マメ知識

ゴルフの雑学・マメ知識ハンディキャップインデックスとは?
その仕組みや決め方

2019.11.14

2020年1月から世界中のゴルファーが
同じハンディキャップシステムでプレーする

いよいよ2020年1月から、世界統一ハンディキャップシステム(WHS)が導入されます。現在は6つの団体(ゴルフ・オーストラリア、英国およびアイルランドのナショナルゴルフ連盟協議会<CONGU>、ヨーロッパゴルフ協会<EGA>、南アフリカゴルフ協会<SAGA>、アルゼンチンゴルフ協会<AGA>、および全米ゴルフ協会<USGA>)が、それぞれ別個のハンディキャップ制度を運用しています。今回、新たに開発されたWHS(ワールドハンデキャップシステム)によって、世界中のゴルファーの技量が相対的に評価できるようになると共に、公平に競い合えるようになります。日本で取得したハンディキャップインデックスが15なら、どこの国でも15でプレーすることができますし、コースの難易度を加味した適正なハンディキャップで競技に出場できるのです。

ハンディキャップインデックスとは、ゴルファーの技量の指標になるもので、競技とレクリエーションラウンド両方のスコアカードを提出することで取得できます。通常は20枚中ベストの8枚で算出されますが、最小3ラウンド(54ホール)で取得できます。査定する上では、コースコンディションと気象条件が考慮され、大叩きしたホールがあっても、ハンディキャップ査定用のスコア上限はネットダブルボギーまで。ハンディキャップの上限は、男女ともに54.0となります。

では、具体的に新しいシステムで、どうプレーすればいいかを説明しましょう。まずは、ハンディキャップインデックスの取得です。日本でプレーしているゴルファーは、スコアカードをJGA(日本ゴルフ協会)に提出することで取得します。これが、世界のどこに行っても通用する、身分証明書のようなものになるわけです。実際にコースでプレーする際には、必ずどのティーを使用するかを選択します。コースには難易度を示すコースレーティングと、スロープレーティングがあり、使用ティーによってその数値は変わりますので、それらの数値と、ハンディキャップアローワンスが必要な場合は、それを加味してその日のプレーイングハンディキャップが決定されます。

その日コースで使用するティーのスロープレーティングを確認しよう



プレーイングハンディキャップを決めるうえで重要なスロープレーティングって何?

スロープレーティングは馴染みのない言葉だと思いますが、これはコースレーティングと同じく、コースの難易度を示す指標です。コースレーティングは、ハンディ0のスクラッチプレーヤーがプレーした場合、いくつで回れるかを基準にした数値です。上級者と初・中級者が競う場合、公平な競技にならないということで、スロープレーティングが考案されました。同じコースレーティング72のコースが複数あったとき、上級者と初・中級者がプレーした場合に、スコアに差が出てきてしまうからです。ハンディ0のゴルファーは、どのコースでもパープレーで回れますが、ふだんボギーペースで上がってくるゴルファーは、あるコースで90を切ることもあれば、別のコースで100以上叩いてしまうということが起こります。飛距離差や技術差でこういうことが起こるのですが、これではレベルの違うゴルファーが集まるハンディキャップ競技が開催しにくいため、スロープレーティングが導入されたのです。

【コースレーティング】
→スクラッチプレーヤーにとってのコース難易度

【スロープレーティング】
→すべての技量のゴルファーにとってのコース難易度

「スロープレーティング」は、コースレーティングとボギーレーティングの数値差に基づいて算出されます。「ボギーレーティング」とは、標準的な技量のゴルファー(男子:ハンディキャップインデックス20前後、女子:ハンディキャップインデックス24前後)が、いくつで回れるかという尺度です。コースレーティングとボギーレーティングの差が大きければ、スロープレーティングの数値は大きくなり、コースレーティングとボギーレーティングの差が小さければ、スロープレーティングの数値は小さくなります。数値の幅は、55から155で標準値は113です。


スロープレーティングの計算方法


コースハンディキャップの計算方法

このシステムがどう運用されるかというと、たとえばハンディキャップインデックスが25.0のゴルファーが、スロープレーティング140の比較的難しいコースでプレーする場合、コースハンディキャップは31となります。一方、スロープレーティング90の比較的やさしいコースでプレーする場合は、コースハンディキャップは20となります。同様に、ハンディキャップインデックス4.0のゴルファーが、スロープレーティング140のコースをプレーする場合、コースハンディキャップは5となります。スロープレーティング90のコースをプレーする場合は、コースハンディキャップ3とります。これにより、異なるティーイングエリアからプレーするゴルファー同士でも、公平なコースハンディキャップで対戦することができます。



技量が異なる複数のゴルファーによる
チーム戦にも有効なシステム

「ハンディキャップアローワンス」とは、異なるコースハンディキャップのプレーヤーが対戦する際に、ハンディキャップを調整することで、マッチプレーの場合は、2人のプレーヤーのコースハンディキャップの差(100%)を、ハンディキャップの多いプレーヤーが受け、ハンディキャップの少ないプレーヤーは、スクラッチでプレーします。たとえば、ハンディキャップ17と13のプレーヤーが対戦する場合、ハンディキャップ17のプレーヤーは、4打のハンディを受け、ハンディキャップナンバー1~4のホールで1打ずつ受けます。ストロークプレーの場合は、チーム戦で技量に大きな差があるプレーヤーが組むと有利になるので、調整の必要があります。そのため、フォアボールストロークプレーの場合は、男子90%、女子95%のコースハンディキャップを適用します。また、フォアサムストロークプレーの場合は、パートナーの合計コースハンディキャップに50%を適用します(ただし、ティーショットでパートナー間の良い方を選べる場合は40%)。

世界中どこででも技量の異なるゴルファーが対戦を楽しむことができるようになる

このように、世界統一ハンディキャップが導入されることによって、技量の異なるゴルファーが世界中どこででも自分に合ったティーからプレーして、公平な競技が行えるようになります。2019年のルール改正時の理念と同じく、すべてのプレーヤーがストレスなくスムーズなプレーができるようにと考えられているので、1ホールで自分の技量以上のスコアを叩いたら、その時点でボールをピックアップして次のホールに進むこともできます。その競技には入賞できませんが、ホールアウトしないホールがあっても、その事実を記入すればスコアカードを提出することはできます。そのスコアにコースコンディションと気象条件が考慮されて、新しいハンディキャップインデックスが決定されます。こうして、世界中のゴルファーが、つねに現時点での技量を正確に反映したハンディキャップインデックスを保持することで、より公平にゴルフを楽しむことができるようになるのです。


Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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