ハガツオ
分類
スズキ目サバ亜目サバ科ハガツオ属
学名
Sarda orientalis
別名
ホウサン、スジガツオ、キツネ、キツネガツオ、キバガツオ、トウケン、シマガツオ
分布
北海道から九州南岸までの日本海・東シナ海沿岸、北海道から九州南岸までの太平洋沿岸(以上の漁獲量はあまり多くない)、屋久島、東シナ海大陸棚域、琉球列島、伊豆・小笠原諸島に分布。
大きさ
最大で1mを超える。
釣期
南日本では岸近くに現れる夏~秋が釣期とされるが、回遊魚のため地域や年によって出現状況は異なる。しかし、釣期は南方ほど長く、東北・北海道では晩夏から初秋に限られる傾向がある。
棲んでいる場所
沿岸の表層を群れで回遊するが、200m以深から釣られることもある。
生活史
卵径1.33~1.40mmのサバ科魚類としては大きな分離浮性卵を産み、産卵期は紀伊半島南部で5~6月、千葉県館山湾で6~8月で、南方ほど早い。仔魚は夏季に本州中部以南の沿岸域に出現するが、採集例は少ない。3mm台のごく小型の仔魚は既に両顎に歯を備え、大きく発達した眼をもち、動物プランクトンを捕食する。5mm台では頭部が体長の半分近くを占めて口裂がさらに大きくなり、魚類の仔稚魚を捕食する。生後1ヶ月で10cm、3ヶ月で30cmとなり、満1歳までの成長は非常に早い。表層を群れで泳ぎ、しばしばカツオ(Katsuwonus pelamis)やマグロ類と混群をつくる。日本の沿岸では、春~秋季に北上し晩秋に南下する季節回遊がみられる。寿命は満5歳以上と考えられる。
特徴
紡錘形の体はやや細長く、やや側偏する。第1背ビレと第2背ビレはよく接近する。体はすべて小鱗で覆われ、カツオやソウダガツオ類のような無鱗域はない。体側上半部に細かい縦縞模様があり、これが「スジガツオ」などの別名の由来となっている。また、釣り上げた直後の興奮時には体側背部~中央部に10数本の白色横帯が明瞭に浮き出る。両顎歯は円錐形でよく発達し、その名の由来となっている。
主な釣り方
船からの青物釣りの外道として顔を出すほか、紀伊半島~九州南岸の外洋に面したエリアでは、磯や防波堤からねらって釣ることができる。船ではルアーや活きエサの泳がせ釣りでねらい、どちらも道糸はPE3号前後、リーダー30~60ポンドのスピニングまたは両軸タックルを用いる。ルアー釣りでは、メタルジグ100~200gを水深に応じて使い分ける。ジギングのほか、群れが視認されればミノーやポッパーを使ったトップゲームが面白い。岸からはルアー釣りで、強めのシーバスタックルで回遊してくる群れをねらい撃つ。各種ミノーのほかバイブレーション、メタルジグなどを状況に応じて使い分けるが、いずれも飛距離が出るものが有利。
美味しい食べ方
カツオに比べて水っぽい身質から一般的な評価は決して高くないが、鮮度がよいものは美味揃いのサバ科魚類の中でもトップクラスである。釣り人の特権として、是非とも釣りたてを賞味していただきたい。旬は秋~冬だが年間を通じて味はよい。刺身が一番で、身は柔らかくほのかな酸味があり、カツオ風にたたきにすると旨味がさらに凝縮される。血合いはネギ、ショウガ、ニンニクなどと細かく叩いたたなめろうにするとよい。火を通すと身は堅く締まるが、焼き物・煮物のいずれも味わい深い。特に頭を少量の塩水で煮たまーす煮は絶品。
※この図鑑は、釣り人のために作られています。
そのため魚の名称は標準和名ではなく、釣りの人の間で呼ばれている通称名が使われているものもあります。