バラフエダイ
分類
スズキ目スズキ亜目フエダイ科フエダイ属
学名
Lutjanus bohar
別名
アカナー、ハーナ、アカイラウツ
  • 特 徴
分布
主に伊豆-小笠原諸島、琉球列島に分布し、主に幼魚が三浦半島から九州南岸までの太平洋沿岸で散発的にみられる。
大きさ
最大で1mを超える。
釣期
冬場を除いて釣れるが、4~7月によく釣れる。
棲んでいる場所
浅い岩礁やサンゴ礁域に棲むが、水深100m以深の岩礁帯から釣れた記録がある。
生活史
産卵期は熱帯地方ではほぼ周年に及び、琉球列島では5~9月。満月の夜明け方にサンゴ礁のリーフエッジに数100~1万尾にもなる産卵群が集結し、大集団で分離浮性卵を産む。これはダイバー垂涎の産卵イベントで、これを見るための海外ツアーが組まれるほどである。自然界における仔稚魚の生態はほとんど研究されていない。
最小成熟全長(年齢)は、雄45cm(7歳)、雌43cm(9歳)、50%成熟全長は、雄46cm、雌55cm。雌雄とも20歳まで育った後に成長はほぼ停滞し、最大到達体長は雄の方がやや大きい。近年の研究で既知のフエダイ属魚類の中で最も寿命が長いことが明らかとなり、琉球列島において雄68歳、雌79歳の個体が報告されている。
肉食性で底層から中層を単独で遊泳し、魚類を中心にカニ類、頭足類、多毛類を食べる。
特徴
大形になり、体は側扁して体高は高い。体は一様に赤黒く、背方は紫がかった暗色で腹面はやや明るい。背ビレ、臀ビレ、腹ビレ、尾ビレは暗色。眼前部に細長い溝があり、2つの鼻孔は溝の中に開孔する。側線より上方の鱗列は斜め上方へ向かって走り、体側下半部の鱗は体軸とほぼ平行に走る。
幼魚には眼前部の溝がなく、尾ビレ上下葉の外縁と背ビレ・臀ビレの軟条部前縁が明瞭に黒く、尾ビレ・背ビレ・臀ビレの後縁部は透明、体側の後半部には1~2個の目立つ白斑をもつ。この幼魚の体色はスズメダイ類に似ており、小魚が本種の幼魚をスズメダイ類だと思って油断して近づいて来たところを襲う「攻撃擬態」であると考えられている。
シガテラ毒化率が高い魚種のひとつで、大型個体の流通に対して注意が呼びかけられている。沖縄県における2009年の毒性調査では、60cm・体重4kg未満には強毒個体がみられない一方、4~7kgの有毒率は38.7%、7kg以上では61.1%にのぼった。
主な釣り方
主に船釣りでねらい、エサ釣りとルアー釣りに大別される。一般的なエサ釣りでは、片テンビン1本バリの吹き流し仕掛けで、魚の身エサを使う。大型に的を絞るならば、ドウヅキ1本バリの泳がせ釣りでねらい、現地調達した小魚をエサにする。ルアー釣りでは、スピニングタックルのキャスティングとベイトタックルのジギングを釣り場の状況によって使い分ける、いずれの釣り方でも5kg以上の巨魚のヒットを想定した強靭なラインシステムを組んで臨む。メタルジグやミノーのほか、タイラバやインチク、ワームでの実績もある。
美味しい食べ方
沖縄では食用魚としての評価が高く、価格は高い。刺身は透明感がある白身で、脂が乗ってクセがなく甘味を感じる。寿司だねにもなる。身は熱を通すとやや縮むが堅く締まらず、塩焼きや煮つけにして美味。アラから出る出汁は旨味が強く、これで作る味噌汁は深い味わいがある。シガテラ中毒の可能性もゼロではない対象魚となるが、実際にはシガテラの発生海域は限られている。不明な場合は現地の情報をまず収集・確認したい。また、60cm・4kg未満の安全性が高いことは上述のとおりである。
※この図鑑は、釣り人のために作られています。
そのため魚の名称は標準和名ではなく、釣りの人の間で呼ばれている通称名が使われているものもあります。
  • 特 徴