2016.12.27 update
兵庫県で行われた近畿地方DMATブロック訓練に参加。
2カ所のSCU(広域搬送拠点臨時医療施設)で、EVやFCVの外部給電を実施。
2016年12月17日、兵庫県が震度7の地震に見舞われ重傷を含む多数の負傷者が発生した想定で、DMAT(災害医療派遣チーム)訓練が行われました。近畿地方2府4県(京都、大阪、滋賀、奈良、和歌山、兵庫)のDMATが集結して行われたこの訓練に、Hondaは燃料電池自動車(FCV)や外部給電器を持ち込み、2カ所のSCU(広域搬送拠点臨時医療施設)で通信機器や電子機器への電力供給を実施。災害時、既存電源を喪失した場合でもFCVやEVを使って迅速に安定した電源を確保できることを示しました。

2016年12月17日、兵庫県が震度7の地震に見舞われ重傷を含む多数の負傷者が発生した想定で、DMAT(災害医療派遣チーム)訓練が行われました。近畿地方2府4県(京都、大阪、滋賀、奈良、和歌山、兵庫)のDMATが集結して行われたこの訓練に、Hondaは燃料電池自動車(FCV)や外部給電器を持ち込み、2カ所のSCU(広域搬送拠点臨時医療施設)で通信機器や電子機器への電力供給を実施。災害時、既存電源を喪失した場合でもFCVやEVを使って迅速に安定した電源を確保できることを示しました。
日産のEVとHondaの外部給電器で、超高速インターネット衛星通信システムに電力を供給。






近畿地方2府4県(京都、大阪、滋賀、奈良、和歌山、兵庫)では、災害時の医療体制整備の一環として毎年各県が持ち回りでDMAT(災害医療派遣チーム)訓練を実施しています。2016年は山崎断層帯を震源とする内陸型地震により兵庫県が震度7の地震に見舞われたと想定し、兵庫県で訓練が行われました。
Hondaは今回、兵庫県内の訓練会場のうち2カ所のSCU(広域搬送拠点臨時医療施設)に機材と人員を派遣。そのうちの一つ三木総合防災公園では、外部給電器“Power Exporter 9000”を日産の電気自動車e-NV200と接続し、取り出した電気で超高速インターネット衛星通信システムを稼働させました。
SCUとは傷病者を被災地内から被災地外へ航空機搬送するための臨時医療施設であり、搭乗前の最終メディカルチェックを実施する拠点です。続々と運び込まれてくる傷病者を外部医療機関へ迅速に搬送するため、通信および情報収集の核となるインターネット回線の確保はSCUの最優先課題の一つ。三木総合防災公園SCUで通信インフラ構築を担当したDMAT事務局の細川徹氏は、一連の訓練の中で“Power Exporter 9000”の有効性をこのように語りました。
「災害時に既存の電源が被害を受けた際でも、 各社のEVやFCVから迅速に電気を取り出して超高速インターネット衛星通信システムを稼働させられる “Power Exporter 9000”の存在は、頼もしい限りです。しかも質の高い安定した電気なので、このような高精密な通信システムに非常に有効な外部電源だと思います」
“クラリティ FUEL CELL”と“Power Exporter 9000”で、神戸空港SCU本部の電力を供給。








一方、Hondaが参加したもう一つの訓練会場、神戸空港SCUには、燃料電池自動車(FCV)“クラリティ FUEL CELL”と外部給電器“Power Exporter 9000”が出動し、SCU本部のPCやプリンタ、通信機器などに電力を供給しました。
神戸空港には三木総合防災公園に比べて規模の大きなSCUが設置され、救急車をはじめ陸上自衛隊の救急搬送車両などが次々と傷病者を運び込みます。そうした傷病者の情報を集約し、外部医療機関と連絡をとって的確に搬送先を決定し、指示を出していくのがSCU本部の役割。臨時に並べられたテーブルの上にはPCやプリンタ、通信機器がずらりと並び、DMATスタッフたちは休む間もなくこれらを操作します。実際の災害時には予想通りに物事が進むことは希で、突発的に発生する問題にいかに臨機応変に対応できるかが重要。よってDMAT訓練では、詳細な予定を組まずにその場その場で柔軟に処置していく対応力の養成に重きが置かれるのだとか。その際の拠り所となるのが、すべての情報が集約されるSCU本部であり、そのSCU本部の電源を引き受けたのがHondaの“クラリティ FUEL CELL”と “Power Exporter 9000”なのです。
神戸空港SCUの全体統括を行った西島章氏は、災害時における外部電源の重要性をこのように語ります。
「私自身、東日本大震災の被災地で医療活動に従事した際、何より電源の確保に苦労しました。既設電源が災害で使えなくなった際、臨機応変に対応できるFCVやEVなどの『動く外部電源』を活用する環境の整備は、DMATの重要課題の一つです。今回Hondaが参加してFCVの外部給電を行ったことは、今後のDMATの体制構築に大きな意義があります」
Hondaから今回の訓練に参加したスマートコミュニティ企画室の八方理恵主任は、この日の訓練で社会認知の変化を感じたと言います。
「DMAT参加者が“クラリティ FUEL CELL”のことを『電源車』と呼ぶ場面がしばしば見受けられました。FCVが『動く外部電源』として認知されてきたことの表れとして、嬉しい事象だと捉えています」
そして、鳥取県、高知県に続き、今回の兵庫県と3回のDMAT訓練に参加してきた本田技術研究所の江口博之主任研究員は、Hondaがこうした訓練に参加する意義について、次のように語ります。
「 Hondaの外部給電器は、医療機器のように繊細な電子機器を安定して稼働させる能力があることを広く知っていただきたい。また、災害時にEVやFCVを動く電源として使用することを当たり前のこととして広めたい。この2点が、我々がDMAT訓練に参加する大きな理由です。今後も機会があれば積極的に参加していきたいと考えています」
環境負荷低減だけでなく災害時のレジリエンスにも寄与するHondaの「つくる・つかう・つながる」コンセプト。各地のDMAT訓練への参加という地道な活動を通じて、徐々に社会に認知されつつあります。
奈良先端科学技術大学院大学が持ち込んだ「自律式車載型衛星通信システム」








(取材日 2016年12月17日)
環境TOPICSは、環境ニュースHot! Eyesとして生まれ変わりました。