イソマグロ
分類
スズキ目サバ亜目サバ科イソマグロ属
学名
Gymnosarda unicolor
別名
イソンボ、トカキン、ウケ、タカキン
分布
相模灘から屋久島までの太平洋沿岸、琉球列島、伊豆・小笠原諸島に分布。
大きさ
最大で2mを超える。
釣期
周年にわたって釣れる。
棲んでいる場所
沿岸の表層を回遊し、岩礁域やサンゴ礁域で数尾~数十尾で群泳する。
生活史
分離浮性卵を産むが、産卵場や産卵期などの繁殖生態は詳しく分かっていない。仔稚魚はインド-西太平洋の熱帯・亜熱帯域のプランクトンネットのサンプルとして混獲され、上・下顎が大きく突出した頭部の形態やエラとエラブタ部への濃密な黒色素胞の形成から容易に近縁他種から区別できる。本州沿岸には7月~翌年1月に全長20~45cmの幼魚が現われるが、これらは満1歳に達していないものと考えられる。どれだけの時間を経てあの巨体に育つのかは釣り人にとって大きな関心事だが、年齢と成長の関係や寿命に関する研究事例はない。「マグロ」と名づけられているように卓越した遊泳能力をもち、魚類やイカ類を襲って食べるどう猛なハンターである。しかし、成魚は大きな回遊はせず、島嶼の周辺から離れずに単独あるいは小群で生活しており、その生態は外洋域を生活圏とするマグロ類とは大きく異なる。
特徴
紡錘形の体はやや細長く、やや側扁する。口は大きく、円錐形の鋭くて大きな歯が並ぶ。第1背ビレは前端が低くて丸みを帯び、第2背ビレとよく接近する。体の鱗は胸甲部のみを覆い、カツオ(Katsuwonus pelamis)やソウダガツオ類(Auxis spp.)のように体の多くが無鱗域。側線は体の後半部で激しく波打つ。成魚は体に目立った斑紋がなく、第2背ビレと臀ビレの先端は白い。幼魚は頭が大きく、上顎がやや突出し、体側に数本の暗色縦帯がある。
主な釣り方
1960~70年代にミクロネシア・メラネシア諸島の磯釣りが開拓された当時、磯から釣れる超巨大魚の一角として脚光を浴び「磯のダンプカー」との異名がついた。強靭化させたモロコタックルを使い2、3人がかりで釣りあげる当時の釣法はお薦めしかねるが、磯からねらうのであれば泳がせ釣りが面白い。石鯛ザオに大型両軸リールの組み合わせで、タカサゴ類(Pterocaesio spp.)やムロアジ類(Decapterus spp.)を背掛けにして泳がせる。ハリ掛かりすると強烈な疾走に遭うが、根ズレのリスクを回避するためにドラグはフルロックの力勝負、道糸とリーダーはそれに見合った強度を選択する。船からねらう場合は大幅なライトタックル化が可能で、泳がせ釣りもよいがルアー釣りがメインとなる。ルアー釣りは大型スピニングリールを用いたキャステイングと、大型レバードラグリールを用いたジギングに大別され、釣り場の地形や水深によって両者を使い分ける。
美味しい食べ方
身質はマグロというよりもサワラ(Scomberomorus niphonius)に近く、淡いピンク色を呈している。明確な旬はないが、冬場に旨くなるとの評価があり、大型ほど旨い。刺身はあっさりとした味わいで、酸味は薄くほのかな甘味が感じられる。腹身は皮が薄くカツオ風にたたきにすると甘味が増す。カルパッチョやなめろうなど、野菜や調味料を加えた食べ方もよい。火を通しても身は堅く締まらず、焼き物、フライ、煮物のいずれも美味しい。食べ切れない分は味噌漬けや幽庵漬けにすると旨味が増し、何日にもわたって賞味できる。
※この図鑑は、釣り人のために作られています。
そのため魚の名称は標準和名ではなく、釣りの人の間で呼ばれている通称名が使われているものもあります。