ルアー釣りで非常に高い人気を誇る魚、サクラマス。本州では河川での釣りが一般的ですが、釣れる数が少なく「幻の魚」といわれることもあります。その一方で、北海道ではサクラマスは身近な存在です。特に近年盛り上がっているのが船からジギングでねらうサクラマスジギングで、本州のファンからも注目されています。

軽量な道具で楽しめる

近年、船のサクラマス釣りでジギングが台頭してきた理由のひとつに、「軽量な道具で楽しめること」があります。どの海域でも主に使用されるメタルジグは100~200gで、北海道で伝統的かつ定番として使われてきた「三角バケ」や「マスシャクリ」と呼ばれる仕掛けよりも軽量です。それゆえにラインは細くなり、必然的にロッドやリールも軽くなったことで、老若男女問わず入門しやすい釣りになりました。ジグで釣ること自体がルアー釣りをする人にとって馴染み深く、これまで岸でサクラマス釣りを楽しんでいた人たちがジギングに参入するケースも増えています。

船に乗れば、憧れの銀鱗がぐっと身近になる

さくらます船釣りライセンス制

サクラマスジギングのシーズンはエリアごとに異なり、主に「羅臼エリア(オホーツク海)が12月下旬~1月いっぱい」「胆振(いぶり)エリア(登別~苫小牧沖の太平洋)が1月下旬~2月いっぱい」「後志(しりべし)エリア(日本海)が3月~5月頃」となります。そして、資源保護や漁場の安定的な利用などの観点から、海域によってはライセンス制が定められています。その場合、規制海域内および制限期間内においてはライセンス取得船でのみサクラマス釣りが楽しめます。したがって、サクラマスジギングの予定を立てるときは、まずは制度の有無を確認し、ライセンスを取得した遊漁船を選ぶ必要があります。道外から確認する場合は、地元の釣具店にサクラマスジギングでおすすめの遊漁船を問い合わせるのがよいでしょう。

ライセンス取得船が掲げる章旗

差が付くのはナゼ?

岸釣りと比べてよく釣れるのがサクラマスジギングの魅力です。しかし、いざ船に乗ってみると明らかに釣る人とそうでない人がいます。見る限り同じようなジグで、同じようなシャクリをしているのに、なぜでしょう……。

よく釣る人は、正確なタナ取りができています。船のサクラマス釣りは往々にして「タナを釣れ」といわれるほど、泳層への意識が必須。なんとなく釣っていては本命が釣れないどころか、みすみす他の魚の餌食になりかねません。ヒットした人の「アタリダナ(その時に魚がいて釣れる深さ)」に合わせるのが釣果への近道です。この釣りではしばしば「15mできた!」など、アタリダナを伝え合うシーンがありますが、これは大きなヒントになります。

船中で最初のアタリが出るまで、もしくは群れが遠のいていると思われる時間は、層を細かく刻んで自らアタリダナを探っていきます。一方で、その時季、その日に実績のあるタナを集中的にねらうのも有効です。後者は「ヨーヨー釣り」と呼ばれ、リールを巻かずに一定の層で誘い続ける釣り方。各海域で実績があります。

船上ではアタリダナを叫んで情報共有する。同船者どうしで協力し合いながら釣果を伸ばしたい

【リール】カウンター付きのススメ

「アタリダナへの意識が大切なのは分かったけど、じゃあどうやって正確なタナを測るの?」という人がいるかもしれません。そこでおすすめしたいのが、水深カウンター付きのベイトリールです。液晶パネルに数字で水深が表示されるため、ねらったタナを外すことがありません。もちろん色分けされたPEラインでも水深は把握できますが、慣れないうちは難しく、直感的に分かりやすいカウンター付きに分があります。スピニングタックルでも釣りは可能ですが、フォール(ルアーを落としている途中)のアタリを掛けやすいベイトリールが有利です。

サクラマスジギングにおいてカウンター付きのリールは必須といってよい

【ロッド】1本目は対応負荷MAX150g前後

ロッドは「スロージギング」または「ライトジギング」とうたわれているものを選びます。特にサクラマスジギングでは口切れやスレ掛かり(口以外にハリが掛かる)が起こりやすいので、張りが強すぎず、しなやかなロッドが好ましいです。適合ジグウエイトはMAX100~200gで、最初の1本にはMAX150g前後が最適。潮が速いときなどの状況変化に対応するために、可能であればさらに1つ上の番手も用意できると安心です。

シャクリ方については、遅めのワンピッチ・ジャーク(ロッドを1回上下させる間にハンドルを1回転させる)やハーフピッチ・ジャークが定番。そこに先述した「ヨーヨー釣り」を織り交ぜると効果的です。また、フォールも重要要素。フリーフォール(ロッドを素早く倒してラインのテンションを抜く)やテンションフォール(沈んでいくジグにロッドを追従させてラインのテンションを保つ)など、いろいろと試してヒットパターンを探します。

サクラマス独特のファイトに対応するため、ロッドはしなやかに曲がるものを選びたい

浅ダナ攻略で釣果を伸ばす

リールにはメインラインとしてPE1.0~1.5号を200mほど巻き、その先にフロロカーボンまたはナイロンラインの20~30ポンドを2~3ヒロ(3~4.5m)接続するのが一般的。結び目が小さくガイドの通りがよいFGノットでの結束がおすすめです。

胆振の初期や後志で顕著ですが、アタリダナが5~7mとごく浅い場合があります。そんなときはショックリーダーの長さをもっと短くしてもよいでしょう。長ければ長いほどジグの動きに影響しますし、PEラインの持ち味(水の抵抗を受けにくいことや感度が高いこと)を活かすことができません。浅ダナでアタリを多く取れれば、自然と釣果は伸びていきます。

まさに今、北海道はサクラマスジギングのハイシーズンを迎えています。ここで述べたことを実践し、一足早い開花宣言を船上でしてみてはいかがでしょうか?

※このコンテンツは、2023年1月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。