ムロアジ
分類
スズキ目スズキ亜目アジ科ムロアジ属
学名
Decapterus muroadsi
別名
ムロ、アカゼ、アカゼムロ、キンムロ、マムロ、アジサバ、ムレシ
分布
北海道太平洋沿岸、津軽海峡から九州南岸までの太平洋沿岸、伊豆諸島、秋田県から九州南岸までの日本海・東シナ海沿岸、瀬戸内海(稀)、琉球列島に分布する。
大きさ
最大で60cmになる。
釣期
周年にわたって釣れるが、5~7月が最盛期。
棲んでいる場所
沿岸や島しょの周辺の表層から中層を群れで遊泳する。
生活史
産卵期は5~6月で、分離浮性卵を産む。1産卵期中に複数回産卵する。孵化後の成長は速やかで、満1歳で成熟する。潮通しのよいエリアを遊泳しながら動物プランクトンや小型の甲殻類を捕食し、大型個体では小魚も食べる。寿命は4~5歳と考えられている。
特徴
ムロアジ属の代表種。本属の特徴として体は細長い紡錘形で側線の直走部に稜鱗(ゼイゴ)があり、尾柄部には小離鰭がある。同属の他種とは、背ビレ前方の鱗に覆われたエリアが眼の中央よりも前方に張り出し、稜鱗は側線直走部の3/4を覆い、生鮮時は体側中央を走る黄色縦帯が鮮明で尾ビレは上葉が黄色・下葉が灰褐色、口内の下顎側は黒色色素胞で覆われることで区別することができる。
主な釣り方
伊豆諸島や九州の離島などでは人気の釣り魚である。潮通しがよい防波堤や磯などからサビキで釣る。群れが接岸する初夏の産卵期には足元がポイントとなるので、サオ下に仕掛けをそのまま降ろせばよく、ポイントが離れている場合にはウキを使って広く流す。いずれの釣り方でも寄せエサは必須で、サオ下に撒いたり、ウキ下のコマセカゴに仕込む。サビキはピンクや白色のスキンサビキが一般的だが、地域や季節によってよく釣れるものがあるので、地元の釣具屋等で情報を仕入れること。大型魚に対してはオキアミが有効で、カラバリにオキアミエサをつける型物ねらいの釣り方もある。群れが回ってきたチャンスに寄せエサを切らさず、群れを少しでも長く足止めさせることが数釣りの秘訣である。
美味しい食べ方
マアジに比べて脂や旨味が少ないとされるが、旬の冬に脂が乗った刺身は絶品でマアジを凌ぐ。鮮度落ちが早い魚なので、この極上の刺身を賞味できるのは釣り人の特権である。脂が少ない時期でも塩と柑橘で締めた刺身は爽やかで大変に美味。焼き物では、ふり塩をして1時間以上おいてからじっくりと焼き上げた塩焼きがよい。煮物にするとやや堅く締まるが旨味が深まって美味しい。クサヤに代表される干物はあまりにも有名であり、数が釣れたときには干物づくりに挑戦していただきたい。あぶった開き干しの締まった身とほどよい酸味は食通をうならせる。
※この図鑑は、釣り人のために作られています。
そのため魚の名称は標準和名ではなく、釣りの人の間で呼ばれている通称名が使われているものもあります。