日本に全部で8つある「海なし県」出身で、子供の頃から川釣りに親しんで来た加藤るみさんが、そのすべての県に出かけ、その場所ならではの魚たちを追い求める旅に出発! 時にはその道のエキスパートに助言も仰ぎながら、ジャンルもフィールドも全く違う数々の釣りに、体当たりでチャレンジしていきます。一人のアングラーとしての成長もめざすこの旅。全8県の水辺を釣り尽くした時、彼女が見つける〝新しい景色〟とは?
第6回は、奈良県の川で「チャビング」に挑戦します。「川ムツング」とも呼ばれるこの釣りは、身近な里川でルアーを使い、川の小魚をねらう釣りとして人気上昇中。どんな魚種がヒットするかはやってみてのお楽しみという面もあるので、意外性も含めて楽しめます。晩秋の風景を感じながら、手軽で奥深いチャビングの魅力を探ります!
こんにちは、加藤るみです。「海なし県」全8県をめぐって川釣りを制覇する旅。今回は全国各地にある里川で楽しめる注目のルアーフィッシングにチャレンジです。
「チャビング」や「川ムツング」と呼ばれるこの釣りは、カワムツやオイカワ、ウグイなど、コイ科の小魚をルアーでねらうスタイル。チャブは英語でコイ科の小魚のことです。
川の小魚といえば、まずはエサで釣るというのがこれまでの定番。しかし「小さなルアーを使えば実は釣れる!」「エサ釣りとは違った楽しさがある!」ことが徐々に話題を呼んでいます。一度やってみたかった新しい釣りに、私も挑戦です!
川に泳ぐ小さな魚を小さなルアーで釣る。言葉にすればとてもシンプルなチャビングですが、「手に感じるアタリは想像以上に大きくて、エサ釣りとは一味違う"コン!"とか"ゴゴン"という明確な手応えは一度味わうと楽しさにハマること間違いなし。それでいて身近な川で気軽にトライできるので、魅力に目覚める人が増えているんですよ」と先生。
そして、カワムツ、オイカワ、ウグイなど、同じコイ科の小魚でも種類によって好む流れやルアーへの反応の仕方が少しずつ違うなど、誰でも始めやすい釣りでありながら、経験値がアップするほど理解が深まる奥行もしっかりある。「だからやらないのはもったいない! そんな釣りなんです」と先生も太鼓判なのです。
アンダースピンリールはレバーを引いた状態で振りかぶり、レバーを離せばルアーをキャストできるというリール。基本構造はスピニングリールと同じですが、ベイルアームの開閉操作がない分、ルアーをより効率的に打ち返しできます。
ルアーが飛び過ぎたと思ったらレバーを引いてキャストを止めることもできるのでさらに便利。どこか可愛らしいデザインもこの釣りの雰囲気にぴったりで、私もすっかり気に入ってしまいました。
クルマに乗って移動した先は、宇陀川の本流が街中で支流と合わさる合流点。合流付近にはちょっとした深みもできています。
ここで最初に魚をヒットさせたのは先生! お手本も兼ねて対岸に向けて10mほどキャストすると、着水した軽いスプーンをすぐに動かし始めたところでバシャッと水面に飛沫が上がりました。
この釣りの基本はスプーンによるタダ巻き。重さは1g前後のものを使い、キャストして着水したあとは一定速度でリールを巻いて途中で浮き上がって来ないように気を付けながら引いてきます。そのうえで「着水したらすぐに表層を引く」、「少し沈めて中層を引く」、「底付近を引く」のいずれかを自分で決めて、どこで魚がヒットするか探りながら釣りをします。「それで大丈夫」「表層で反応がなければ、次はもう少し底近くを引いてみましょう」と隣の先生もようすを見ながらアドバイスをくれます