はじめに


 Hondaは、モビリティーのリーディングカンパニーを目指す企業として、「環境」と「安全」を最重要課題と考え、さまざまな活動に取り組んでおります。環境への取り組みとしては、自ら高い目標を掲げ、排出ガスのクリーン化に効果的な電子制御燃料噴射システムを、小排気量から大排気量車に至る製品への適用を拡大しています。また、次世代技術として燃費の向上を目指し、走行条件に応じてシリンダーの点火気筒数を変化させる気筒休止エンジンについても鋭意開発を進めています。
 安全への取り組みとしては、より効果的なブレーキ操作を支援する「前・後輪連動ブレーキ」やABS等の先進ブレーキシステムを、それぞれの車種や地域の特性にあわせ、仕様の設定を拡大しています。また、量産二輪車用として世界で初めて開発に成功したエアバッグは、北米、欧州、日本においてゴールドウイングに搭載し販売しています。一方、教育ハードの領域では、危険予知判断を効果的に習得できるライディングシミュレーターや、普及型のライディングトレーナーの研究・開発などで、Hondaの独自技術を培ってきています。

 このような環境と安全の取り組みとともに、二輪車の技術開発で力を入れているのが「操る楽しさ」いわゆる「FUN」の領域です。Hondaはこれまでお客様の生活の役に立つ商品の提供を目的に、簡単な操作で運転のできるオートマチック技術を搭載した二輪車を開発・販売してきました。1958年にはオートマチック時代のさきがけとして、自動遠心クラッチ機構を備え、クラッチ操作無しでギアを変速しながら運転ができるスーパーカブC100を発売。1977年発売のスポーツバイクのエアラ(750cc)には、大型二輪車初のオートマチック機構としてトルクコンバーターを搭載。さらに1980年発売のタクトにはHonda独自技術の無段変速機構(Vマチック)を採用するなど、新機構を開発しながら現在に至っています。

 現在、オートマチックトランスミッションはスクーターを中心に広く普及しておりますが、二輪車が趣味性の高い乗り物として定着している、日本、そして欧米諸国では、より簡単な操作で変速ができるオートマチックへの期待もあり、今後はスポーツ性の高いモデルにもオートマチックの要望が高まってくるものと考えています。Hondaは、趣味性の高い二輪スポーツモデルにマッチする新たなオートマチック機構の研究開発に、長年に渡り取り組んできており、今回発表するHFT(Human-Friendly Transmission)は、DN-01に搭載されることにより、新たなモーターサイクルの世界を創造するものと考えています。


DN-01 (第40回東京モーターショー出品予定車)

HFT (Human-Friendly Transmission)


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