犬が食べても良い野菜・ダメな野菜。気になる栄養素や正しい与え方

useful useful お役立ち情報 お役立ち情報 January.13.2023

犬が食べても良い野菜・ダメな野菜。

気になる栄養素や正しい与え方

ドッグフードに茹でた野菜をトッピングするという飼い主さんも増えました。健康のために食事に野菜を取り入れることは大切ですが、野菜の中には犬が食べてはいけない野菜もあります。この記事では犬が食べても良い野菜と食べさせてはいけない野菜をご紹介するとともに、犬が野菜を食べるメリットとデメリットについて解説します。

犬に野菜は必要?
メリットとデメリットとは

野菜は人にとって健康維持に欠かせない食べ物です。しかし、ドッグフードで必要な栄養を摂取している犬にとっては、必ずしも毎日必要な食べ物ではありません。そこでまずは最初に、犬にとって野菜を食べるメリットとデメリットについて解説します。

犬が野菜を食べるメリット

野菜に多く含まれているビタミンやミネラルは犬の体の機能を健康に保ち、食物繊維は腸内環境を整えて便秘解消などに役に立ちます。また、太り気味の犬であれば、ドッグフードの量を減らし、低カロリーの野菜を加えることでダイエット効果が期待できます。ほかにも水分量の多い野菜を摂取することで、脱水予防や熱中症対策にもなります。

犬が野菜を食べるデメリット

犬は繊維質の多い野菜の消化が苦手です。そのため、野菜を適量以上与えると消化不良や下痢、嘔吐などの体調不良を引き起こす可能性があります。また、糖質を多く含むサツマイモやかぼちゃなどを与えすぎると肥満になったり、犬によっては特定の野菜でアレルギー反応を引き起こしたりすることもあります。

犬が食べても良い野菜をご紹介!

健康のために嬉しい栄養素

犬が食べても良い野菜は数多くあります。ここではその中でも犬用メニューを提供する飲食店でも使われ、健康面においてもおすすめの野菜をご紹介します。

根菜類

犬が食べられる根菜類には、にんじん、大根、カブなどがあります。

  • にんじん

    にんじんには健康な被毛や皮膚を保つβカロテンや高血圧の予防に有効なカリウム、腸内環境を整える食物繊維などが多く含まれています。与える場合は加熱してすりつぶすか細かく刻んでから与えましょう。
  • 大根

    大根は90%以上が水分のため、水分補給やダイエットにおすすめの野菜です。ただし、消化酵素も豊富なため、食べすぎには注意が必要です。大根の白い部分を与えるときは生のまま皮をむいてすりおろすか細かく刻んでから与えましょう。葉の部分は茹でて細かく刻んでから与えます。また、大根の中には辛みの強いものもあるため、愛犬が食べる前に、飼い主さんが試食して辛くないか確かめましょう。
  • カブ

    カブには免疫力を高めるβカロテンが多く含まれています。カブの白い部分を与えるときは皮をむいて、生もしくは加熱したものをすりつぶすか細かく刻んでから与えましょう。葉の部分は茹でて細かく刻んでから与えます。愛犬の甲状腺機能が低下している場合は、与えて問題がないのか動物病院で相談してから与えましょう。

葉茎菜類

キャベツ、レタスなどの葉茎菜類も犬に与えて良い野菜です。

  • キャベツ

    キャベツには強い抗酸化作用のあるビタミンCや胃腸の調子を整えるビタミンU、腸内環境を整える食物繊維が豊富に含まれています。与えるときは加熱して消化しやすいように細かく刻みましょう。もし愛犬に尿路結石歴がある場合や甲状腺機能、腸内機能が低下している場合には、与えて問題がないのか動物病院で相談してから与えましょう。
  • ブロッコリー

    ブロッコリーにはビタミンとミネラルが豊富に含まれており、愛犬の免疫力アップやアンチエイジングに役立ちます。与える場合は柔らかく茹でてから細かく刻みます。食物繊維が多い茎は外側の硬い皮を剝いてからみじん切りにしましょう。愛犬が腎臓病や尿路結石がある場合や甲状腺機能が低下している場合は、与えて問題がないのか動物病院で相談してから与えましょう。
  • レタス

    レタスは95%以上が水分ですが、ビタミンCやビタミンE、葉酸、カリウム、食物繊維なども含まれているため、病気予防効果が期待できます。レタスは生食することもできますが、水分が多く、身体を冷やしやすいため、老犬やお腹が弱い子は加熱したものを刻んでから与えましょう。
  • 小松菜

    小松菜は鉄分やカルシウム、ビタミンC、βカロテンなどが豊富に含まれているため、免疫力アップが期待できる野菜です。与える場合は加熱して消化しやすいように細かく刻んでから与えましょう。

果菜類

果菜類にもきゅうりやトマトなど、犬が食べられる野菜があります。

  • きゅうり

    約96%が水分のきゅうりは水分補給や夏バテ防止におすすめの野菜です。また、カリウムやビタミンK、βカロテンなども含まれ、健康維持に役立ちます。生のまま与えても大丈夫ですが、消化器官が弱っている場合には皮をむいてから与えましょう。もし愛犬に腎臓病や心臓病がある場合は、与えるのを控えましょう。
  • トマト

    トマトには抗酸化作用のあるリコピンが含まれており、犬の健康維持に役立ちます。ただし、トマトには犬にとって有毒な部分があります。熟していない青いトマト、熟したトマトでもヘタや茎、葉、種、皮を取り除き、実の部分だけを細かく刻んでから与えましょう。
  • ピーマン

    βカロテンやビタミンEなどが豊富なピーマンは免疫力を高める効果が期待できます。与える場合はヘタと種を取り除きましょう。ピーマンは生食することもできますが、水分が多く、身体を冷やしやすかったり、皮が硬かったりするため、老犬やお腹が弱い子は加熱したものを刻んでから与えましょう。
  • ごぼう

    犬に与えても大丈夫な野菜ですが、食物繊維を多く含むごぼうは、与え過ぎると消化不良や下痢、便秘を引き起こすことがあります。煮るなどの加熱調理を行い、細かく刻む、ペースト状にするなどの形状で適量与えるようにするなどの配慮は必要です。
  • なす

    なすは柔らかい実の部分は与えても問題ありませんが、皮は硬く食物繊維が多いので、細かく刻んだり、フードプロセッサーでペースト状にしたりと食べやすくしてから与えましょう。ただし、過剰に与えると下痢や嘔吐の原因となるので注意が必要です。また、茎や葉には毒素が含まれますので与えないでください。
  • オクラ

    オクラには抗酸化作用のあるβカロテンやビタミンE、歯や骨を丈夫にするカルシウム、整腸効果のある食物繊維などが豊富です。与える場合はヘタを取り除き、生または加熱したものを細かく刻んでから与えましょう。

ほかにも、とうもろこしは犬に与えても大丈夫です。ただし、必ず茹でてから与えるなど、与え方に注意が必要です。詳しくは「犬はとうもろこしを食べても大丈夫?量や与え方に注意!」をご覧ください。

犬に食べさせてはいけない
野菜をご紹介!

なぜ食べてはいけないの?

野菜の中には犬が食べると中毒を起こすものがあります。わずかな量でも食べたり、なめたりしないように気を付けましょう。

ねぎ・にら・にんにく

長ねぎや玉ねぎなどのねぎ類・にら・にんにくは与えると下痢や貧血、嘔吐などの中毒症状が出て、最悪の場合、死に至るため与えてはいけません。これらの食材は香りづけとしても料理に取り入れられることがあります。少量でも危険な野菜ですので、与える際にはこれらの野菜が混ざっていないか必ず確認しましょう。

アボカド

アボカドに含まれているペルシンは犬にとって有害な成分で、嘔吐や下痢を引き起こします。また、アボカドのカロリーは高く、種はのどを詰まらせる恐れがあるため与えないようにしましょう。

ぎんなん

ぎんなんに含まれるギンコトキシンは犬にとって有害です。与えると嘔吐や下痢、めまい、けいれん、呼吸困難などの中毒症状が出ます。散歩中も落ちているぎんなんを口にしないように注意が必要です。

わさび・唐辛子・山椒

わさび・唐辛子・山椒は刺激が強いため、嘔吐、下痢、胃のけいれんなどを引き起こす可能性があるので避けましょう。

とろろ芋(山芋)・長いも

とろろ芋は、粘り気がありシュウ酸カルシウムが含まれています。この成分の結晶がかゆみやかぶれの原因になるため、与えないようにしましょう。長いもは生食や加熱調理をして与えることができますが、とろろ芋と同じくシュウ酸カルシウムが含まれているため注意が必要です。かぶれの原因にもなるため、初めて与える際には少量を与え様子を見ましょう。

同じいもでも、サツマイモは与えることができます。ただし、与え方には注意が必要です。詳しくは「犬はサツマイモを食べても平気なの?おいしいけれど、ちょっと注意!」をご覧ください。

どんな野菜も
100%安全なわけではない

犬が食べても良い野菜を紹介しましたが、どんな野菜も誤嚥(ごえん)を起さないように細かく刻み、味付けはしないようにしましょう。調味料の中には犬にとって危険な玉ねぎが含まれていることもあり、野菜を茹でる際も塩を加える必要はありません。また、野菜の多くに含まれている食物繊維は、薬の効き目を弱くすることがあるため、愛犬に薬が処方されている場合には注意が必要です。そして与えすぎにも注意し、初めて食べさせる野菜は少量にして、体調に変化がないか必ず確認しましょう。

愛犬が食べてはいけない野菜を
食べてしまった

愛犬がキッチンなどに置いてあった野菜をかじってしまった!しかも犬が食べてはいけない野菜を食べてしまった場合、体に異変が起きていなくてもすぐに動物病院に連絡してください。その際、愛犬が「何を、いつ、どのくらい食べたか」を確認し、病院に伝えて指示に従いましょう。

食べられる野菜でも、
与える量と与え方は大切

人にとってはおいしい野菜も犬にとっては有害な場合があります。本記事でご紹介をした犬が食べられる野菜であっても、個体差や体質などの問題により症状が出ることもありますので、動物病院に相談してから与えると安心でしょう。

監修:秋山 蘭

ヤマザキ動物看護大学 助教

[修士(獣医保健看護学)・ペット栄養管理士・CRT]

/動物臨床栄養学研究室

修士(獣医保健看護学)を取得後、ヤマザキ動物看護大学にて動物看護学の臨床的な実習を中心に担当をする。動物臨床栄養学の教育・研究では、犬の手作り食レシピの作成や犬・猫の肥満の改善をテーマに行っている。

※このコンテンツは、2023年1月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。