レイクトラウト
分類
サケ目サケ科イワナ属
学名
Salvelinus namaycush
別名
レイクチャー
分布
北米大陸北部原産の外来種。日本へは1966~1969年にカナダのオペロンゴ湖とオンタリオ湖から当時の水産庁淡水区水産研究所日光支所に移入され、その一部が栃木県中禅寺湖に放流されて定着した。したがって、日本の天然水域における分布は中禅寺湖のみである。
大きさ
最大で1mを超える。
釣期
中禅寺湖の解禁は4~9月中旬まで。
棲んでいる場所
水温20℃以下の湖沼に棲むが、適水温は4~10℃と低水温を好む。
生活史
原産地での産卵期は9~11月だが、中禅寺湖における産卵生態は不明。3~4歳で成熟するとされており、イワナ属としては抱卵数が多く体重1kgあたり1,000~1,700粒。中禅寺湖では、5月中旬~11月下旬の成層期とそれ以外の循環期とでは、生活エリアが明瞭に異なる。すなわち、表層から温められる成層期では、水深15~25mに形成される水温躍層より深い冷水帯に活動エリアが限定され、表層~底層が均質に低温となる循環期には全水深帯で活動する。中小型のうちは主に水生・陸生昆虫や甲殻類を食べるが、大型になると魚類を捕食する。寿命は長く、原産地では60歳との説があるが真偽は不明。日本の飼育下では25歳を超える個体がいる。
特徴
イワナ属の中でも最も大型となり、背ビレに虫食い状の斑紋があることで、カワマス(S. fontinalis)を除く同属他種と区別できる。カワマスとは、生時に臀ビレ前縁に白色帯のみがあること(カワマスには白色帯と黒色帯がある)、尾ビレの切れ込みが深いこと、体背部の虫食い状斑が特に成魚(50cm以上)では不明瞭になること(カワマスでは終生明瞭)で区別できる。体色は、緑色がかった灰色の個体が多いが、緑色が強いもの、褐色・銀色や黒色を帯びるものなど変化に富む。腹、のど、各ヒレを除く体全体は地色より淡い多数の小斑点で覆われる。小斑点の色は、淡白色、銀色、灰色、黄色、金色を呈する。
主な釣り方
釣りができるのは中禅寺湖のみで、その希少性とモンスター級とのファイトに魅せられて全国から通うファンが少なくない。大型トラウト用のミディアムクラス以上のルアータックルを用いる。道糸はPE1~1.2号、リーダーはナイロンまたはフロロカーボン12~16ポンドでスプーンやミノーを使うのが一般的。岸からキャスティングでねらえるのは解禁直後と禁漁直前のみだが、湖底を探るようにルアーを操作するのがコツ。それ以外のシーズンはボートからのディープトロウリングでねらう。なお中禅寺湖では、福島第一原発の事故による放射性物質汚染のため、現在サケマス類の持ち出しが禁止されている。必ずキャッチ&リリースすること。
美味しい食べ方
身はオレンジ色で美しく、大型になり食べ応えがある。ムニエル、フライなどの洋風料理で大変に美味しい。流通することがほとんどない魚なので、食べることができるのは自ら釣り上げた者のみの特権である。しかし、現在は中禅寺湖からの持ち出しができず、原発事故のために貴重な食の機会が奪われている。一日も早い持ち出し禁止の解除が待たれる。
※この図鑑は、釣り人のために作られています。
そのため魚の名称は標準和名ではなく、釣りの人の間で呼ばれている通称名が使われているものもあります。