ることです。現在メジャー大会は男子が4つ、女子が5つで合計9大会あります。最も歴史が古いのは男子の全英オープンで、第1回の開催は1860年、来年は第149回大会を迎えます。全米オープンが始まったのが1895年で、来年は第120回大会。全米プロゴルフ選手権が創設されたのは1916年です。みなさんよくご存知のマスターズは1934年創設と、4大メジャーの中では最も新しい大会です。
男子のメジャー大会
大会 | 創設 | 主催 |
---|---|---|
全英オープンゴルフ選手権 | 1860年 | R&A |
全米オープンゴルフ選手権 | 1895年 | USGA(全米ゴルフ協会) |
全米プロゴルフ選手権 | 1916年 | 全米プロゴルフ協会 |
マスターズトーナメント | 1934年 | オーガスタナショナルGC |
女子のメジャー大会で最も歴史が古いのは全米女子オープンで、1946年創設。来年は第75回大会です。次いで古いのは全米女子プロゴルフ選手権で、1955年創設。以下、歴史がある順に列挙すると、ANAインスピレーション(1983年メジャー昇格)、全英女子オープン(2001年メジャー昇格)、エビアン選手権(2013年メジャー昇格)となります。
女子のメジャー大会
大会 | 創設 | 主催 |
---|---|---|
全米女子オープンゴルフ選手権 | 1946年 | USGA(全米ゴルフ協会) |
全米女子プロゴルフ選手権 | 1955年 | 全米女子プロゴルフ協会 |
ANAインスピレーション | 1972年 (1983年メジャー昇格) |
|
全英女子オープンゴルフ選手権 | 1976年 (2001年メジャー昇格) |
R&A |
エビアン選手権 | 1994年 (2013年メジャー昇格) |
欧州女子ゴルフツアー/全米女子プロゴルフ協会 |
そもそも、なぜメジャー大会なのか?と疑問に思う方もいると思いますが、はっきりとした定義はありません。主力選手が出揃う権威ある大会が、自然にメジャー大会と呼ばれるようになったというのが実情です。男子の場合、昔は全英オープン、全米オープン、全英アマ、全米アマが4大メジャーと呼ばれていました。これはプロゴルファーとアマチュアゴルファーの実力差がなかったからで、1930年に年間グランドスラムを達成したアマチュアのボビー・ジョーンズが手にしたのは、これら4つのタイトルです。その後プロゴルフが隆盛になり、ボビー・ジョーンズが創設したマスターズが成長を遂げると、自然に現在の4つの大会がメジャーと呼ばれるようになりましたが、その時期は20世紀後半に入ってからといわれています。
女子は昇格が多く、ANAインスピレーションは米国の歌手、ダイナ・ショアの企画で始まり、コルゲート・ダイナ・ショア、ナビスコ・ダイナ・ショアとして親しまれた試合が、1983年にメジャー昇格。全英女子オープンは1976年から開催されていましたが、2001年にメジャー昇格しました。エビアン選手権も同様に、2013年に昇格しました。逆に、デュモーリエクラシック(現・カナディアン女子オープン)のように2001年にメジャーから降格した例もあるなど、女子の場合は各国のゴルフ協会が話し合って、メジャー大会とするかどうかを決めているようです。
日本人のメジャーチャンピオンは2人
メジャー大会は賞金が高いとともに、世界ランキング算出の元となる基礎ポイントが高くなります。またそれ以上に、タイトルを取れば「メジャーチャンピオン」としてリスペクトされるので、選手たちは目の色を変えて挑んできます。それだけに勝つのは難しいのですが、栄冠をつかめばゴルファーとしての地位は保障されたといっても過言ではありません。これまでに日本人選手でメジャータイトルをつかんだのは、樋口久子(1977年全米女子プロ)、渋野日向子(2019年全英女子オープン)の2人で、男子はまだいません。ちなみにメジャーで最多優勝を誇るのは、男子は18勝のジャック・ニクラウス。女子は15勝のパティ・バーグです。昨今のゴルフツアーは競争が激しく、メジャーを複数回優勝するのも大変な状況なので、ランキングの顔ぶれは伝説のプレーヤーばかりであり、現役選手でこの記録を抜く可能性があるのはタイガー・ウッズのみといっていいでしょう。
メジャー勝利数
●男子 | ||
1位 | ジャック・ニクラウス | 18勝 |
2位 | タイガー・ウッズ | 15勝 |
3位 | ウォルター・ヘーゲン | 11勝 |
4位 | ベン・ホーガン | 9勝 |
4位 | ゲーリー・プレーヤー | 9勝 |
●女子 | ||
1位 | パティ・バーグ | 15勝 |
2位 | ミッキー・ライト | 13勝 |
3位 | ルイーズ・サックス | 11勝 |
4位 | ベーブ・ザハリアス | 10勝 |
4位 | アニカ・ソレンスタム | 10勝 |
過去10年のメジャー大会優勝者
●男子全英オープン | |
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2019 | シェーン・ローリー |
2018 | フランチェスコ・モリナリ |
2017 | ジョーダン・スピース |
2016 | ヘンリク・ステンソン |
2015 | ザック・ジョンソン |
2014 | ローリー・マキロイ |
2013 | フィル・ミケルソン |
2012 | アーニー・エルス |
2011 | ダレン・クラーク |
2010 | ルイス・ウーストハイゼン |
全米オープン | |
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2019 | ゲーリー・ウッドランド |
2018 | ブルックス・ケプカ |
2017 | ブルックス・ケプカ |
2016 | ダスティン・ジョンソン |
2015 | ジョーダン・スピース |
2014 | マルティン・カイマー |
2013 | ジャスティン・ローズ |
2012 | ウェブ・シンプソン |
2011 | ローリー・マキロイ |
2010 | グレアム・マクダウェル |
全米プロ | |
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2019 | ブルックス・ケプカ |
2018 | ブルックス・ケプカ |
2017 | ジャスティン・トーマス |
2016 | ジミー・ウォーカー |
2015 | ジェイソン・デイ |
2014 | ローリー・マキロイ |
2013 | ジェイソン・ダフナー |
2012 | ローリー・マキロイ |
2011 | キーガン・ブラッドリー |
2010 | マルティン・カイマー |
マスターズ | |
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2019 | タイガー・ウッズ |
2018 | パトリック・リード |
2017 | セルヒオ・ガルシア |
2016 | ダニー・ウィレット |
2015 | ジョーダン・スピース |
2014 | バッバ・ワトソン |
2013 | アダム・スコット |
2012 | バッバ・ワトソン |
2011 | シャール・シュワーツェル |
2010 | フィル・ミケルソン |
●女子
全米女子オープン | |
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2019 | イ・ジョンウン |
2018 | アリヤ・ジュタヌガーン |
2017 | パク・ソンヒョン |
2016 | ブリタニー・ラング |
2015 | チョン・インジ |
2014 | ミシェル・ウィー |
2013 | パク・インビ |
2012 | チェ・ナヨン |
2011 | ユ・ソヨン |
2010 | ポーラ・クリーマー |
全米女子プロ | |
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2019 | ハンナ・グリーン |
2018 | パク・ソンヒョン |
2017 | ダニエル・カン |
2016 | ブルック・ヘンダーソン |
2015 | パク・インビ |
2014 | パク・インビ |
2013 | パク・インビ |
2012 | フォン・シャンシャン |
2011 | ヤニ・ツェン |
2010 | クリスティー・カー |
ANAインスピレーション | |
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2019 | コ・ジンヨン |
2018 | パーニラ・リンドベルグ |
2017 | ユ・ソヨン |
2016 | リディア・コ |
2015 | ブリタニー・リンシコム |
2014 | レクシー・トンプソン |
2013 | パク・インビ |
2012 | ユ・スンヨン |
2011 | ステイシー・ルイス |
2010 | ヤニ・ツェン |
全英女子オープン | |
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2019 | 渋野日向子 |
2018 | ジョージア・ホール |
2017 | パク・インビ |
2016 | アリヤ・ジュタヌガーン |
2015 | パク・インビ |
2014 | モー・マーティン |
2013 | ステイシー・ルイス |
2012 | シン・ジエ |
2011 | ヤニ・ツェン |
2010 | ヤニ・ツェン |
エビアン選手権 | |
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2019 | コ・ジンヨン |
2018 | アンジェラ・スタンフォード |
2017 | アンナ・ノルドクビスト |
2016 | チョン・インジ |
2015 | リディア・コ |
2014 | キム・ヒョージュ |
2013 | スーザン・ペターセン |
世界中のゴルファーが憧れる
マスターズトーナメント
男女合わせた9つのメジャー大会の中で、最も注目度が高いのはマスターズでしょう。現地で観戦するのに最もハードルが高いのもこの大会で、チケットを入手するのは至難の業。地元の人々を中心に割り当てられたチケットは、代々受け継がれるシステムなので新たに購入することは非常に難しく、スポットで観戦する場合はチケット保持者から借りる形が普通です。それゆえにエージェントによるチケットの管理は厳しく、観戦ツアーの参加者がパスをなくしでもしたら大変なことになります。またメディアが取材をするのも難しく、大会への貢献が認められないとパスが発行されることはありません。さらに、絶対的な決定権を持つ主催者の厳格な運営方針もあって、マスターズトーナメントは、いまなお神秘的な雰囲気を持ち続けています。毎年舞台が同じなので、世界中のゴルフファンはオーガスタナショナルゴルフクラブの18ホールは知り尽くしていますが、その実体となると「よくわからない」というのが本当のところで、この秘密主義的スタンスは今後も続くでしょう。もっとも、だからこそ世界中のゴルファーが憧れる大会にまで成長したともいえますし、マスターズは運営方法も含めて、ゴルフのメジャーそのものなのです。
さて、2020年も4月初旬のANAインスピレーションを皮切りに、8月の下旬までメジャー大会が続きます。ゴルフ観戦ファンにとってのトップシーズンであり、放送を見続けると時差の関係で寝不足になることも多くなるこの時期。メジャーを制する3人目、4人目の日本人選手が出ればそんな疲れも吹っ飛ぶことでしょう。
2020年ゴルフカレンダー
●男子大会 | 日程 | 競技会場 |
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マスターズ | 4月9日~4月12日 | オーガスタナショナルGC (アメリカ・ジョージア州) |
全米プロゴルフ選手権 | 5月14日~5月17日 | TPCハーディングパーク (アメリカ・カリフォルニア州) |
全米オープン | 6月18日~6月21日 | ウイングドフットGC (アメリカ・ニューヨーク州) |
全英オープン | 7月16日~7月19日 | ロイヤルセントジョージズGC (イングランド) |
大会 | 日程 | 競技会場 |
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ANAインスピレーション | 4月2日~4月5日 | ミッションヒルズCC (アメリカ・カリフォルニア州) |
全米女子オープン | 6月4日~6月7日 | チャンピオンGC (アメリカ・テキサス州) |
KPMG全米女子プロゴルフ選手権 | 6月25日~6月28日 | アロニミンクGC (アメリカ・ペンシルバニア州) |
エビアンチャンピオンシップ | 7月23日~7月26日 | エビアン・リゾートGC (フランス) |
全英AIG女子オープン | 8月20日~8月23日 | ロイヤルトゥルーンGC (スコットランド) |