CONCERTO - 1988.06

CONCERTO


CONCERTO
 
ENGINE & SUSPENSION

■SUSPENSION
洗練の足まわり。
4輪ダブルウイッシュボーン・サスペンション。

(リアはマルチコントロール式)

コンピュータによるサスペンション機構解析図
コンピュータによるサスペンション機構解析図


贅沢なまでに乗り心地を追求。
4輪ダブルウイッシュボーン・サスペンション(リアはマルチコントロール式)。
世界で名だたる高性能車がダブルウイッシュボーン・サスペンションを選択しているのは、そのサス形式本来のポテンシャルの高さにあります。まず、サスの重要要件であるアライメント・コントロール・ファクターを、それぞれ独立して最適にセッティングできること。そしてダンパー/スプリング・ユニットを外力によるフリクションから解放し、ショック吸収という目的にのみ使用できること。ホンダは、この2大メリットを徹底して追求することで、操縦性、高速直進性、快適な乗り心地といった要求を、きわめてハイレベルで融合しています。さらに今までこのサス形式が抱えていた「大きく、重く、複雑」というデメリットも、独創のテクノロジーで克服。そのうえで、リアをマルチコントロール式とするなど入念なチューニングを施しました。乗り心地を重視するセダンのサスペンションとして満たすべき課題をクリアする、理想的な足まわりを完成しています。

●フロント・ダブルウイッシュボーン・サスペンション
ダンパーを取り囲むようにレイアウトしたA型アッパーアームは、ダンパーとアッパーアームの直立配置を可能にすることから、コンプライアンスブッシュへの分力を軽減。優れたコンプライアンス特性を得て、フリクションの少ないフラットライドな乗り心地を実現します。さらに、ゼロ・対地キャンバーがもたらすリニアなコーナリング性能、ゼロ・バンプステアによる安定感ある高速直進性など、操舵に関わるフロント・サスにふさわしい高い運動性能を追求しています。しかもリンク配置の最適化により大舵角に対応。ロングホイールベースでありながら小回り性能を高めています。
FRONT SUSPENSION
(1)A型アッパーアーム
(2)ナックルアーム
(3)新設計バルブ採用ガス封入ダンパー
(4)ダンパーフォーク
(5)コイルスプリング
(6)フロント・スタビライザー
(7)ロアアーム
(8)ゴムブッシュ
(9)ドライブシャフト
(10)ラジアスロッド
(11)タイロッド
(12)ベンチレーテッドディスクブレーキ
(13)175/65R14 82Hスチールラジアルタイヤ
FRONT SUSPENSION
イラスト:4ドアJX-i(2WD車)

●マルチコントロール式リア・ダブルウイッシュボーン・サスペンション
リア・サスは、ロングスパンで剛性の高いトレーリングアームに、3本のリンク(ロアアーム、アッパーアーム、コンペンセーターアーム)を最適にレイアウト。キャンバー、およびバンプステア、サイドフォースステア、コンプライアンスステアといったトー・コントロールを高次元で実現するマルチコントロール式として、コーナリング性能、高速直進性ともに高いポテンシャルを獲得しています。加えて、操縦性・安定感に与える影響を最小限に抑えながら、コンプライアンス(柔軟性)を十分に確保。インターリングブッシュや新設計バルブ採用のガス封入ダンパー(JEを除く)などと相まって、なめらかで高品位な乗り心地を達成しました。また、スペース効率も徹底して追求することで、大容量のフューエルタンクやトランクスペースを実現。セダンならではのスペースユーティリティに寄与しています。
REAR SUSPENSION
(1)アッパーアーム
(2)トレーリングアーム
(3)ロアアーム
(4)コンプライアンス・ブッシュ
(5)コンペンセーターアーム
(6)新設計バルブ採用ガス封入ダンパー
(7)コイルスプリング
(8)リア・スタビライザー
(9)ディスクブレーキ
(10)175/65R14 82Hスチールラジアルタイヤ
REAR SUSPENSION
イラスト:4ドアJX-i(2WD車)

より自然で快適な乗り心地を求めて。
さまざまな走行状況にキメ細かく対応するトー・コントロール&サス・チューニング。
発進、加速、制動。そしてワインディングロードからハイウェイまで。走行状況によってタイヤに加わるさまざまな外力は、クルマの挙動に不自然さを与えがちになります。そこで各リンクやブッシュを理想的に設定することで、不必要なトー変化、対地キャンバー変化などを最小限に抑制。さらに、インターリングブッシュ(リア)や新設計バルブ採用のガス封入ダンパー(JEを除く)を導入。安定感の高いしっとりとしたドライブフィーリングを実現します。
●ゼロ・バンプステア(フロント/リア)
路面の凹凸や突起乗り越えによる細かなステア変化を抑制。タイヤを直進方向に保ち、優れた高速直進性に寄与しています。
●ゼロ・コンプライアンスステア(リア)
路面の凹凸やブレーキングによる衝撃をなめらかに吸収。そのうえで、ブッシュ変位がもたらすトー・アウト現象を巧みな設定のトー・インで打ち消し、操縦性と乗り心地の向上を両立します。
●ゼロ・サイドフォースステア(リア)
コーナリング中に発生するサイドフォースを分散して受け止め、トー・アウト現象を排除。安定感あふれるコーナリングを実現します。
●ゼロ・対地キャンバー(フロント/リア)
旋回時に、ほぼ0°に近い対地キャンバーをキープ。タイヤが持つポテンシャルを十分に引きだし、リニアで応答性のよいコーナリング性能を発揮します。
●アンチダイブ(フロント)&アンチリフト(リア)・ジオメトリー
ブレーキング時に車の慣性力から生じるノーズダイブとテールリフトを抑制。安定感ある美しい制動姿勢を確保します。
●インターリングブッシュ(リア)
ラバー内に金属リングをサンドイッチ状に組み込んだ特殊形状ブッシュを、リアのダンパーロアーブッシュとロアアームの各ブッシュに採用しました。
最適なハーシュネス抑制効果を持たせ、しかも走行ノイズの伝導も最少限に抑えながら高いブッシュ剛性を確保。サスペンションのフリクションを低減させるとともに、剛性感を向上。安定感ある操縦性と高品位な乗り心地に大きく貢献しています。
インターリングブッシュ
インターリングブッシュ(切断面)
インターリングブッシュ
(下は撮影のため切断したものです。)

●新設計バルブ採用ガス封入ダンパー(フロント/リア)
キャビテーション(気泡)の発生しにくいガス封入ダンパーを採用。さらにピストンリングとバルブの改良により、フリクションとリークを低減しています。ピストンスピードが遅い領域では、減衰力を大きくすることで操縦性を向上。ピストンスピードが速い領域では、減衰力の必要以上の増大を抑え、乗り心地を向上。シャープなハンドリングと快適な乗り心地を高次元で両立します。(JEを除く)
新設計バルブ採用ガス封入ダンパー

強力な制動力を発揮。4輪ディスクブレーキ。
フロントブレーキは全車に、放熱効果が高く、耐フェード性に優れたベンチレーテッドタイプの大径ディスクを装備。強力で安定感ある制動力を発揮します。さらにJX-i(4WD車を除く)はリアにもディスクブレーキを採用しました。



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