前回は、「号数」という、釣りイトの太さにまつわる基準を紹介した。
今回も引き続き釣りイトの話。釣りイトには、号数のほかに「ポンド(lb)」や「kg」といった、ラインの「強さ」が表記される場合がある。正確には「強力」といい、「直線強力」と「結節強力」があるのだが、「どれくらいの負荷(=重さ)が掛かったらこのイトは切れるのか?」という値を示すものだ。釣りイトそのものの重さは関係ない。ちなみに結節とは「結んだ時の」という意味である。
海外には号数表記がないので、強力(=ポンド)表記が基準になっている。そのため、国内メーカーが作っている釣りイトでも、ルアーフィッシング用ラインのように海外でも販売されやすいものは、ポンド表記のものが多くなっている。
国内ではポンド表記と号数表記が併記されている場合も多いが、時には「16lbって、何号くらいのイトだったかな?」とすぐ知りたくなるケースも出てくる。ちなみに1ポンドは約0.454kg。ポンドをkgに換算する場合は「約半分(逆は倍)」と覚えておくとよい。
あくまで便宜上のものだが、ナイロン・フロロの釣りイトをポンドから号数に置き換えたい場合、「ポンド÷4=号数」(逆なら×4)という換算がよく用いられる。特に細めのラインでは有効で、8lb÷4=2号相当、12lb÷4=3号相当、16lb÷4=4号相当といった具合だ。ただし太くなってくるとズレも大きくなる。
強力(lb) | 号数 | (kg) |
---|---|---|
3lb | 0.8号 | 1.4kg |
4lb | 1号 | 1.8kg |
6lb | 1.5号 | 2.7kg |
8lb | 2号 | 3.6kg |
10lb | 2.5号 | 4.5kg |
12lb | 3号 | 5.4kg |
PEラインの場合は、「ポンド÷10=号数」(逆なら×10)という換算が1つの目安とされてきた。
しかし、最近は「ポンド÷15~20=号数」(逆なら×15~20)という換算が当てはまるケースも増えており、8lb÷10=0.8号相当、あるいは8lb÷20=0.4号相当などとなる。これはPEラインの場合、原糸に用いる素材自体の差や、4本縒り、8本縒りといった構造の差が、ナイロン・フロロ以上に製品の強さに大きく影響するためだ。
強力(lb) | 号数 |
---|---|
12lb | 0.6~1.2号 |
14lb | 0.7~1.4号 |
16lb | 0.8~1.6号 |
20lb | 1~2号 |
24lb | 1.2~2.4号 |
30lb | 1.5~3号 |
いずれにしても上の換算式を頭に入れておけば、いろいろな釣りの本や雑誌も混乱せず読める場合が多い。
なお、ポンド表記されたラインにもさらによく見ると「lbT(ポンドテスト)」と「lbC(ポンドクラス)」という種類がある。「16ポンドテスト」のラインという場合は、「16ポンド(約8kg)より小さな負荷では絶対に切れません。場合によってはそれ以上の負荷も耐えられます」ということを示す。
一方で、アメリカはスポーツフィッシングも盛んだ。たとえば「I.G.F.A.(国際ゲームフィッシュ協会)」のルールでは、記録魚の申請に「何ポンドクラスのラインで釣ったのか?」の申告が求められる。
「16ポンドクラス」のラインという場合は、「16ポンド(約8kg)以上の負荷がかかると必ず切れるイトです」ということを示している。つまり「16ポンドクラス」のラインを使っていれば、「(これだけの魚を釣るのに)私は16ポンド以上の負荷なら必ず切れるイトで釣りました」ということになり、スポーツフィッシングの世界では、フェアプレーにも通じるこうしたスポーツ的マインドも重視されることが背景にある。
なお、「ポンドテスト」の場合は、実質的に20ポンドの強さがある太めのイトでも、メーカーがそう記載したければ「16ポンドテスト」としてよいことになる。それ自体は悪いことではないのだが、知らずに「16ポンド(クラスのライン)」と思って「16ポンド(テストのライン)」を買ったら、イメージより明らかに太いラインで困った!ということが起こりえる。覚えておいて損はない知識だ。