MENU

HONDA

検索

環境TOPICS

公開:2015年11月19日

取材:2015年11月14日

鳥取県での大規模地震を想定したDMAT実働訓練に協力。新型FCVと外部給電器で、災害医療の現場に電力を供給。

鳥取県での大規模地震を想定したDMAT実働訓練に協力。 鳥取県での大規模地震を想定したDMAT実働訓練に協力。

 2015年11月14日、鳥取県での大規模地震を想定した中国地区のDMAT※1実働訓練が、多数の医療機関をはじめとする鳥取県の各所で行われました。Hondaは米子市の鳥取県消防学校に設置されたSCU※2(広域搬送拠点臨時医療施設)にて、新型燃料電池自動車(FCV)「CLARITY FUEL CELL」および外部給電器「Power Exporter 9000」を活用して、この拠点で使用するPCやプリンターなどの機器へ電力供給を行いました。

  • ※1
    DMAT: Japan Disaster Medical Assistance Team
  • ※2
    SCU: Staging Care Unit

被災地内から被災地外へ。傷病者を搬送するための拠点にFCVの電力を供給。

鳥取県消防学校の全景。SCUは災害医療の前線基地としてへリコプターなどが発着できる空港などに設置される

鳥取県消防学校の全景。SCUは災害医療の前線基地としてへリコプターなどが発着できる空港などに設置される

6台のPCとプリンターなどの周辺機器に、FCVから電力を供給

6台のPCとプリンターなどの周辺機器に、FCVから電力を供給

スマートコミュニティ企画室 岩田和之主任技師

スマートコミュニティ企画室
岩田和之主任技師

 DMATとは、大地震および航空機や列車事故などの災害時に被災者の生命を守るため、被災地に迅速に駆けつけ、救急治療を行うための専門的な訓練を受けた医師や看護師、業務調整員で構成される医療チームのことです。阪神淡路大震災での初期医療体制構築の遅れへの反省から「一人でも多くの生命を助けよう」と厚生労働省により2005年4月に発足された全国的な組織で、DMAT養成研修を終えた医療従事者がDMATの一員として認定されます。
 そのDMATでは、迅速、効果的な広域災害医療体制の確保と緊密な連携強化を図ることを目的に、定期的に実働訓練を実施しています。今回行われたのは、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県の5県からなる中国地区のDMATの実働訓練。11月14日午前8時30分に鳥取県にて震度7の大規模地震が起こり、多数の要救助者が発生したと想定して、県庁や医療機関、空港といった多くの場所を舞台に訓練が行われました。

 この訓練に、Hondaは新型FCV「CLARITY FUEL CELL」と外部給電器「Power Exporter 9000」を持ち込み、米子市の鳥取県消防学校に設置されたSCUへの電力供給という役割で協力しました。
 SCUとは、広域搬送拠点臨時医療施設の意味で、被災地の医療機関で収容しきれなくなった傷病者を一時集積する拠点のこと。傷病者を数人ずつ自衛隊の航空機やヘリコプターで被災地外の拠点へ搬送し、各地の救命救急センターなどにそれぞれ運ぶことで迅速な高度医療を行うことを目的としています。
 その拠点で欠かせないのが電気や通信といったインフラです。搬送用の航空機やヘリコプターを要請したり、搬送先のSCUを決定するために、県庁が設置したDMAT県調整本部と絶えず連絡を取り合わなければなりません。被災直後で停電していても、また近くにコンセントのない場所であったとしても、より多くの生命を救うために電源が必要なのです。

 そこで白羽の矢が立ったのがHondaのFCV 「CLARITY FUEL CELL」と外部給電器「Power Exporter 9000」です。そのきっかけは、2015年8月にHondaが鳥取大学医学部附属病院と共同で行った医療機器への外部給電の実証実験でした(詳しくはこちら) 。商用電源にも勝る高品質の電力が安定して供給できたという結果を受けて、鳥取大学医学部附属病院のDMATに所属する医師から訓練の場で使用してみたいとリクエストを受けたのです。
 要請を受けたスマートコミュニティ企画室の岩田和之主任技師は、訓練への協力の意義をこう話します。
「Hondaとしても世の中に知ってもらう段階のFCVと外部給電器をリアルワールドで使ってもらい、認知を広げる良い機会だと捉えました。そして何よりも、万が一の場合に実際に使ってもらう方々に機能を見ていただくことは非常に重要なことだと考えました」

電力不足の不安が付きまとうSCUでの、安定的な電力供給能力が高評価を獲得。

 鳥取県消防学校での訓練は、SCUの設置から始まりました。設置を行うのは、鳥取県庁のDMAT派遣要請を受けて、県外から駆け付けたDMATの面々。被災地である鳥取県のDMATは、各自の所属する医療機関で続々と運ばれてくる傷病者に対応しなくてはならないからです。

 現場に到着したDMATはFCVに接続された外部給電器に、電源タップを介してPCやプリンターをつないでいきます。今回のようにインフラが復旧していない状況を想定しての訓練では、通常ガソリン式の発電機を使用するそうです。しかしFCVからの外部給電なら騒音も排気ガスも出しません。いつしか「CLARITY FUEL CELL」と「Power Exporter 9000」は訓練の風景に溶け込み、静かに拠点全体の電力を支えていました。

 鳥取県消防学校のSCUには全10チームのDMATが参集。ヘリコプターや救急車を使って次々に搬送されてくる傷病者の容体を安定させつつ、観察結果から彼らの重症度と緊急度を評価します。搬送の優先順位を判断しつつ、搬送先を確保するという訓練が本番さながらの緊張感で行われました。

搬送先を確保する本部機能
傷病者の容体の安定化と搬送の優先順位を判断していく機能

SCUは、搬送先を確保する本部機能(左)と、傷病者の容体の安定化と搬送の優先順位を判断していく機能(右)に分かれる

被災地内の病院からSCUへとヘリコプターで傷病者を搬送。現場は本番さながらの緊張感

被災地内の病院からSCUへとヘリコプターで傷病者を搬送。現場は本番さながらの緊張感

傷病者の名前や搬送元をはじめとする情報をボードに記入し、容体や搬送先を共有

傷病者の名前や搬送元をはじめとする情報をボードに記入し、容体や搬送先を共有

衛星通信車の電力部への給電
テント内を照らす投光機への給電

衛星通信車の電力部への給電(左)とテント内を照らす投光機への給電(右)を同時に実現。この大容量出力によって、冬場であれば電気ヒーターなどを稼働させるなど可能性が広がる

「Honda Power Manager」の心臓部。インテリアに合わせたカラーリングを施した特別仕様

(株)本田技術研究所
四輪R&Dセンター
貞野計主任研究員

島根県立中央病院 救命救急科 山森祐治部長

島根県立中央病院 救命救急科
山森祐治部長

鳥取大学医学部附属病院 植木賢教授

鳥取大学医学部附属病院
植木賢教授

HondaではFCVと外部給電器に加え、燃料となる水素をつくるスマート水素ステーションも開発(写真右奥:東京モーターショーでの展示モデル)

HondaではFCVと外部給電器に加え、燃料となる水素をつくるスマート水素ステーションも開発(写真右奥:東京モーターショーでの展示モデル)

 訓練の終盤には、衛星電話の回線と電源を担当する衛星通信車で、バッテリーによる電力供給が一時止まってしまうという予期せぬトラブルが発生。このトラブルにもFCVから電力を供給することで訓練の続行に一役買うことができました。
 また、PCなどに電力を供給しながら同時に投光機が稼働できることも確認。災害は時間に関係なく起こります。たとえ夜間であってもFCVと外部給電器がSCUでの作業をサポートできることを証明しました。

 5時間に及ぶ訓練の間中、外部給電は機能し続けました。「CLARITY FUEL CELL」の充電、給電システムを開発したHondaの貞野計主任研究員はほっとした顔で訓練での成果をこう話します。
「外部給電は、今回のように緊急性の高い場で使われることが多い機能です。そのため、クルマと給電器の信頼性に気を使って開発してきました。こうした実践に近い場で、長時間にわたり問題なく動作し、電源をすべてこのクルマで賄いきれたということに喜びを感じています」

 また、今回の訓練で鳥取県消防学校のSCUの本部長を務めた島根県立病院救命救急科の山森祐治部長は、Hondaの外部給電機能について次のようにコメントし、高く評価していただきました。
「被災地では電力の供給が大きな不安要素です。従来使用していた発電機では燃料を調達しなくてはなりませんが、東日本大震災の時にはガソリンなどが手に入らなかったという経験もあります。そうした燃料不足の心配をせずに電気が使えることは非常に意義があると思います」

 そしてDMAT訓練を見学し、病院での実証実験に引き続き、SCUでのFCVによる電力供給を見届けた鳥取大学医学部附属病院の植木賢教授は、「FCVが『動く電源』として、たとえ停電時であってもSCUという拠点をしっかり稼働させてくれるということが分かりました。DMATの活動には電気が不可欠ですから、これはとても心強いことです」と語りました。

 このように水素を燃料とし、走行時に水しか出さない究極のクリーンカーであるFCVは、非常時には生命をつなぐ電源として大きく貢献することができます。さらに、Hondaには太陽光発電などの再生可能エネルギーで、水から水素をつくることができるスマート水素ステーション(SHS)があります。これがコミュニティに1台あれば、電気が止まったとしても、ガソリンの輸送が滞ったとしても、FCVを走らせ電力を供給できるのです。DMAT訓練への協力は、HondaにとってもFCVが果たせる役割と果たさなければならない責任を肌で実感できた貴重な機会となりました。

■DMAT実働訓練の様子

消防学校の敷地内では、災害現場で傷病者を発見・収容する過程での消防局とDMATの連携を確認する訓練も

消防学校の敷地内では、災害現場で傷病者を発見・収容する過程での消防局とDMATの連携を確認する訓練も

「FIT EV」へのV2V充電も披露。電気自動車(EV)の約4倍の電力を蓄えているFCVなら、電欠を起こしたEVも助けられる

「FIT EV」へのV2V充電も披露。電気自動車(EV)の約4倍の電力を蓄えているFCVなら、電欠を起こしたEVも助けられる

最終的にはテントの外にあふれるほどの傷病者を集積し、被災地外のSCUへと搬送

最終的にはテントの外にあふれるほどの傷病者を集積し、被災地外のSCUへと搬送

外部給電器の能力や使い方についてDMATの方々も興味津々

外部給電器の能力や使い方についてDMATの方々も興味津々

訓練を支える裏方のスタッフも四国や九州から集まってくれていると話す、日本DMAT隊員養成コースの講師を務める鳥取医学部附属病院の恩部陽弥さん

訓練を支える裏方のスタッフも四国や九州から集まってくれていると話す、日本DMAT隊員養成コースの講師を務める鳥取医学部附属病院の恩部陽弥さん

訓練後の反省会では、岩田技術主任が「CLARITY FUEL CELL」と「Power Exporter 9000」を紹介

訓練後の反省会では、岩田技術主任が「CLARITY FUEL CELL」と「Power Exporter 9000」を紹介

訓練での外部給電をトラブルなく終え、安堵と共に、大きな手ごたえを得たHondaスタッフたち

訓練での外部給電をトラブルなく終え、安堵と共に、大きな手ごたえを得たHondaスタッフたち

訓練の参加者全員が集まって「CLARITY FUEL CELL」と「FIT EV」を載せたトラックの前で記念撮影

訓練の参加者全員が集まって「CLARITY FUEL CELL」と「FIT EV」を載せたトラックの前で記念撮影

Facebookで、Hondaの環境取り組みや環境技術、エコな製品などの情報を発信しています!