マメ知識

ゴルフの雑学・マメ知識スコットランドのゴルフ場事情、
本場のリンクスの特徴は?

2013.08.29

ゴルフ発祥の地であるスコットランドでのゴルフは、日本のゴルフ場でのプレーとは大きく違います。
まず全く違うのが景色。本場のリンクスは背の高いフェスキュー芝が生い茂り、一見そこがゴルフ場だとは分からないほどの荒野です。ティショットを放ち、フェスキュー芝のラフの間を抜けていくとようやくフェアウェイが現れますが、そのフェアウェイはうねっていて、平らな場所などどこにもありません。地面が硬いためボールはどこまでも転がり、転がっていく果てには必ずといって深いポットバンカーが口を開けて待っている、といった印象です。

ピンが立っていなければ、そこがゴルフ場だと分からないような一面の荒野(Royal Aberdeen Golf Club)

ピンが立っていなければ、そこがゴルフ場だと分からないような一面の荒野
(Royal Aberdeen Golf Club)

バンカーは深く、ミルフィーユのように土を何層にも重ねて造られたアゴはまるで垂直かのようにそびえ立っています。砂はきれいに均されているわけでもなく、自然のまま。入れてしまえば必ずといっていいほど脱出に1打を費やさなければなりません。

バンカーのアゴは垂直に近い。レーキはバンカー内に置かれている(Castle Stuart Golf Links)

バンカーのアゴは垂直に近い。レーキはバンカー内に置かれている
(Castle Stuart Golf Links)

グリーンの形状で多いのが凹型です。日本のゴルフ場は凸型の砲台グリーンが多いですが、スコットランドの歴史あるリンクスではグリーン面が周辺よりも低くなっている場合が多いのです。このようなグリーンを「パンチボウル」といいますが、文字通り、調理に使うパンチボウルにその形が似ているからですね。
ではなぜパンチボウル型のグリーンが多いかというと、昔は散水設備が発達していなかったので、グリーン面を低くして水分を確保していたのです。雨水をグリーンに集める工夫だったんですね。
この先人たちの知恵がプレーに面白みを加えているのがリンクスの魅力かもしれません。アプローチショットは基本的に転がしになりますが、水の流れを読むことがプレーラインを読むことにつながり、的確な場所にボールを打ち出すと、すっと転がってグリーンに到達します。パターを使えることが多いので、アプローチショットが苦手な人でも楽しめるのがリンクスのゴルフです。

パンチボウル型のグリーンは雨水を集めるための工夫だった(Cruden Bay Golf Club)

パンチボウル型のグリーンは雨水を集めるための工夫だった
(Cruden Bay Golf Club)

強い風もリンクスの大きな特徴であり、最大のハザードでしょう。追い風ではどこまでも転がっていきますし、向かい風だと押し戻されてしまいます。200ヤードのパー3を9番アイアンでオーバーすることもある一方で、ドライバーでも届かないことがあるのがリンクスでのゴルフなのです。このため、連続したホールで風向きが一定にならないように、レイアウトが配慮されていることが多いですね。

このように、日本の常識とは全く異なるのがスコットランドのリンクス。好き嫌いはあるでしょうが、それを確認するためにも、機会があればぜひ一度プレーされることをおススメします。

文・写真
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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