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2016.12.20 update

南海トラフ地震を想定した、高知県でのDMAT実働訓練に参加。
外部給電器を活用し各社のモビリティから医療機器に電力を供給。

2016年12月3日、高知県南国市にて四国DMAT連絡協議会が主催する、南海トラフ地震を想定した四国DMATブロック実働訓練が行われました。この訓練において、Hondaは外部給電器「Power Exporter 9000」を介して、燃料電池自動車(FCV)「クラリティ FUEL CELL」や日産自動車株式会社の電気自動車(EV)「日産リーフ」の電力を検査用装置や人工呼吸器といった医療機器に供給。実際の災害現場に近い環境下でも医療機器を安定的に稼働できることを実証しました。

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南海トラフ地震を想定した、高知県でのDMAT実働訓練に参加。外部給電器を活用し各社のモビリティから医療機器に電力を供給。

2016年12月3日、高知県南国市にて四国DMAT連絡協議会が主催する、南海トラフ地震を想定した四国DMATブロック実働訓練が行われました。この訓練において、Hondaは外部給電器「Power Exporter 9000」を介して、燃料電池自動車(FCV)「クラリティ FUEL CELL」や日産自動車株式会社の電気自動車(EV)「日産リーフ」の電力を検査用装置や人工呼吸器といった医療機器に供給。実際の災害現場に近い環境下でも医療機器を安定的に稼働できることを実証しました。

災害時を見据えた実践的な訓練において、外部給電により医療機器に電力を供給。

医療モジュールでは、本番さながらの災害医療が繰り広げられた
医療モジュールでは、本番さながらの災害医療が繰り広げられた
内閣府 政策統括官(防災担当)付参事官(災害緊急事態対処担当)付救急・救助・医療等担当参事官補佐 三瀬 博文氏
内閣府 政策統括官(防災担当)付参事官(災害緊急事態対処担当)付救急・救助・医療等担当参事官補佐
三瀬 博文氏
アビームコンサルティング株式会社 公共ビジネスユニット 江井仙佳氏
アビームコンサルティング株式会社 公共ビジネスユニット
江井仙佳氏

 DMATとは、災害派遣医療チームを意味する「Disaster Medical Assistance Team」の頭文字をとったもの。大規模な災害時に被災者の生命を守るため、被災地に駆けつけ、救急治療を行うための専門的な訓練を受けた医師や看護師、業務調整員で構成される医療チームです。
 今回行われたのは、四国各地に拠点を置くDMATチームを対象にした実働訓練。南海トラフ地震により高知県内に多大な被害が発生したことを想定した訓練です。また、この訓練では内閣府が主催する医療モジュール実証訓練も合わせて実施されました。これは県内の医療機関も被災し、他県の医療機関への傷病者の即時搬送も困難な場合を見据えて、応急的に設置した医療現場(医療モジュール)で搬送までに必要な医療対応を検証することを目的としたものです。
 内閣府の三瀬博文氏は訓練の狙いをこう話します。
「大規模地震の発生時には現地の医療機関も大きな被害を受けますが、一方で負傷される方も多くいらっしゃるはずです。そうした医療ニーズの増大に対応するため、災害時の医療機能を補完することを目指して医療モジュールについて検証し、対応力を高めていきたいと考えました」

 HondaがDMATの訓練に参加するのは、鳥取県で行われた中国地区のDMAT実働訓練に継いで二度目。前回は被災地から各地の病院に傷病者を搬送する訓練において、「クラリティ FUEL CELL」から外部給電器「Power Exporter 9000」を介してPCなどの通信機器に電力を供給しました。今回は、搬送よりも治療に主眼を置いた訓練とあって給電先は医療機器。2015年にはHondaと鳥取大学は、すでに「Power Exporter 9000」を用いて「フィットEV」を電源に医療機器を稼働する実証実験を完了しています。それが、今回の訓練での医療機器への給電の足掛かりとなりました。

 DMATとHondaをつないだのは、一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会です。この協議会は、事前防災・減災の考えに基づき、「国土強靭化」に関する総合的な施策づくりや、その推進を図っています。協議会の参与を務めるアビームコンサルティング株式会社の江井仙佳氏は、これまでの経緯を次のように話します。
「強靭なスマートコミュニティ構築のため、これまでHondaをはじめとする多くの企業と協議を重ねてきました。その中で、DMATや日本医師会など医療機関とともに、災害時の電力供給を検討したところ、本日の参加要請を受けたのです。今回の訓練は、国土強靭化のためには不可欠なテーマであり、高品質で大容量の電気を供給できる『Power Exporter 9000』に最適な事例。しかも、実践的な訓練の中で医療機器と接続できることに大きな価値があります」

緊迫感あふれる訓練現場で、「クラリティ FUEL CELL」と「Power Exporter 9000」が活躍。

「クラリティ FUEL CELL」から外部給電器「Power Exporter 9000」を介して検査室に電力を供給
「クラリティ FUEL CELL」から外部給電器「Power Exporter 9000」を介して検査室に電力を供給
続々と搬送されてくる傷病者に迅速に対応
続々と搬送されてくる傷病者に迅速に対応
実際に包帯を巻くなど、処置に必要な時間やスペースなどを検証
実際に包帯を巻くなど、処置に必要な時間やスペースなどを検証
検査室に配置された検査機器やPC、プリンターなどに電力を供給
検査室に配置された検査機器やPC、プリンターなどに電力を供給
シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス(株) 執行役員 角間俊昭氏(左) ラボラトリ営業本部 中国・四国リージョン第Uエリア エリアマネージャー 谷村康弘氏(右)
シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス(株)
執行役員 角間俊昭氏(左)
ラボラトリ営業本部 中国・四国リージョン第Uエリア エリアマネージャー 谷村康弘氏(右)

 訓練は負傷者を収容し治療するための医療モジュールの設営からスタート。四国の各地から参集したDMATのメンバーが簡易ベッドを組み立て、電源コードやPCなどを配置していきます。そして人工呼吸器やポータブルタイプのレントゲン、検査用の装置など、搬送までの数日間、また搬送に耐えるだけの処置を行うための医療機器が用意されました。
 そこに傷病者が次々と運び込まれてきます。リアルな特殊メイクが施された負傷部位に実際に包帯を巻いたり、重傷者に見立てたマネキンに消毒液を塗って可能な限りの処置を行うなど、実際の災害時を想定した緊迫感あふれる訓練が行われました。

 そうした中、「クラリティ FUEL CELL」は検査室の役割を果たしたテントの全電力を供給。血液検査や尿検査といった検査用の医療機器をはじめ、データを記録し出力するPCやプリンターにも給電を行いました。

 医療機器を提供したメーカーの担当者らは、見た目には一般的な乗用車と変わらないFCVが電源車の役割を果たせることに驚きを隠せない様子でした。血液検査、尿検査用の機器を提供したシーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス株式会社の谷村康弘氏は、Hondaのスタッフから「Power Exporter 9000」を介すことで、電力会社同等の品質の電気が供給できると聞き、次のようにコメントします。
「自家発電などの電気は電力会社のものに比べると品質が劣ることが多くあります。医療機器は精密機器。ちょっとした電気のブレで測定結果がずれ、正確なデータが出づらいものですから、安定した電力を供給いただけるのは心強いですね」

各社のモビリティから高品質な電力を供給できる「Power Exporter 9000」が高評価。

「日産リーフ」と「Power Exporter 9000」を接続
「日産リーフ」と「Power Exporter 9000」を接続
「日産リーフ」の電力を8台の人工呼吸器に電力を供給
「日産リーフ」の電力を8台の人工呼吸器に電力を供給
日産自動車(株) グローバルEV本部 バッテリービジネス部 加部俊課長代理
日産自動車(株) グローバルEV本部 バッテリービジネス部 加部俊課長代理
人工透析を行う装置も接続し稼働を確認
人工透析を行う装置も接続し稼働を確認
独立行政法人国立病院機構 災害医療センター DMAT事務局運営室 近藤祐史医師
独立行政法人国立病院機構 災害医療センター DMAT事務局運営室
近藤祐史医師
(株)本田技術研究所 汎用R&Dセンター 江口博之主任研究員
(株)本田技術研究所 汎用R&Dセンター 江口博之主任研究員

 さらに「Power Exporter 9000」は他メーカーのFCVやEVとも接続可能※1。今回の訓練では、日産自動車株式会社のEV「日産リーフ」と接続し、8台の人工呼吸器を同時に稼働させました。
 日産自動車(株)の加部俊氏は、「Power Exporter 9000」と接続し給電を行った感想をこう話します。
「私たちもEVが災害時や防災に果たす役割と可能性について、関係各機関と協力しな がら検討・実証を重ねてきています。今後、EVやFCVが様々なメーカーから投入されると思います。今回の“Hondaと日産”だけでなく、多くのメーカーが繋がっていくことで、より国土強靭化に役立ち、社会的に大きな意味を持っていくのだと思います」

 「クラリティ FUEL CELL」「日産リーフ」はともに訓練の開始から終了まで、電力を供給し続けました。訓練への参加をHondaに呼びかけた、独立行政法人国立病院機構 災害医療センター DMAT事務局運営室の近藤祐史医師は電動車両と外部給電器の組み合わせをこう評価します。
「たとえライフラインが途絶えたとしても医療を届けるのがDMATの使命です。そこで医療機器などを稼働するための電力をできるだけ確保するためにFCVやEVの可能性を検証したいと考えました。実際に何のトラブルもなく医療機器を稼働できたこと、またDMATのメンバーも普段通りの感覚で機器をコンセントにつなぎ、使っていたことから、非常用電源としての役割に大きな可能性を感じました」

 自らが開発に携わった「Power Exporter 9000」の活躍を見届けた株式会社 本田技術研究所 汎用R&Dセンターの江口博之主任研究員は、今回の訓練参加の意義をこう振り返ります。
「これだけ現実的な災害を想定した場で、医療機器を稼働させたのは初めてのことになります。そこで確実に医療機器を稼働できることを実証できたこと、また災害時に使用いただく可能性の高いDMATの皆様に体験いただけたことは、今後の実利用に向けて非常に有用だと考えています」
 緊迫感あふれる災害医療が繰り広げられた高知県でのDMAT訓練。その使用環境下でも「Power Exporter 9000」によりFCVやEVを電源に医療機器を稼働させることができました。将来的に、これらの次世代車が普及することは、環境負荷低減だけでなく災害への備えにもつながります。FCVやEVの幅広い可能性、またそれを最大限に引き出す「Power Exporter 9000」の実力を改めて確かめることのできた訓練となりました。

※1
「電動自動車用充放電システムガイドライン V2L DC版」に従った車両

(取材日 2016年12月3日)

環境TOPICSは、環境ニュースHot! Eyesとして生まれ変わりました。