・・・ある冬の日、
一緒に出かけないかと誘った兎がなかなか
現れないので、
愛車のクロスカブを磨いて待っていると、ようやく兎がやってきました。
すっかり体が冷えてしまったことを伝えると、
「そうか、君には毛がないからねえ。じゃあ僕のバイクの後ろに乗っていいよ。
ほら、シートが広くてステップも付いてるだろ。原二は二人乗りもできるんだ」
走り出してみるとびっくり。
兎の暖かい毛のおかげで、蛙はまったく寒さを感じません。
そうしてしばらく走っていると、
道端にお地蔵さんを見つけました。
寒そうに立っているのを気の毒に思い、
蛙は自分のマフラーをかけて
あげることにしました。
「君は優しいんだね」
「僕は二人乗りで、もう十分に暖かいから」
そんなことがあった翌朝、
蛙が目を覚ますと、家の中にはたくさんの餅と宝が
自分のマフラーと一緒に置いてあります。
びっくりした蛙は飛び上がり、
天井に頭をぶつけてしまいました。
・・・「いててて。あれ???」
痛みで目を覚ました蛙の前には、同じように痛がっている兎がいます。
どうやら兎と出かける約束をして待っていた蛙は、
寒さのあまり冬眠しかけ、夢をみていたようでした。
痛みで頭を抑えながら兎が言います。
「さあ出かけよう。君は寒さに弱いから、今日は僕と二人乗りで遊びに行こうか」
誘ってくれた兎に感謝しながら、なんだか良いことが起きそうだと蛙は思ったそうな。
・・・つづく。