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2019.03.28 update

本田技研工業(株) /(株)駒井ハルテック / Romblon Electric Cooperative, Inc.

風力発電の電気を貯めた可搬式バッテリーで、電動バイクが走る島。環境課題の解決と、豊かな暮らしの実現を目指して。

本田技研工業(株) /(株)駒井ハルテック / Romblon Electric Cooperative, Inc.

ディーゼル発電の燃料を輸送船に頼るフィリピン共和国のロンブロン島で、現地のロンブロン電力組合が株式会社駒井ハルテックの風力発電機を導入。その余剰電力を充電ステーション「Honda Mobile Power Pack Exchanger」を介して「Honda Mobile Power Pack」に貯め、島民の足となる約100台の電動バイク「PCX ELECTRIC」を走らせる実証実験が始まりました。数年にわたり実証実験に携わってきた人たちの、心に秘める想いをひも解いていきます。

風力発電の電気を貯めた可搬式バッテリーで、電動バイクが走る島。環境課題の解決と、豊かな暮らしの実現を目指して。

南国の太陽に美しく輝くロンブロン島が抱える課題。

 フィリピン共和国のロンブロン島へは、首都マニラから南に約300km、空路、陸路、海路などを乗り継ぎ約1日がかりで到着します。この面積約87km、幹線道路は1周約40kmほどの小さな島に約3万9,000人の島民が暮らしています。

南国の太陽に美しく輝くロンブロン島が抱える課題。

 ロンブロン州の州都である港町ロンブロンでは、島民の主な移動手段であるバイクとトライシクル(三輪タクシー)が途切れることなく行き交います。その交通量は、のどかな南の島のイメージとは裏腹に、朝夕の時間帯には交通渋滞が起きるほどです。商店が集まる街の中心部や生鮮市場の周辺には人も多く集まります。フィリピンは東南アジアの中でも経済成長が著しいといわれますが、首都マニラから遠く離れたこの街にあっても活気が溢れています。

ロンブロン島にあるディーゼル発電施設。ディーゼル発電はエネルギーリスクとCO2排出の問題を抱える。
ロンブロン島にあるディーゼル発電施設。ディーゼル発電はエネルギーリスクとCO2排出の問題を抱える。

 そんなロンブロン島に暮らす人々の生活を支える電気エネルギーは、島内に設置されたディーゼル発電施設でつくられています。
 ディーゼル発電は大規模な設備を必要としないため、ロンブロン島のような人口の少ない離島地域に適した発電方法です。しかし発電に必要な燃料は船による輸送に頼るしかないので、輸送コストが掛かる分、電気代が高くなるだけでなく、荒天などで輸送船が欠航となれば燃料が底をついて発電がストップする可能性もあります。
 こうしたエネルギーリスクは、ロンブロン島にとって長年の課題となっています。また、一般的には天然ガスなどを使った火力発電などと比べて発電時のCO2排出量が多く、環境負荷が高いというデメリットもあります。

エネルギーの地産地消で、島民に豊かな生活を。

Honda ビジネス開発統括部 エネルギービジネス開発部 エネルギーマネジメント課 主任 榊秀雄
Honda ビジネス開発統括部 エネルギービジネス開発部 エネルギーマネジメント課 主任 榊秀雄
ロンブロン島での、電気の「つくる・つながる・つかう」
ロンブロン島での、電気の「つくる・つながる・つかう」 風力を利用してCO2フリーの電気を「つくる」。充電ステーションでモバイルパワーパックを充電し、夜間などに生じる余剰電力と「つながる」。そしてその電気を「PCX ELECTRIC」の電源として「つかう」。

 そのロンブロン島で2019年2月10日、Hondaと株式会社駒井ハルテック、そしてロンブロン電力組合(Romblon Electric Cooperative, Inc.:ROMELCO)(以下、ロメルコ)による実証実験の稼働開始セレモニーが開かれました。
 この実証実験では、ロンブロン島の豊富な風力資源を利用する風力発電で島の電力の約20%を賄うとともに、夜間を中心に発生する余剰電力を使って島民の足となる電動バイク約100台を走らせます。このことで、移動も含めて島で使われるエネルギーを再生可能エネルギーで賄うことが可能になります。

 ロンブロン島に導入された(株)駒井ハルテックの風力発電機は、発電出力300kWの設備が3基(計900kW)です。街を見下ろす山の尾根沿いに建てられたこの風力発電機が、島の風を電気に変えます。そのクリーンな電気は、ロメルコが管理する送電網を通じて島全体に供給されます。
 主に夜間に発生する風力発電の余剰電力は、Hondaが島内に設置した充電ステーション「Honda Mobile Power Pack Exchanger」を通じて、着脱可能な可搬式バッテリー「Honda Mobile Power Pack」(以下、モバイルパワーパック)に貯められます。そしてこのモバイルパワーパックを電動バイク「PCX ELECTRIC」に搭載して、島民の方々が日常の足として使用します。

 まさにHondaの考える、電気の「つくる・つながる・つかう」が、ロンブロン島を舞台に現実のものとなっている今回の実証実験について、約2年間、着々と準備を進めてきたHondaの担当者、榊秀雄(さかきひでお= Honda ビジネス開発統括部 エネルギービジネス開発部 エネルギーマネジメント課 主任)が説明します。
「今回の実証実験には2つの目的があります。ひとつはロンブロン島が長年の課題としていたエネルギーリスクへの対応。もうひとつはCO2排出量の低減です。この2つの目的達成のために、着脱可能なバッテリーが搭載された『PCX ELECTRIC』を導入し、実際に島民の方々に使っていただきます。その結果として、みなさんの生活がより豊かになることにつながれば嬉しいです」。

この取り組みは環境省の「平成29年度〜30年度途上国向け低炭素技術イノベーション創出事業」に採択されています。