ツチフキ
分類
コイ目コイ科ツチフキ属
学名
Abbottina rivularis
別名
スナモロコ、ドロモロコ
  • 特 徴
分布
濃尾平野、近畿地方、山陽地方、九州北西部に自然分布。宮城県や関東平野に移植。
大きさ
最大で10cmに達する。
釣期
3~12月によく釣れる。
棲んでいる場所
平野部の浅い池沼、流れのない用水、河川敷内のワンドなどの泥底または砂泥地に棲む。
生活史
産卵期は4~6月で、雄は浅くて流れが緩い砂泥底にすりばち状の巣を掘り、雌に沈性粘着卵を産みつけさせる。卵は多量の寒天質様物質を含んで径2.5~3.0mmと非常に大きく、表面に砂や泥の粒子を付着させてカモフラージュされる。卵は受精後5~6日で孵化し、その間は雄によって保護される。仔稚魚には明瞭な浮遊期がなく、ふ化後すぐに底層を遊泳して索餌をはじめる。満1歳で5~8cmに成長し、雌より雄の方が大きくなる。雑食性で、ユスリカ幼虫、イトミミズ、デトリタス、浮遊動物、付着藻類などを食べる。砂泥底で底質とともにエサを吸い込み、鰓孔から砂泥を出す捕食行動からその名がついた。
特徴
日本産のコイ科魚類の中では、カマツカ(Pseudogobio esocinus esocinus)とともにもっとも底生魚としての体制が強化された種である。体はやや縦偏し、吻はややとがり、眼は高い位置にある。口は吻端の下方に開き、1対の口ヒゲをもち。胸ビレと腹ビレは大きく、水平位にある。肛門は腹ビレのやや後方に位置する。下顎端から胸ビレ基底までの腹面には鱗がない。カマツカとは、唇に乳頭状突起がない(カマツカにはある)こと、体形が太短いこと、吻が短いことで見分けられる。ドロモロコの別名のとおり、カマツカよりいっそう泥っぽい底質を好む。自然分布地では近年激減しており、特に淀川では20年以上記録が絶えている。環境省レッドリストで絶滅危惧ⅠB類に指定されている。
主な釣り方
一般的な淡水小物のウキ釣り仕掛けを用いる。底生生活に特化している本種を専門にねらうには、エサが底から離れないようこまめにウキ下を調節することが必須となる。ポイントは流れが緩いかほとんどない場所で、小型立ちウキに道糸0.6~0.8号、ハリス0.4~0.6号、赤虫バリやタナゴバリを用いる。エサは赤虫や練りエサで、釣り始めにはグルテンやバラケ系のエサを用いて魚を寄せるとよい。
美味しい食べ方
通常は食用にされないが、白身でクセはない。素焼きや丸揚げで食べるのが一般的で、小型魚は佃煮の原魚にされることがある。旬については不明。
※この図鑑は、釣り人のために作られています。
そのため魚の名称は標準和名ではなく、釣りの人の間で呼ばれている通称名が使われているものもあります。
※環境省レッドリスト等の掲載種については、法令・条例等で捕獲等が規制されている場合があります。必ず各自治体等の定めるルールに従ってください。
  • 特 徴