すぐ近くにほかの釣り人がいる状況で釣りをすることは多い。
たとえばボートでのルアーフィッシングでは1艇の船に大人数で乗り合わせて釣りを楽しむのが主流だ。
岸からの釣りでも隣の釣り人と2mほどのかなり近い距離感で釣りをすることがある。
当然同じような場所を同じようなルアーでねらうことになるわけだが、同じくらい釣れることは不思議と少ない。
かたや10尾の大漁、かたやゼロ……ということも日常的に起きてしまう。

ボートフィッシングでは隣の釣り人との距離が近い。これは餌木でのアオリイカ釣り。それでも同じような結果になることは決して多くない
岸釣りでも釣り人同士の距離が近くなる状況は多い。磯から根魚(ハタ)をねらう

帰りの車中、釣った人は幸せでニコニコしっぱなしなのに、もうひとりは悲しくてたまらない……。
そんなすれ違いは釣り人なら誰しも経験したことがあるはずだ。

気付いたら1日写真ばかり撮っていた……なんてことも

「なぜ隣ばかり釣れるんだろう……? 悔しいけどルアーを同じにしてみよう」
「あれ? それでも釣れない……。リールを巻くスピードか?」

隣ばかりが気になって自分の釣りに集中できなくなり、どんどんリズムが崩れてなおさら釣れない悪循環に陥ってしまうこともしばしば。巧みな投球術ですっかりフォームを崩されたバッターのようにヒットから遠ざかってしまう。

最初のうちは素直に祝福できていても、隣の釣り人と差がついてくると次第に考え込んでしまう。「なぜ?」ばかりが頭を回ってますます釣れなくなりがちだ

すぐ近くで釣っているのにどうしてそうなってしまうのか……? 今回の記事では代表的な3つの原因を紹介しよう。

①場所

ルアーが入る地点がたった1mズレただけで、入れ食いと無反応の差になることが実は多い。
たとえばマス類をねらう管理釣り場(プールのような小さな池)。魚が溜まりやすい角や、水の流れが出る場所の近くでルアーをうまく引ければヒットが連発するけれど、それ以外の場所ではアタリが一気に減ってしまうケースもある。
ルアーが通るコースも釣果に大きく影響する。あるコースだと魚がルアーをニセモノだと見破ってしまうけれど、別のコースなら本物のエサだと信じ切ってしまうことも。普段エサを追い込んでいるコースと同じコースでルアーを通せることができればヒット率が高い。

トラウトをねらう管理釣り場は釣り人の密度が高く、隣のアングラーと差がつきやすいシチュエーション。場所以外にも、リールを巻くリズムが一定か否かで大差がつくこともある
②道具

釣りザオやリール、イトの差が釣果の差に直結することもよくある。たとえば釣りザオの硬さ。硬すぎるサオを使っていると、せっかく魚がルアーを食べてくれても気付かなかったり、魚が違和感をもってルアーを口から放してしまうことがある。ねらう魚がルアーを口にした回数は同じでも、ハリに掛けることができた回数が全然違ってくることもあるのだ。
腕ではカバーしきれない差に現場で気付いても時すでに遅し……。入念な下調べと準備が大事だ。

③ルアーの動かし方

たとえばルアーを巻くスピード。魚の元気がなく、ゆっくり動くルアーは追いかけてくれるけれど、速いと追いつけない、というケースがある。
逆に、素早く動くルアーは「逃げられる!」と魚が判断して急に本気で食べて、スローだとニセモノだと見破ってしまうことも……。
両方のケースを視野に入れて釣りをすることで調整していこう。

マダイをねらう「タイラバ」。底に落してゆっくり巻き上げるシンプルな釣りだが、わずかなスピードの違いが圧倒的な差になることがある

もちろんほかにも原因は考えられるが、今回はよくある3つを紹介した。
まさに「微差は大差」。隣の釣り人にコテンパンにされるのはとっても悲しいことではあるが、釣れない理由を考えるのは釣りの奥深さを噛みしめられる絶好の機会。
ますますルアーフィッシングにハマるキッカケになるかも!?

※このコンテンツは、2018年8月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。