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スタイリング

 VTRのスタイリング策定にあたっては、“新時代のスタンダードロードスポーツ”はどうあるべきか、をキーワードに、今の時代がモーターサイクルに求めている“個性”を追求し“スタンダードと個性”という相反する要件を満たしたモーターサイクルの具現化をめざして開発をスタートしました。

 昨今、一般の消費動向を見てみると、不必要な要素を排除した本当に必要なモノが求められ、価格が安くても本当に良いモノでなければ購買には結びつかないという傾向が見られます。
 このような時代にあっては、ただベーシックなだけの安価な造りのモーターサイクルをスタンダードと呼ぶことは出来ません。スポーツモデルの基本である、“見る楽しみ、乗る楽しみ”という要素を満たした上で、そのバイクのある生活自体が楽しくなるようなモーターサイクルこそ、今の時代に求められるスタンダードロードスポーツだと考えました。

 スタイリングの手法としては、すでに高い支持を獲得しているファイアーストームのイメージを踏襲しつつ、より多くのライダーに楽しんでいただける250ccVツインスポーツとするとともに、徹底したシンプル化によって、狙いとしたVTRのキャラクターをより際立たせるデザインの具現化を試みました。

 基本骨格にはファイアーストームで好評のシンプルなスイングアーム・ピポットレス構造を持つスチール製トラスパイプフレームを採用し、パイプレイアウトもVTRの軽快感やエンジンコンポーネントの見せ方に徹底してこだわり、フレームパイプのサイズやパイピングレイアウト等、ベストな形状を採用しました。

 プロポーションの決定にあたっては、メインフレームをマスの中心として位置づけ、シートサイズや積載性などの機能を必要十分に抑えた上で、フューエルタンク、シート、リアカウル等の外観パーツを極力小さく、短く見せることをテーマとしました。
 リア廻りはシートとシートカウルに一体感を持たせた上で、下面を大きく絞り込み、フレームのシートレールを包み込むことで一つの塊としての勢いを持たせ、車体全体のシンプルなイメージを強調しました。
 また、独立したパーツがバラバラに配置されている印象とならないよう、この一体イメージのシートとシートカウルが、メインフレームによって結合されたフューエルタンクとエンジンに突き刺さっているような、マスの集中したシンプルで大胆なデザインを試みました。

VTR

 細部の処理には、意識的に曲面とエッジを採り入れました。フューエルタンクは背面のラインに丸味を持たせ、横方向の張り出しを大きくしながらも、ハンドルの逃げのための窪みや、シャープなラインを表現するなど、エキゾチックな個性を主張しています。

 高い機能性を表現するため機能部品にも徹底したこだわりを注ぎました。エンジンの各カバー類にはマグネシウムカラーの塗装を施すとともに、前・後のブレーキキャリパーにはアルマイト処理を外観面に施すなど、素材感のある色や表面処理としました。

 また、メインフレーム、スイングアーム、トップ・ボトムブリッジ、ステップホルダーの色調を統一し、骨組みとしてのメインフレームがフューエルタンクのカラーリングや、エンジンのメカニカル感をより際立たせる配色としました。

 さらに、前・後ホイールは、軽量化と車体外観とのマッチングに配慮した新設計のVTR専用デザインを採用し、軽快でスペシャリティ感溢れるZ字断面の5本スポークホイールとしています。

 今回、スタンダードロードスポーツとして一人でも多くのお客さまに共感をいただくために、価格も重要な機能の一部であると考えました。従来の価格イメージを大きく塗り替える商品魅力を実現するため、エンジニアリングおよび、スタイリングデザインの手法として、仕様装備で付加価値を出していく通常の方法とは全く逆の発想で“付け加えるのではなく、削ぎ落とすデザイン”という考え方で開発を進めました。
 具体的には、一つの部品に複数の機能を与え、構成部品点数を削減することで、より合理的な構成を実現し、モーターサイクル本来の性能を向上させる機能コンシャスなデザインワークを行いました。パーツレスデザインというキーワードは、ここから生まれました。

 サイドビューのスタイリングは、斬新かつ豊かなボリューム感を持たせたフューエルタンクから、シャープに引き締まったリアカウルへと連続するシート部にも外観部品としての形状を与えることで、サイドカバーを廃止しながらも、スタイリングを成立させるフォルムを実現しました。
 ピポットレスフレームの採用によって大型化したステップホルダーは、デザイン要素をメインステップ部と、トラス構造としたピリオンステップ部に分け、視覚的に小さく見せ、またメインフレームと同色の塗装を施すことにより、高品位な仕上げとしました。




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