都会の水辺で楽しむクロダイのヘチ釣り(2ページ目)

警戒心の高い
クロダイのねらい方

午前中のうちに目星を付けていた釣り場をいくつかチェックした針生さん。しかし、この日は少し難しい条件のようだ……。

今日は南風なのですが、みなとみらい地区の多くのスポットでは、南風は後ろから風を受ける状態になります。すると、大岡川から海に流れ込む真水も多くなり、それを嫌ってクロダイが岸から離れる傾向があるんです。また、ヘチ釣りの基本的な条件として、仕掛けを足もとに落としやすくなる正面からの風のほうが釣りやすい。その点でも、南風よりは北風のほうが条件はいいですね。

とはいえ、夏の高水温期はカラスガイが壁から落ちる時期なので、風向きにかかわらず、チャンスがまったくないわけではありません。あとは釣り人の腕しだい。つまりボクの腕が試されているということです(笑)
エサをいかに自然に壁ギリギリに落としていくかが、ヘチ釣りでは重要なポイントになる。たとえばエサのカラスガイをハリに刺す際も、実際の貝が壁に沿って自然に剥がれ落ちる状態に近づくように、なるべく回転しないようにエサ付けし、クロダイに違和感を抱かせないことを考える
ヘチ釣りのコツとエサ付け
護岸のつなぎ目部分は要チェック。カラスガイのほかに、クロダイのエサとなるカニも隙間に隠れやすく、そこから落ちて来るエサをねらうクロダイも集まりやすい
カラスガイをエサにする場合は、このように房掛け(“ダンゴ”と呼ぶ)にすることもあれば、1枚だけで使うこともある。房掛けは回転しにくいなどのメリットがあり、1枚だけの場合は足もとの空洞などに滑り込ませやすいといったメリットがある
カニは万能エサ。みなとみらい地区ではオールシーズンどのスポットでも釣れる。水中で自由に動けるように、脚の付け根にハリを薄く刺して使用するのがコツ。ガン玉はチモトに打ってアタリを取りやすくしているが、カニの動きをよくするために、ハリを結んだ余りのイト(端イト)に付けることもある
エサはなるべく自重だけで自然に落ちていったほうがよいので、オモリはできるだけ軽くしたい。針生さんは2B(約0.8g)を基準に、潮の流れなどに応じて重さを変える
ヘチ釣りで用いる「タイコリール」はギア比1:1のシンプルな構造。イトを巻き取る操作と送り込む操作の両方を片手で行ないやすいようになっている
ねらう深さに応じたミチイトをあらかじめリールから出したら、エサの落下に合わせてサオを下げ、壁沿いをねらっていく。みなとみらい地区の釣り場はだいたい水深3~5mくらい。基本的には一度底を取ることが多い。アタリは手もとに「コツンッ」と伝わったり、イトの動きで取る場合もある。アタリを察知したら即座にアワセを入れてクロダイの硬い口にハリ先が立つようにする

再び朝一番のポイントへ。
本命のクロダイは微笑むのか?

昼まであと少しというタイミング。この日の条件だと、このまま南下して他のポイントをねらっても状況は変わらなさそうなため、朝一番に釣って魚の気配があった、ぷかり桟橋に戻ってみるという。

今から戻れば、潮位も朝とは変わっているのでチャンスがあるかもしれません。午後は南風がさらに強まる予報なので、そこでの勝負にかけてみます。そのうえで、ちょっと寄り道をして、エサのカニだけ補充して行きます。
釣り場を移動する前に立ち寄ったのは、赤レンガパークの近くにある上州屋関内店。ヘチ釣り人気が高いエリアにあることからエサのカニも常備している
何度も通ううちに店長とは顔なじみに。「エサのサイズ感も釣果に大きく影響するので、わがままを言って自分好みの大きさのものをなるべく多く仕入れてくれるようお願いしています(笑)」
エサは通気性のよい木製のエサ箱で携行する。ちなみに多くのエサを持ち歩きたい時は、現場で水の入れ替えができる水汲みバケツも必要だ。「今日はカラスガイとカニを準備していましたが、秋はこれらに加えてフジツボやミドリガイも用意する場合があります。クロダイはひとつのエサを偏食することがあって、その日の当たりエサが明確にあるのも面白いところです」

夏場の釣りは気温も高いため、カニやカラスガイといったエサも弱りやすい。そこで最後の勝負に備えて、フレッシュなエサを調達したのだった。そして、ぷかり桟橋に戻った針生さんは、朝にアタリがあった遊歩道の下を元気なカニをエサにねらっていく。

ここは遊歩道の下が内側に向かって若干の空洞になっています。外から少しでも身を隠せるためか、クロダイは陰になるその中で安心してエサをついばむことが多い。今はちょうど中の空洞がねらいやすい潮位になっています。
ねらいは足もとの遊歩道のさらに内側。サオ先の変化と手に伝わる感触に集中する

ハリに付けたエサのカニを一度沖に向けて軽く振り出し、ブランコのように手前に戻ってきたところで、そのまま足もとの空洞に落とし込んで行く。すると釣り始めて数投後、サオ先がギュンと内側に引き込まれた。

「来ました! これはクロダイです!」と針生さんが声を上げる。

ついにとらえたクロダイのアタリ。何度かの突っ込みをこらえ海面近くまで魚を浮かせる
タモ入れして手にした魚は居着きと思われる真っ黒な色の40cmクラス

「大物なら50cm以上、さらにいえば60cm以上が理想ですけれど、その日の条件の中でねらいどおりに釣れればどんな魚でも最高です」と、ようやく手にできた魚にサイズ以上の満足感をもらった。

その後、もうしばらくねらってみるが、南風もさらに強まる予報だったので、この日の釣りは終了。針生さんはサオを畳んだ。

帰りの道中の急坂。「魚が釣れていれば気持ちは軽いですが、それでも電動アシストがなければこうは行きません(笑)」

出発地に戻り、スマートフォンアプリSmaChariで走行ログを確認してみると、釣り場までは往復で14kmほど、釣り場のみなとみらい地区では8kmほどを移動していた。合わせて20km強。その中には往復の急坂も含まれている。

「自分の足でこれだけの距離を動き回れるのですから、電動アシスト付き自転車はやはり便利です。自分がまだ見つけられていない有望ポイントもきっとあると思うので、さらに釣り場に通って、いい魚を釣りたいですね!」と力強く宣言するのであった。

「SmaChari(スマチャリ)」とは?

今回使用したe-Bikeは、Hondaが開発した「SmaChari(スマチャリ)」を搭載した「RAIL ACTIVE-e」というモデル。SmaChariは、自転車に取り付ける電動アシストユニットと、それに連動する専用のスマートフォンアプリにより、さまざまな自転車を電動アシスト化・コネクテッド化できるというサービスだ。

ボトルケージ用のネジ穴を利用して装着されている専用設計のリチウムイオンバッテリーは、持ち運びやすさを重視しており重さは約1.5kg。総重量の軽量化にも貢献しており、最大で約100kmのアシストが可能とされている(ただし走行条件による)
リチウムイオンバッテリーにはUSBポートが付いている。コネクターを用意すれば休憩時にスマートフォンを追加充電することもできる
クロダイのヘチ釣り
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  • ※このコンテンツは、2024年9月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。