釣りで人気の魚は多くいますが、近年のブームも踏まえ、あえて「すさまじい人気ぶり」と言ってもよいのがタチウオです。
タチウオは漢字で書くと「太刀魚」。名前のとおり、銀色に輝く長い体が特徴で、大きいものは1m、最大で1.5mほどになります。獰猛でエサやルアーに果敢にアタックしてくる一方、警戒心も強く、簡単にはハリに掛からない。しかし、釣れれば強い引きが味わえ、さらにウロコがないのでさばき方もラクなのに、塩焼き、空揚げ、刺身とレシピも豊富なため、各地で大人気の釣りとなっています。
タチウオは全国で釣れますが、特に盛んなエリアの1つが大阪湾周辺です。防波堤や護岸から楽しむ陸からの釣り、さらに沖に出ての船からの釣りのどちらも行なわれており、例年、7月末から徐々に釣れ始め、9月に入ると本格的なシーズンに突入します。西日本では他にも九州や四国など各地で釣りが行なわれ、漁も盛んです。
東日本でも駿河湾一帯では、堤防からのタチウオ釣りも船からのタチウオ釣りも人気です。そして東京湾では昔から船からのエサ釣りが盛んでしたが、近年、大阪湾で行なわれていた「船からのテンヤタチウオ釣り」をやってみると、驚くほど大型が釣れるということでブームになっています。東京湾ではこのほかに、川崎や横浜などの京浜エリアでの陸からのタチウオ釣りも人気です。
タチウオの釣りが盛んな理由には、次々と新しい釣り方が出てくる(=新しい釣り方が楽しめる)ことも挙げられます。
大きく分けると、エサ釣り、テンヤ釣り、ルアー釣りになりますが、たとえばルアー釣りには、ジギングやワインドといったバリエーションがあります。ジギングというのは金属製の重いルアー(ジグ/メタルジグ)を使う釣りで、ワインドとは専用のジグヘッドに樹脂製のワーム(エサの代用品)を付けるルアーを使う釣りです。さらに陸からのルアーフィッシングなら、ミノー、バイブレーションなども使われます。
また、ルアーと同じように使える小型のテンヤも昔から人気です。テンヤはハリとオモリが一体になったアイテムで、エサを付けて使いますが、船用と陸からの釣り用の2タイプがあり、船用のものは大型でイワシやサンマをエサに使います。一方、キャストするのが前提の陸からの釣り用のものは小型で、エサはドジョウやキビナゴなどの小魚です。
このようにタチウオ釣りは、それだけ多くの場所で楽しむことができて、なおかつ新しい釣り方やテクニックも次々と生まれてくる(だから面白い)といった特徴があります。
そして料理しやすく美味しいのがタチウオです。初めにも触れましたが、タチウオはウロコがなく、内臓もほとんどありません。そのため、家に持ち帰ってからのさばきや下ごしらえが非常に簡単です。台所が汚れることもほとんどないといってよいでしょう。
シンプルな塩焼きなら、内臓を処理してブツ切りにしたら、あとは塩を振って焼くだけでOK。脂は乗りつつ上品な白身はお刺身にも最適です。タチウオの魅力を知ったら、ぜひ釣りにもチャレンジしてみてください。