マメ知識

ゴルフの雑学・マメ知識初心者はバンス角12度以上を!
失敗しないウェッジの選び方

2019.05.16

バンスはウェッジのダフリ防止機能

スコアメークにおいてショートゲームの重要性が高いのは言うまでもありませんが、アマチュアは意外と道具に無頓着なものです。ドライバーはよく買い替えてもウェッジは長いこと同じものを使っている、という方も多いのではないでしょうか。しかし、パーオンが当たり前のプロとは違い、アマチュアはグリーン周りからアプローチする機会が多いのでウェッジ選びはかなり重要です。自分に合っていないウェッジを使っていることでミスになっている場合もあるので、一度見直してみてはいかがでしょうか?

さて、ウェッジには「バンス」というソール部分の出っ張りがありますが、これがミスショットを未然に防いでくれます。というのは、ソールが地面と当たったときにバンスが跳ねるので、多少手前からクラブヘッドが入ってもソールが滑ってくれるのです。また、バンスが効いていればインパクト時にロフトが立つ挙動が起こるので、アマチュアにありがちな、クラブがボールの下を潜ってボールが飛ばないというミスも起こりにくいのです。
なお、バンスはもともとバンカーショットのために考案されたもので、バンスのないウェッジでバンカーショットをするとクラブが砂に潜ってしまいます。バンスが跳ね返る勢いで砂を爆発させてくれることで、エクスプロージョンショットが打てるというわけです。

ウェッジのソール部分の出っ張りをバンスといい、水平面に対する出っ張りの角度をバンス角という。一般的にこの角度が12度以上あるウェッジをハイバンスといい8度以下はローバンスという。

バンス角が大きいほどミスを防いでくれる

ではバンスが効いていればいいのかというと、必ずしもそうではありません。ミスを防いでくれることは間違いありませんが、多彩なショットを繰り出すプレーヤーにとってはバンスが邪魔になることもあるのです。特にフェースを開閉しながら打つピッチショットや、真上に飛び出すようなロブは、「ローバンス」といってバンス角が少ない(8度以下)ウェッジのほうがやりやすいのが事実です。いや、そんな難しい技術は使わない、自分はフェースを開かずに使うタイプだよ、というならバンス角12度以上の「ハイバンス」を選ぶことをおすすめします。アプローチで球筋を打ち分けるなんて考えたこともないよ、という人はくれぐれもバンス角8度のウェッジなんて買わないように!

ハイバンスが合うタイプ

★バンカーショットが苦手
★ダフリのミスが多い
★フェースは開かないで使う

ローバンスが合うタイプ

★フェースを開いて使いたい
★いろんな球筋で寄せたい
★自分でスピンをかけられる

ソールのグラインドはフェースを開いて使うためのもの

バンスの効き方はソールの形状でも変わってきます。幅が広ければそれだけバンスが効くのでミスの許容度が高くなります。アプローチが苦手でダフリが怖いという人は、ハイバンスに加えて、ソールの幅が長くインパクトの際に地面に当たる部分の面積が大きいものを選ぶといいでしょう。一方、アプローチが得意でフェースを開いて使いたいという人には、ソールのトレーリングエッジ側にグラインドが入って、ソールが三日月のような形をしているウェッジが用意されています。ツアープロはこのタイプを使うことが多いですが、利点はフェースを開いたときにバンスが邪魔をしないということです。フェースを開いて当てたり閉じて当てたりと自由自在な一方、ミスの許容度が低いことを知っておきましょう。フェースを開いて使わないにもかかわらず、こういうソールのウェッジを使うのはミスの確率を高めるだけなので要注意。

グラインドしていないのでソールが平らで幅が広い。フェースを開かずに使うとバンスが効く。バンカーショットが簡単。

トレーリングエッジ付近をややグラインドしてあるのでバンス効果はほどほど。フェースを開かずに使う人に合うが、開いて使うこともできる。

三日月ソールでバンスの実質的な幅が狭い。フェースを開いて使う人のためのグラインド。上級者向き。

ウェッジを2本、ないし3本キャディバッグに入れる時代ですが、腕前およびウェッジの使い方とバンスがマッチしていないとスコアを損してしまいます。特に、最もロフトの寝ているウェッジは要注意で、必ず自分のプレースタイルに合ったものを選ぶようにしましょう。場合によってはバンカーショット専用のウェッジを入れておくのも手です。サラサラの柔らかい砂はソールが広くないと潜ってしまって距離が出せませんし、硬い砂では逆にバンスが効きすぎていると弾かれてトップしてしまいますから、コースに合ったバンカー用のウェッジをチョイスするといいでしょう。そして、どんなウェッジを使うにせよ、リーディングエッジが地面に刺さるような使い方をしないこと。ソールを地面で滑らせるような使い方をすることで、ウェッジはその機能を発揮します。

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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