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釣り方

夢と懐かしさのある癒しの釣り

田園地帯を流れる河川や湖沼に生息する雷魚(ライギョ)は、国内において最大級に成長する淡水域のフィッシュイーター。趣ある里山の静寂を破る豪快なファイトは、多くのアングラーを魅了してやまない。その世界観は実に特徴的で、ゆっくり流れる時間を味わいながらフィールドを巡り、1尾との出会いを楽しむ癒しの釣りでもある。真夏らしい田園の深い緑と真っ青な空。そのコントラストを愛でながら一日を過ごせば、慌ただしい生活でたまるばかりのストレスも霧散する。童心にかえって楽しめるのが雷魚釣りだ。

伊藤 巧さん
伊藤 巧さん
愛知県在住。海から川までフィールドを問わず釣りを楽しみ、旬の釣りのテクニックを掘り下げてレポートするフィッシングライター。堤防のファミリーフィッシングから、雷魚のようなコアなファンがいる釣りまで、丹念な取材でテクニックや世界観を伝えている。

対象魚の習性

「雷魚」という呼び名はタイワンドジョウ科の魚の総称で、温暖な東南アジアを中心にさまざまな種類が分布している。日本にはそのうち、カムルチー、ライヒー(タイワンドジョウ)、コウタイの3魚種が生息している。なかでも主な対象魚となっているのは、全国に分布するカムルチー。カバーと呼ぶ水面を覆うハスやヒシなどの水生植物の下に身を潜めてエサを待ち構えている。最大で1mほどに成長し、国内では過去に121cmが釣れたという記録もある。

カムルチー

潟や湖に生息するが、大型の多くは都市近郊の田園地帯でキャッチされている。90cmを超える大物には、簡単にお目にかかれない

ライヒー

最大で60cmほどで、西日本の限定的なエリアで細々と生息している。カムルチーとの交雑個体も確認されている

水温が20℃を超えるあたりから活発に動き回り、15℃を下回ると泥底に潜って冬眠する。また、雷魚の大きな特徴が、エラ呼吸に加えて空気呼吸をすること。口から直接空気を取り込んで、エラ近くの上鰓器官(じょうさいきかん)という粘膜を通して酸素を吸収するが、エラ呼吸だけでは酸素の取り込み量が不足し、溺れてしまうといわれている。雷魚が生息する湖沼では、その呼吸の痕跡として、定期的に水面に波紋が見られる。その波紋にアングラーは心を躍らせる。

雷魚は一定間隔で水面に浮上しては口から空気を取り込む。魚類だがエラ呼吸よりも空気呼吸の必要性のほうが大きいといわれている
低水温期の冬眠では、泥に潜って仮死状態のようになり春の訪れを待つ。そのようすはまるで流木が沈んでいるように見える
※このコンテンツは、2022年7月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。