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Honda Face Top > CASE36:(株)本田技術研究所 航空機エンジンR&Dセンター EPISODE-2

Face (株)本田技術研究所 航空機エンジンR&Dセンター Face Top

Honda 航空機エンジン開発ヒストリー

かつてチャレンジした、さまざまなタイプの試作エンジン

かつてチャレンジした、さまざまなタイプの試作エンジン

Honda 航空機エンジン開発ヒストリー

試作ターボファンエンジン 「HFX-01」
「HF118」開発風景

2003年、エンジンも機体も全てHonda製の飛行機が、初めて空へと飛び立ちました。

 1986年、まったくのゼロから、手探りで航空機エンジンの研究開発がスタートしました。
  「最初は、勉強やノウハウ蓄積のために、いろいろなタイプのエンジンにチャレンジしました。どのメーカーもやっていない最先端のエンジンを創ってみたいという想いもありました。しかし現実的に事業化を想定すると、やはり業界の主流であるターボファンエンジンでいこう。そのなかでいちばん優れたエンジンを開発しようという方向に決まっていきました」(野田)
 1990年には、Honda独自開発の試作ターボファンエンジン「HFX-01」が組み上がりました。地上で様々なテストを繰り返し、改良を重ね、5年後には高空で動くことを実証するフライング・テスト・ベッド(FTB)を実施。大型旅客機ボーイング727の機体にエンジンを取り付け、上空でエンジンに点火して機内でデータ解析を行いました。
 「それまでは地上で試験ばかりしていましたが、初めて空の上で、本来働くべき高高度の環境の中で、自分たちが創ったエンジンがパワーを出した。感慨深いものがありましたよ」(野田)
 その後も試験データを蓄積し、研究を重ねながら、1999年、ついに量産化を目指したターボファンエンジン「HF118」の開発に着手します。
 「いよいよ、本気だぞ、世の中に出すぞ、というのがHF118です。開発にあたって、いちばん重要視したのは燃費と重量。HF118は、当時の同クラスのエンジンよりも燃費で10%、推力/重量比で20%上を行くことを目標に掲げ、まさしく世に打って出るためのエンジンとして開発をスタートしたんです」(野田)
 そして2003年、「HF118」を搭載したHondaJetが初飛行に成功します。それは、自分たちがゼロから開発したエンジンが、同じくHondaが開発した試作機に搭載されて大空へと飛び上がった瞬間。「いつかは空へ」の宣言が現実のものになった瞬間でした。

「HF118」を搭載したHondaJet

「HF118」を搭載したHondaJet

高松計 研究員

高松計 研究員

山口和彦研究員

山口和彦研究員

業界最大手のGEと提携し、量産型エンジンの開発と市販化へ。

 試験飛行に成功した「HF118」には、その後も過酷な飛行テストが待っていました。アメリカに駐在して試験を担当した高松計研究員は、その状況をこう伝えています。
 「航空機エンジンは飛行試験が重要です。地上試験では空気が薄く極低温という高高度の環境を完全には再現できないからです。飛行中のエンジンには機体の動きによって応力がかかりますし、氷も水も入ってきます。地上のベンチテストでは体験できないことを数多く体験することで、エンジンが鍛えられていくんです」
 希薄な空気でも、低温や水が入っても、つねに最適な連続燃焼を続けることは、安全性はもちろん、燃費やエミッションといった環境性能にも大きく影響します。とくに燃費については、HF118は徹底的にエンジン内部の空気の流れを良くすることで目標とした10%の向上を達成していました。
 「ファン、コンプレッサー、タービンとか、その空気効率をどんどん上げていく。いかにスムーズな空気の流れとしてロスを減らすか。というところが燃費に大きく効いています」(野田)
 基本的な開発を完了した開発チームが次のステージを見つめはじめたとき、トップダウンによってある方針が提示されました。それは、他の航空機エンジン製造メーカーとの提携でした。
 「それまで独自に開発を行ってきましたが、市販・量産となると航空機用部品のサプライヤーの問題や認定取得までの厳しい壁など、別のノウハウが必要です。経営陣は、本気で市販することを考えていたからこそ、量産エンジン開発の条件として、市販・量産の経験とノウハウがあるメーカーと組むという経営判断をしたのだと思います。」 (野田)
 Hondaが声をかけたのは、世界最大の航空機エンジンメーカー、ジェネラルエレクトリック社(GE)でした。
 「GEは大型旅客機のエンジンが専門で、小さなビジネスジェット機用のエンジンは手掛けていなかった。彼らは小型エンジンの市場に参入するために、提携する相手、エンジンを探していたところでした。そんなGEがHondaのHF118を認めてくれて、一緒に組むことになったんです」(野田)
 GEとHondaは小型ジェットエンジンの事業化に向けた合弁会社「 GE Honda エアロエンジンズ(GE Honda)」を設立しました。
 「最初はHF118をベースにGEの技術を投入する小改良のつもりでしたが、時間の経過とともに他社に差を詰められた部分もありました。それで、もっと性能を向上させて他社を引き離すために、HF118を抜本的に進化させ、さらに上の燃費性能や軽量化を実現するHF120の開発を決めたんです」(野田)
 GEとの共同開発はHondaにとっても驚きの連続だったと、品質マネジメントを担当する山口和彦研究員は語ります。
 「GEのすごさは、あらゆる部品について、定められた基準に適合していることを実証するノウハウを持っているところです。エンジンの認定でも、米国の航空業界ではそれを裏付けるドキュメントがないと信用してもらえない。その実証のノウハウがGEにはあるんです。材料もスペックもドキュメントも、すべてGEのものをHondaの図面で流用できるのがメリットでした」