スマ
分類
スズキ目サバ亜目サバ科スマ属
学名
Euthynnus affinis
別名
ヤイト、スマガツオ、キュウテン、ホクロ、ワタナベ、モンスマ
分布
兵庫県浜坂から長崎県の日本海・東シナ海沿岸、相模湾から屋久島の太平洋沿岸域、伊豆・小笠原諸島、琉球列島に分布
大きさ
最大で1mを超える。
釣期
回遊魚のため地域や年によって異なる。沖縄や小笠原では通年釣れるが、本州太平洋岸では8~10月と釣期が限られる。
棲んでいる場所
単独か小さな群れで外洋の表層を広く回遊する。
生活史
日本沿岸における産卵期は夏だが南方ほど長くなり、北赤道海流沿いでは冬期を除く8カ月にも及ぶ。特定の産卵場はもたず、受精卵は径1.5mmで水面に浮き、1日あまりでふ化する。仔稚魚期から強い魚食性をもち一緒に生まれた兄弟を共食いするが、エサが乏しい外洋域における生存戦略である。成長は速やかで、満1歳で1kgに育って釣りの対象となり、満2歳で成熟する。カツオの仲間としては沿岸性が強く、島しょ部では磯際まで回遊する。寿命は6歳前後と考えられている。
特徴
最大の特徴は胸鰭下方の腹部に数個ある黒斑点で、これがお灸(ヤイト)の痕のように見えることから「ヤイト」という通称で広く呼ばれている。この黒斑の大きさや数には個体差があり、特に大型個体では小さく目立たない。そこで、第1背鰭基部から尾柄部にかけての背面にあるサバに似た背模様の存在を併せて確認するとよい。本種の背模様は虫食い状から虫食いが連なった線状で、線状の場合は前方斜め下に流れる傾向がある。
主な釣り方
個体数は多くなく、本種単独では大きな群れもつくらないので専門にねらう釣りはないが、カツオやソウダガツオ類と混泳していたものが混じって釣れる。釣り方はカツオに準じ、活イワシエサの泳がせや一本釣り、ルアーで釣れる。島しょ部では陸っぱりでも釣れ、ヒラマサをねらった磯や防波堤からのカゴ釣りや泳がせ釣りでしばしば顔を出す。外道と言うにはもったいないゲストであり、ライトラックルで専門にねらってみても面白い。
美味しい食べ方
旬は秋から春で、知る人ぞ知る美味な魚。身はカツオに似た赤身で、刺身はネットリ感があって味が深い。焼き物でも旨い。マグロ類に比較すると小規模な施設で飼えて扱いやすいので、クロマグロの代替として愛媛県や和歌山県では養殖が行なわれており、今後口にできる機会が増えるかもしれない。
※この図鑑は、釣り人のために作られています。
そのため魚の名称は標準和名ではなく、釣りの人の間で呼ばれている通称名が使われているものもあります。