はじめに


 CBR600Fは1987年のデビュー以来16年間、街中からサーキットに至るまでのオールラウンド性を重視することで、非常に多くの欧米ユーザーから支持され、欧州ではスクーターを含めた年間の販売台数でトップの位置を占めるに至っています。またレースにおいては、数えきれないほどのタイトルも獲得してきました。
 軽量でコンパクト、かつ600ccの強力なパワーを誇るCBR600Fは様々な場面で、ベストバランス・スーパースポーツ、信頼できるマシンという高い評価をいただきながら、やがて多くのライバルを迎え撃つこととなりました。しかし、昨今、ユーザーの600ccスーパースポーツ・モデルへの要求はこれに留まらず、サーキットにおける強力で鮮烈なパフォーマンスを求める声も高まってきています。つまり、レースを制することを視野に入れた、高度なポテンシャルも要求されるようになってきたのです。
 またデザイン面でも、よりスポーティーでアグレッシブな方向へと流行が変化してきました。これに対してHondaが選択した方法は、高い人気を誇るCBR600Fを根底から変化させて完全なレース仕様のマシンに変貌させることではなく、600ccクラスで比類ない圧倒的な性能を持った、“RR”の称号を得るにふさわしい、まったく新しいスーパースポーツ・マシンを開発することでした。
 CBR600Fが謳歌してきた「オールラウンド・スーパースポーツ」というポジションは、その性能を大きく変化させながらCBR600RRへと受け継がれました。




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