カスミアジ
分類
スズキ目スズキ亜目アジ科ギンガメアジ属
学名
Caranx melampygus
別名
ドクヒラアジ、バカアジ、ホンガーラ、エバ、メッキ(幼魚の総称)
分布
伊豆・小笠原諸島、相模湾から九州南岸までの太平洋沿岸、九州西岸(幼魚が多い)、屋久島、琉球列島、南大東島、尖閣諸島に分布する。
大きさ
最大で1mを超える。
釣期
亜熱帯域では周年にわたって釣れるが、冬場の釣果は落ちる。本州から九州の太平洋南岸では、8~12月に幼魚が釣れる。
棲んでいる場所
内湾やサンゴ礁の沿岸に群れでみられるが、水深200mから漁獲された記録がある。
生活史
産卵期は春~夏の比較的長期にわたり、分離浮性卵を産む。詳しい繁殖生態は不明だが、婚姻色で全身が真っ黒になった雄が沿岸浅所で雌を追い回す行動が7月に潜水観察されている。仔稚魚の生態は知られていないが、幼魚は沿岸の海草藻場、干潟や河口域に現われ、葉上や海底の小型甲殻類などを食べる。稚幼魚の成長は速やかで、春に生まれたものは晩夏には10cmを超えてハリに掛かるようになり、成長に伴って魚食性が強まる。九州以北の幼魚は越冬することなく死滅する。成魚はサンゴ礁や岩礁の中・底層を小さな群れまたは単独で遊泳し、魚類や頭足類などを食べる。
特徴
体は側扁して体高が高く、体の後半部から尾柄部にかけて稜鱗(ゼイゴ)が直走する。吻端は眼の下縁よりも下にあり、頭部が張り出している。眼には脂瞼(しけん)が発達し、第2背ビレと臀ビレの前部は高くなって鎌状である。同属のギンガメアジ(C. sexfasciatus)に似るが、口が小さくて上顎の後端は眼の中央下に達しないこと、エラブタ上部に黒斑がない(幼魚を除く)ことで区別できる。また、生時に体の周囲や垂直ビレがコバルトブルーに輝くことは大きな特徴で、幼魚では胸ビレが明瞭に黄色いことも近縁種とのよい区別点となる。
主な釣り方
成魚は近年、ルアー釣りの大型ターゲットとしてにわかに注目されている。シイラ用などのタックルが流用できるが、大物に的を絞るのならばGT用が必要。船釣りでも陸釣りでもねらえるが、船のほうがキャッチ率は高い。ファイト中や釣りあげた直後のコバルトブルーの輝きは例えようがないほど美しく、他の大型アジ類にはない釣趣と感動を与えてくれる。幼魚は九州以北でもねらえ、「メッキ」としてギンガメアジやロウニンアジ(C. ignobilis)の幼魚に混じって釣れる。ウルトラライトのトラウト・バス用タックルで釣ると面白く、朝夕がルアーへの反応がよい。潮通しがよい漁港の出入り口やスロープ、河口のかけ上がりなどがポイントとなる。
美味しい食べ方
しっかりとした白身で、沖縄では普通に食卓にのぼる。刺身のほか焼き物や揚げ物などで美味しく、特にオリーブオイルとの相性が良く、洋風料理によく合う。また、頭やアラを水から煮た味噌汁は出汁がよく効いた絶品。海外のサンゴ礁域にすむ大型のものはシガテラ毒をもつことがあり、小笠原諸島における別名ドクヒラアジの由来となっているが、国内における中毒事例はわずかである。
※この図鑑は、釣り人のために作られています。
そのため魚の名称は標準和名ではなく、釣りの人の間で呼ばれている通称名が使われているものもあります。