アオチビキ
分類
スズキ目スズキ亜目フエダイ科アオチビキ属
学名
Aprion virescens
別名
オオマチ、アオマチ、オーマツ、アオマツ、クロマ、コケブリ
分布
伊豆-小笠原諸島、伊豆半島から九州南岸までの太平洋岸、琉球列島に分布。本州太平洋岸においては幼魚の出現が多い。
大きさ
最大で100cmになるが、通常は60cm前後まで。
釣期
周年釣れるが、6~10月によく釣れる。
棲んでいる場所
通常は浅い岩礁やサンゴ礁域に棲み、水深100m以深から釣られた記録がある。
生活史
琉球列島における産卵期は初夏と考えられているが、産卵生態や卵・仔稚魚などの初期生態はほとんど分かっていない。また、年齢と体長の関係や寿命といった成長に関する知見もほとんどない。しかし、本種が属するフエダイ科魚類は長寿なものが多く、大型となる本種の寿命は30歳以上ではないかと推定される。
単独または数尾で潮通しよい底層から中層を活発に遊泳し、魚類、甲殻類や頭足類を襲って食べる肉食性である。好奇心が強く、ダイバーの排気の泡に寄って来たりもする。
特徴
本種のみでアオチビキ属を形成する。大形に育ち、体はやや側扁した紡錘形で体高は低い。口は大きく唇は厚く、口内には鋭い歯が並ぶ。体は一様に青緑色で、生時には体側に薄い明灰色の10本前後の横縞がみられるが死後消失する。背ビレ中央部根元の鰭膜に4~5個の黒斑が並ぶ。眼前部の鼻孔の下方に細長い溝があり、吻長は胸ビレの長さとほぼ同じ。背ビレ棘条部と軟条部との間に欠刻がない。
マリアナ諸島やハワイではシガテラ中毒の事例があり、同方面で釣りをする際には注意が必要。
主な釣り方
ミクロネシア・ポリネシア諸島の磯釣りが開拓された1960~70年代、イソマグロに次ぐ大物として注目された。当時はモロコタックルのブッコミ釣りだったが、現代の釣り方は陸釣りと船釣りに大別される。
陸釣りは、岸からねらえる10kg超級の魚として釣れる確率が最も高いもののひとつであり、積極的にチャレンジしたい。筆頭は泳がせ釣りで、イシダイザオに両軸リールの組み合わせで、現地で釣った小魚を活きエサとして泳がせる。釣り場の条件にもよるが、大型発泡ウキをつけてタナを固定させた方が活きエサをコントロールしやすい。ルアー釣りではGTタックルが流用でき、長めのロッドが釣りやすい。好奇心が強く色々なルアーに反応するので、ペンシルベイトやポッパーを使った水面攻略からメタルジグのボトムトレースで広いレンジを探りたい。
船釣りはエサ釣りとルアー釣りとに大別され、エサ釣りではドウヅキ1本バリの泳がせ釣りでねらい、現地調達した小魚をエサにする。ルアー釣りでは、陸釣りに準じた短いロッドのスピニングタックルが基本となる。ジギングタックルではメタルジグのほか、タイラバやインチクなども効果がある。
美味しい食べ方
旬は春~夏。流通量が少ないため本州での馴染みは薄いが旨い魚である。沖縄や九州南部での評価は高いものの、もっと高値がついてもおかしくなく、隠れた高級魚といえる。刺身は透明感がある白身で、旨味と甘味が強い。身は熱を通しても堅く締まらず、シンプルな塩焼きや薄味の煮つけでこの魚本来の味と身質の良さとを堪能できる。洋風の料理にも合うので、バター焼きやフライもお薦め。アラから出汁を取った汁物や味噌汁は深い味わいでご飯がすすむ。
海外ではシガテラ中毒の報告があるが国内での中毒事例は少ない。
※この図鑑は、釣り人のために作られています。
そのため魚の名称は標準和名ではなく、釣りの人の間で呼ばれている通称名が使われているものもあります。