マツカワ
分類
カレイ目カレイ科マツカワ属
学名
Verasper moseri
別名
タカノハガレイ、タカバ、タンタカ、クロスジガレイ、タカガレイ、ヤマブキ、アブラガレイ、カワガレイ、ムギガレイ、バカハダ、キビラメ
分布
北海道全沿岸(太平洋沿岸に多い)、青森県から島根県浜田までの日本海沿岸、青森県から茨城県までの太平洋沿岸に分布。
大きさ
最大で約80cmになる。
釣期
6~11月に釣れた実績がある。
棲んでいる場所
大陸棚の砂泥域に棲む。
生活史
天然魚は個体数が少なく生態の多くは不明だが、海域に放流された人工種苗について生態の知見が蓄積されている。すなわち、雌は雄よりも成長が速く、満1歳で30cm、2歳で40cm、3歳で50cmに達する。放流魚に発信機をつけた調査では、放流された北海道から700km以上も離れた東北海域南部の水深300m前後の大陸棚斜面上部に1~4月集群する漁場が発見され、そこが主産卵場であることが分かった。2013年には北海道南東部の浅海域で天然稚魚が採捕され、資源の増加が伺われている。
特徴
日本産の本属魚類は、本種とホシガレイ(V. variegatus)の2種で、ともに次の様な特徴をもつ。有眼側の鰓孔上端は胸ビレ上端よりも上にあり、歯は鈍い円錐形で有眼側でもよく発達し、上顎では2~3列の歯帯をなす。ホシガレイとは、背ビレと臀ビレに黒色帯(ホシガレイでは黒色斑)があることで見分けられる。1970年代に北海道南部で10数トンが漁獲されていたが近年資源量は激減し希少生物に指定された。2006年以降は人工種苗生産技術が確立されて毎年100万尾を超える大規模放流が続けられた。その結果、年間漁獲量は20トン未満から120トン以上に急増し、世界的にも例をみない栽培漁業の成功事例となった。
主な釣り方
以前はねらって釣れる魚ではなかったが、大規模放流の効果が現れた2010年以降、北海道太平洋岸各地から釣果が聞かれるようになった。サーフや漁港からの投げ釣りで実績があり、複数の置きザオを並べて遠~近距離を投げ分ける釣り方が主流。大型魚を想定して道糸はナイロン・フロロ4号以上、PE2号以上、ハリは丸セイゴかソイバリ18号前後を使用する。エサはサンマやサバのタンザク、アナゴなど魚の身エサに大型が来る傾向があり、イカナゴの1尾づけも実績がある。イソメ類やユムシなどの虫エサ系も効果がある。船釣りやワーム釣りでも釣果が聞かれるようになってきたが、投げ釣りを含めて釣法はまだ確立されておらず、発展途上の釣りである。
美味しい食べ方
旬は夏~秋で、透明感のあるしっかりとした白身で鮮度落ちが遅い。刺身は最上級でヒラメをしのぐ。エンガワや肝も驚くほどの美味で刺身に添えて食べたい。火を通してももちろん美味で、硬い皮を剥いだ塩焼きや煮つけ、小型のから揚げなどいずれも旨い。
※この図鑑は、釣り人のために作られています。
そのため魚の名称は標準和名ではなく、釣りの人の間で呼ばれている通称名が使われているものもあります。