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2019.03.28 update

本田技研工業(株) /(株)駒井ハルテック / Romblon Electric Cooperative, Inc. 風力発電の電気を貯めた可搬式バッテリーで、電動バイクが走る島。環境課題の解決と、豊かな暮らしの実現を目指して。

始まりは、立場は違えど同じ想いを持っていた、3者の出会い。

島民が心配なく暮らせる島であるために。地元の電気インフラを担うロメルコの想い。

 今回、ロンブロン島に風力発電機を導入したロメルコは、本社を置くロンブロン島をはじめ、管轄する5つの島すべての島民に電気を送り届ける電気事業者です。
 その中でロメルコは再生可能エネルギーの導入を推進し、管轄エリア全体では、再生可能エネルギーによる発電量が約40%に達しています。そして2020年までには、この割合を90%まで引き上げる計画まで立てています。
 なぜここまで積極的に導入を進めるのか、レネ M. ファヒラグタン氏(ロメルコ ゼネラルマネージャー)が語ります。

島民に電気を供給するロメルコ本社にも、充電ステーションが設置されている。
島民に電気を供給するロメルコ本社にも、充電ステーションが設置されている。
ロンブロン電力組合(Romblon Electric Cooperative, Inc.:ROMELCO) ゼネラルマネージャー レネ M. ファヒラグタン氏
ロンブロン電力組合(Romblon Electric Cooperative, Inc.:ROMELCO) ゼネラルマネージャー レネ M. ファヒラグタン氏

「再生可能エネルギーによる発電は、燃料を船で輸送してこなければならないディーゼル発電と違い、安定的に自給できるという意味で信頼することができるエネルギー源です。これによって、燃料供給の不安定さ、燃料価格の変動といったリスクに対応し、発電コストも下げることができます。それともうひとつ、CO2排出量の低減も再生可能エネルギーを導入する大きな理由です。地球温暖化が気候変動に影響する可能性があると言われていますが、確かに、年々台風の威力は強くなっているように感じています。島に暮らす私たちにとって気候変動は身近な問題なのです。ですから、これらの問題に対応するためには、温室効果ガスのひとつであるCO2の排出量を減らさなくてはならないと考えています。世界全体から見れば小さな努力かもしれませんが、そのために私たちは再生可能エネルギーを積極的に導入しています」。

 すべての島民が停電や台風の心配をすることなく、安心して暮らしていくために。レネ氏は、エネルギーリスクへの対応に加え、再生可能エネルギーを積極的に導入することによってCO2排出量を低減し、気候変動にも対応していこうとしています。
 そしてこの取り組みを少しでも多くの国の人に知って共感してもらい、行動の輪を広げるために、レネ氏は国際的なシンポジウムなどにも多く出席し、広くPRを続けています。

大型風車の建設が難しい地域にも対応する、風力発電機を開発する株式会社駒井ハルテックの想い。

 レネ氏がロンブロン島に風力発電機を導入したきっかけは、橋梁などの鋼構造物メーカー(株)駒井ハルテックで環境事業を推進する豊田玲子氏(とよだれいこ=株式会社駒井ハルテック インフラ開発本部 インフラ環境事業部 企画マネージャー)との出会いでした。

(株)駒井ハルテック インフラ開発本部 インフラ環境事業部 企画マネージャー 豊田玲子氏
(株)駒井ハルテック インフラ開発本部 インフラ環境事業部 企画マネージャー 豊田玲子氏
ロンブロン島でCO2フリーの電気をつくるのは、(株)駒井ハルテックの中型風力発電機。
ロンブロン島でCO2フリーの電気をつくるのは、(株)駒井ハルテックの中型風力発電機。

 風力発電機の開発に取り組む(株)駒井ハルテックは、再生可能エネルギーの活用を促進してCO2排出量の低減に貢献することを掲げています。
「なかでも東南アジアにもよく見られる離島に適した、台風にも強い中型風車の開発は、CO2排出量の低減だけでなく直接的な課題であるエネルギーリスクへの対応にも貢献できると考えています」。
 豊田氏がこのように語る(株)駒井ハルテックの風力発電機は、大型風車の建設が難しい過酷な地形や気象条件にも対応ができます。これまで風力発電機の設置条件が満たせなかった場所でも設置が可能になるということは、より多くの土地でのCO2排出量の低減とエネルギーリスクへの対応につながっていきます。

 しかし、ロンブロン島での風力発電機の導入にあたり、ひとつ課題がありました。
 再生可能エネルギーによる発電には“余剰電力”の活用が課題視されています。例えば、風車は風があれば常に回り続けますから、あまり電力を必要としない夜間などには発電した電気が余ってしまいます。それでも発電を続ければ、需要と供給のバランスが崩れて停電につながります。そのような事態を避けるために出力抑制という発電量を抑えるための措置が取られるのですが、しかしそれでは風力発電機の発電能力を十分に発揮しているとは言えません。

「余剰電力をもっと有効に活用できる方法を考えていた時に、Hondaが着脱できるバッテリーと電動バイクを検討していると聞きました。東南アジアの離島というのはクルマよりも圧倒的にバイクが多いですし、今後は車両の電動化が進むと考えると、バッテリーに余剰電力を貯めて電動バイクを走らせるという仕組みは非常に効果的です。暮らしだけでなく、移動にも再生可能エネルギーを活用できるというのは、まさに理想形だと感じました」。(豊田氏)

共通の想いを持つ3者が出会い、始まった実証実験。

 風力発電の余剰電力を、Hondaの技術で有効に使っていく――。この提案を受けた榊は、豊田氏とともにすぐさまロンブロン島に渡りました。

「現地で話をしてみると、島民が安心して暮らせる島にするための再生可能エネルギーの導入に対して、レネさん自身も非常に積極的でした。
 風力発電機でクリーンな電気をつくり、その余剰電力がモバイルパワーパックにつながり、電動バイクの電力としてつかうことができる。駒井ハルテックさんと組むことで、電気の『つくる・つながる・つかう』 を、ここロンブロン島で実現することができ、レネさんの想いにも応えることができると思いました」。(榊)

  CO2排出量の低減とエネルギーリスクへの対応を通して、島民の豊かな暮らしを実現していきたい。そんな想いを持つ3者が集まり、ロンブロン島での実証実験が始まることになったのです。

「Hondaの目指す持続可能な社会を実現するためにも大きな意味を持つ実証実験ですから、こうしてスタートさせることができたことはとても感慨深いです。」(榊)

実証実験の稼働開始セレモニーにて。写真左から(株)駒井ハルテック 豊田氏、ロメルコ レネ氏、Honda 榊。
実証実験の稼働開始セレモニーにて。写真左から(株)駒井ハルテック 豊田氏、ロメルコ レネ氏、Honda 榊。