有料の池に多数のニジマスが放流され、誰でも気軽に遊べるトラウトの管理釣り場。一昔前までは、渓流釣りのシーズンオフの楽しみ、といった位置づけでしたが、近年は競技会も行なわれて独自のテクニックが生まれています。それにともない、ファンのすそ野も拡大して、今や「エリアトラウト」という、愛好者も多い釣りの一ジャンルになっています。

エリアトラウトの中心はルアーを使った釣りです。ルアーの定番はスプーン。その他にクランクベイトやバイブレーションといったルアーも使われます。エリアトラウト用のものは、いずれも軽量なのが特徴です。

右側が1.6gと1.8gのスプーン。左側の上がクランクベイト、下がバイブレーション

エリアトラウトは魚が確実にいると分かっているので、なかなか釣れない時でも、とことん魚と向き合えます。「ルアーの色は?」「レンジ(ルアーを通す深さ)は?」「ルアーを引く速さは?」と、常に頭の中で次の手を考え、理詰めでじっくり取り組めます。

上手な人は「こうしたら釣れた」というプロセスを再現できるようにしている

他の魚もそうですが、ニジマスや他のトラウトは、ある程度水温が高い季節はルアーにも積極的に反応してきます。また、池の中の広い範囲に分散しています。その場合、ある程度ランダムに釣りをしていても、キャストを繰り返していればどこかでヒットを得られる確率が高くなります。

一方、冬場になるとニジマスも居心地がよい一定の層(タナ)に留まりやすくなり、また、ルアーもその範囲でしか追わなくなります。裏を返せば、丁寧に釣りができると、「他の人は苦戦していても、自分はヒットを得られる」という状況が生まれます。

エリアトラウトのルアーは、一定の深さを、一定の速さで動かすのが基本です。すると興味を示したトラウトが追尾してきて、上手く行けばそのまま食い付きます。具体的には、使用しているルアーがねらった深さに到達したところで、浮き上がりも落ち込みもしないスピードでリールを巻きます。

ねらうタナにルアーが入ったあとは、そこから外れない一定速度でリールを巻く

実際のところ、ルアーを一定のタナにキープすること自体は、それほど難しくありません。ほとんどのルアーはゆっくり一定速でリールを巻けば、そう泳ぐように作られています。近くの水面でルアーを動かし、そのスピードを確認しておけば、あとは遠くにキャストした時もそのスピードでルアーを動かせば大丈夫です。

だいじなのは、「今、自分はこのあたりのタナを探っている」という感覚を得ながら釣りをすることです。たとえばスプーンであれば、上手な人は次のような形で釣りをしていきます。

上手な人の釣り方一例

  • ① 表層を探る
    最初は着水してすぐにリールを巻き、表層(浅いタナ)を探ってくる。
  • ② ボトム付近を探る
    次は着水したらカウントダウンを始め、一度底までルアーを落とす。ルアーに引かれて水面に入っていくラインの動きを観察し、止まったところがボトム(底)なので、その時点で何カウントだったかを覚えておく。そのままボトム付近を探ってくる。
  • ③ 魚が留まっている層を探す
    ①や②でアタリがなければ、次はボトムまでルアーを落とし、そこから少し速めにリールを巻いて、ルアーが斜め上に浮き上がってくるようにする。ルアーは底から表層に向かって移動する形になるが、その途中でアタリがあったら(その層に魚が集まっている可能性が高い)、そこで巻くのをやめ、一度ルアーを底まで落として、何カウントでボトムに着くかを数える。
  • ④ アタリがあった層を引いてくる
    たとえば表層からボトムまでが7カウントで、アタリがあった時点から落とし直してボトムに着くまでが3カウントだったら、「7-3=4」で、魚は「表層から4カウント落としたところの層に多くいるのでは?」と予想する。次からはキャストしてルアーが着水し、4カウント数えてからその層を引いてくるようにする(正解だとヒットが連続する)。

これは一例で、上手な人の間でも唯一の方法があるわけではありません。しかし、たとえば上記のような具体的な戦略を持つことで、「ねらって釣る」ことができるようになります。

魚が集まっているタナを把握することがすべての始まり
ねらって釣った魚はサイズにかかわらず格別だ

魚が釣れるタナは1日の中でも変わります。また、同じタナでもルアーの色によって反応したり、しなかったりすることがあります。つまりルアーのカラーチェンジもアタリを得るには有効です。

シンプルなスプーンだけでも、タナを変えたり、色を変えたり、さまざまなアプローチが楽しめる

エリアトラウトの釣りはこのように、パズルのような頭脳ゲームの面白さがあります。難しい時こそ、腰を据えてじっくり探ってみる。思い切り集中することで、リフレッシュしてみてください。

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※このコンテンツは、2021年12月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。