GENTSUKI CLUB

大海を知るの巻

真夏の太陽が、まだ目を覚ましたばかりの朝。
たくさんのひまわりに囲まれて、
寝ぼけ眼で水浴びをしていた蛙のもとに、
兎がやってきて言ったそうな。

“これから猿と海に行くんだけど、一緒に行かないか”
海? 故郷の田んぼで育った蛙は海を知りませんでした。

“とても大きな水たまりで舐めると塩からいんだよ”
楽しげに話す兎の様子に、海が見たくてたまらなくなり、
蛙は一緒に猿のところに向かうことにしました。

「バイク屋 Honda」に着いてみると、猿は牛の背に荷物をのせ、
準備万端で待っています。
“牛はやめて、原二で行こう”と猿を説得する兎。
しぶしぶ納得した猿は、愛車のモンキー125をひっぱり出してきました。

いくつも街を抜けて、
炎天下をヘロヘロになって走っていると、やがて、遠くに海が見えてきました。
故郷の田んぼとは比べものにならない海の大きさに目を丸くする蛙。
道は、そのまま海沿いをまっすぐに。のんびり走る牛たちを追い越しながら、
潮風を思いっきり、深呼吸。

ちょっと遊んでいこうか。
猿の提案に大賛成!とばかりに原二を停め、海で大はしゃぎする蛙と兎。
“ちょっと”だけのつもりが、気がつけば、すっかり日も暮れてしまったそうな。

ドーン!ドーン!

びっくりした蛙が空を見上げると、空に、大きなひまわりが咲いた。
“あれは、花火っていうんだよ”
蛙は、教えてもらった花火を眺めながら、
しみじみと今日を振りかえったそうな。
こんなに遠くまで来られた原二の楽しさと、
大海の広さを知った、素敵な一日を。

・・・つづく。

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