マメ知識

ゴルフの雑学・マメ知識硬さ・トルクの目安は?
自分に合ったシャフトの選び方

2018.08.23

クラブを買うとき、気に入ったモデルが決まってから「さてシャフトはどれにしよう?」と考えると思いますが、このチョイスを間違えると大変です。せっかく手に入れたピカピカのクラブがコースで威力を発揮しない…なんてことにもなりかねないので、ここは慎重に選びたいところ。というわけで、今回はシャフトのスペックに関する基本的な話をしたいと思います。

シャフトのスペックで重要なのは、①重量、②フレックス、③トルク、④調子の4つです。

まず重量ですが、これは単純にシャフト単体の重さで、ドライバーなら30グラム台~80グラム台、アイアンなら70グラム台~130グラム台が現実的な選択の幅になります。選び方の目安は、パワーがあれば重たいものを、なければ軽いものを、ということになりますが、一般的なアマチュアにはドライバーで50グラム台、アイアンで100グラム前後が基準になります。標準よりもややパワーがあればドライバーで60グラム台、アイアンで110グラム前後、非力ならドライバーで40グラム台、アイアンで80グラム台であれはしっかり振っていけるはずです。シャフトの重量はモデル名に反映されていることが多いので、比較的判別しやすいでしょう。

次にフレックスですが、これは硬さの基準で硬いほうからX、S、SR、R、Lなどと表示します。詳しく言うと固有振動数といって、片側を固定しておいた状態でシャフトを弾き、一定の時間にどれだけ振動するかで分類します。ただし、どの数値ならどのフレックスという定義がなく、メーカーの主観でフレックスは決定されます。ここはあまり難しく考えず、一般的なパワーならR、少しパワーがあればSを選べば良いと思います。男子プロがXを使うのは曲がるのを嫌うからで、飛距離だけならSのほうが飛ぶケースも少なくありません。アマチュアはそもそもシャフトを上手にしならせることができないので、フレックスに関しては無理のないものを使うべきでしょう。

トルクとは軸方向の回転のしやすさを数値化したもので、通常は2.0~7.0ぐらいで表示されます。これは一定の力を加えたときの回転角度で、数値が大きいほどヘッドがついたときにフェースターンが起こりやすいということになります。通常は4.0前後、フェースターンができず右に飛んでしまう初心者は5.0前後、自分でシャフトを軸回転させて球をつかまえることのできる上級者は3.0前後というチョイスになります。これはドライバーの場合の数値で、アイアンはトルクが表示されていないことが多いので、トルクの数値を気にする必要はありません。

調子は、シャフトのどの部分がしなりのポイントとなるかで元調子、中調子、先調子と分類され、元調子は手元に近い部分がしなりの頂点になるように膨らみ、同様に中調子は真ん中、先調子は先端近くがしなりの頂点になります。多くの場合、各モデルの純正シャフトは中調子に設定されていることが多いですが、これは「まったく合わない」という事態を防ぐためで、実際問題としてほとんどの場合は中調子で問題ありません。ただし、ゴルファーの数だけスイングやタイミングがあるので、どのタイプはどの調子が合うとは断定しにくく、たとえば切り返しでシャフトに大きな負荷をかけるタイプは手元の剛性が弱いと球が暴れてしまうので、手元から真ん中がしっかりした先調子が合いますし、いきなりタメをほどいてしまうような人は、手元をしならせてクラブ全体を加速できる元調子だと距離を稼ぐことができます。またアイアンの場合、上級者が使うようなスチールシャフトは、高さを抑えた弾道になるよう元調子に設計されているモデルが多く、アベレージ向けの軽めのスチールシャフトは球が上がるように先~中調子に設定されていることが多いです。

剛性分布図

シャフトの剛性分布図はチップ(先端)からバット(手元)にかけての剛性を折れ線グラフにしたもので、グラフが直線に近いほど均等にしなるということになる。グラフのどこかの部分が極端に落ちていれば、そこがしなりの起点(キックポイント)になるということであり、2か所が落ちていればダブルキックポイントなどと表現する。

以上4つの要素を説明しましたが、やはり重要なのは重量で、しっかり振れる重さのシャフトを選びましょう。その上で、ドライバーだったら自分のスイングに合った調子とフレックス、アイアンなら実力に応じたフレックスを選ぶことがポイントになります。オーバースペックはいいことがないので、迷うようならRを選ぶことをおすすめします。とかく背伸びして硬いシャフトを使いたがりますが、しなりを感じられないし、自分でしならせることができるようにならないのでやめましょう。

カーボンシャフト

ドライバーのシャフトは、モデル名に重量とフレックスが表示されていることが多い。たとえば6Sとあれば60グラム台でSフレックスということ。

スチールシャフト

アイアンのシャフトは重量が選ぶ上での最重要ポイント。スチールシャフトはモデル名に重量がそのまま表示されていることが多い。


Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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