シーバスフィッシング、エギング、ジギング、サーフのヒラメ釣りなどのソルトウォーターゲーム、さらに渓流や管理釣り場でのトラウトフィッシングなど、今や幅広いルアーフィッシングで必須となっているのが「FGノット(エフジーノット)」です。
FG ノットは、ミチイトのPEラインを、その先のリーダー(フロロカーボンラインやナイロンラインなどのモノフィラメント系ライン)に接続するのに使用します。PEラインをリーダーに絡み付けるようにして結ぶのが特徴で、摩擦系ノットと呼ばれたりもします。
PEラインは極細の原糸を専用の機械で撚り合わせ、仕上げにコーティングするという製法で作られています。そして、従来の釣り糸に比べ、同じ強度でも直径がはるかに細く、引っ張られた時に伸びがなく、ただし滑りやすいという性質を持っています。そのため、PEラインが登場する前までに使用されていた、フロロカーボンラインやナイロンライン同士の結び方をそのまま使っても、PEラインのほうが滑ってしまい、力が掛かった時にほどけてしまうという難点がありました。
しかし、PEライン自体は細い直径で非常に高い強度と伸びのなさがあるため、ミチイトに利用すれば、大きな飛距離が出せる、遠くのものもキビキビ動かせる、アタリを明確に感じられるなど、多くのメリットがあります。これらの利点がいち早く受け入れられたのが、船のエサ釣りやルアーフィッシングでした。
ルアーフィッシングでは、繰り返しキャスティングを行います。PEラインとリーダーの接続部には、常に負荷が掛かっており、一定の時間が経てば結び直す必要があります。ルアーの交換などでもリーダーが短くなるので、それによっても結び直しはやはり必要です。すると、FGノットもただ丈夫に出来ればよいというだけでなく、「より早く、より簡単に、より安定して結べる方法はないか?」と、新しい方法が模索されるようになりました。
FGノットが登場した当初、まず紹介されたのは、PEラインを片方の手の指にぐるぐると巻き付け、PEラインが手の中で張った状態を作ったら、そこにリーダーを編み付けていく方法でした。この方法は釣り人ごとに改良が重ねられて現在でも有効ですが、一方で紹介されて間もない頃は、見よう見まねでやってみても、指に巻き付けたPEラインが途中で緩んでしまい、なかなか上手くできないなど、「FGノットはやっぱり難しい」と挫折する人も多くいました。
そうした中で、たとえばPEラインを手の中で保持するのではなく、ロッドにリールをセットした状態でPEラインを引き出し、その先端を口などで押えてPEラインを張っておき、そこにリーダーに編み付けていくなど、「こうすればいいのでは?」といった他のやり方も提案されるようになっていきます。
さらにFGノットの編み込み作業を誰でも確実にできる補助ツール(ノッター)も発売されるようになりました。
FGノットにはほかにもさまざまなバリエーションがありますが、実績のある釣り人が共通して挙げるポイントがあります。それは「編み込み途中の締め込み」と「ひととおりの編み込みが終わった時点での締め込み」の大切さです。大まかにいえば、PEラインをリーダーに編み付けていく過程で、まず1回ずつの編み付けがしっかり形を保つように適度な締め付けを意識します。そして、リーダー部分への編み付けが終わったところで、PEラインの本線とリーダーをゆっくりかつ強めの力で引き、編み付け部分全体をもう一度しっかり締め込みます。ここが多くの釣り人が現在共通して指摘するFGノットのコツで、適度な締め込みが行われたFGノットは、編み付け部分のPEラインの色が透明感のある濃い色に変わります。
なお、PEラインのリーダーへの編み付けが終わったあと、FGノットでは仕上げにPEラインを複数回ハーフヒッチするという工程が行われますが、この仕上げのハーフヒッチは、FGノットの強度への直接的な影響はないことが確認されています。ただし、仕上げのハーフヒッチをすることで、結び目の段差がスムーズになり、また結び目近くのPEラインがガイドにこすれるのを予防する効果はあると考えられています。このハーフヒッチ部分については、形か崩れない程度の適度な締め込み加減がおすすめです。
いずれにしても、FGノットを一度覚えると、他の摩擦系ノットの理解や習得も簡単になります。コツを押さえて、ぜひチャレンジしてみてください。