【獣医師監修】犬の健康診断は何歳から?検査内容・費用・注意点などを解説

useful useful お役立ち情報 お役立ち情報 April.24.2020

【獣医師監修】
犬の健康診断は何歳から?
検査内容・費用・注意点などを解説

最近は犬の平均寿命も延びて、健康に対する意識が高まっています。犬が健やかに日々を送れるように健康診断を定期的に受けようという意識が高まってきていますが、具体的にどんな検査内容をいつ受けさせればいいのかわからない飼い主さんも多いでしょう。そこで、費用面なども含めて詳しく解説します。

そもそも犬の健康診断は必要?

犬の成長はとても早く、小型・中型犬の1歳は人間のおよそ15歳にあたり、大型犬の1歳は人間の12歳にあたります。その後の成長は緩やかになり、1年ごとに小型・中型犬は4歳ずつ、大型犬は7歳ずつ年をとっていくと言われています。近年は犬も長寿になってきており、認知症や運動機能障害や運動機能の低下などの理由で立てなくなる、採食や排便・排尿が困難になるなど、介護が必要になるケースも増加しています。

こうした背景から、犬の健康に気を配る飼い主さんは多くなっていますが、犬は人の4~7倍の早さで老化します。動物病院に来た段階ですでに病状が進行していて、獣医師が手を尽くしても残念ながら愛犬を亡くしてしまうこともあります。

日々、飼い主さんが愛犬の全身をさわって異常がないかチェックすることは出来ますが、見えない場所で進行する病気や自覚症状の無い病気などもあるため、健康診断を定期的に行い、予防や早期発見に努めることが大切です。

健康診断を受けるタイミングは?

まず、何歳から受けるとよいという明確な基準はありません。ほとんどの場合、生後半年間は予防接種などを受けるため、月1回程度は定期的に動物病院に行き一般的な健康チェックを受けるでしょう。その後、健康診断を受けはじめるタイミングは満1歳を一つの目安にしましょう。1歳から定期診断を受けはじめるのは早いと思う方もいるかもしれませんが、前述の通り、犬は生後1年間で人間のおよそ15歳にあたるまで一気に成長します。ある程度成長が止まった段階で、生まれ持った異常や若い時期に出やすい病気(アレルギー、膝蓋骨脱臼、異物誤飲、外耳炎、下痢等)を患っていないかを把握することで、今後具合が悪くなった際に適切な処置が可能です。7歳を過ぎるシニア期は病気も増えてくる年齢なので、遅くともこの年齢までには定期的な健康診断を開始するとよいでしょう。

健康診断を受けるべき頻度は?

健康診断は定期的に受けることが大切です。最低でも年に一度の健康診断を意識するとよいでしょう。小型・中型犬で年一度の健康診断は、人で考えたら4年に一度、大型犬では7年に一度ということになりますので、もし年間2回程度の健康診断をしても、決して多いわけではありません。小型・中型犬は7歳、大型犬は5歳になるとシニア期と呼ばれ、体に不調が出る可能性が高くなるので、半年に一度以上の健康診断を心がけるとよいでしょう。忘れないために毎年、健康診断に連れていく日を決めてしまうのもひとつの方法です。飼い主さんや愛犬の誕生日、もしくは春の狂犬病の注射やフィラリア予防のついでに健康診断を受けるのもおすすめです。

犬の健康診断は
どこで受けられる?
内容や費用は?

犬の健康診断は専門機関へ行かなければ受ける事ができないのか、どんな検査内容なのか、費用はどのくらいかかるのか?さらに注意点も詳しく解説します。

犬の健康診断は動物病院で受けられる

犬の健康診断は動物病院で受けることができます。かかりつけの動物病院に、健康診断を行っているか聞いてみましょう。愛犬が病院を怖がるから連れて行くのはかわいそう、と感じる飼い主さんもいますが、病気を悪化させてからでは費用や時間もかさみますし、愛犬の体の負担も大きくなりますので、早期発見と予防に努めましょう。元気なうちに健康診断の受け入れが可能で、信頼のおける動物病院を探しておくことが大切です。

犬の健康診断の内容と費用

犬の健康診断でも、ペットドックと呼ばれる人間ドックと同じような検査を行うこともあり、身体検査、血液検査、尿検査、糞便検査などの基本的な検査から、レントゲン検査や超音波検査、甲状腺ホルモン検査、眼底検査、心電図、体脂肪測定なども受けられます。費用は検査内容や動物病院によって様々ですが、健康診断を行っている動物病院のサイトを確認すると、検査内容や費用の詳細が記載されています。不明点があれば、電話で問い合わせてみましょう。費用面が気になる場合は複数の動物病院を比較検討してください。日本獣医師会が平成27年度に調査した「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査及び飼育者意識調査」の調査結果によると、健康診断(1日ドック)の料金の中央値は1万4,021円で、7,500円~3万円に大半が入っていますから、ひとつの目安にするとよいでしょう。また40.8%の病院が対応外と回答していますので、受診するまえにペットドックが対応可能な病院か確認をしましょう。

他にも、単体の検査項目をいくつか組み合わせて数千円という動物病院もあります。どの検査を受けるべきかは、動物病院の獣医師と相談しながら、検査内容を決めると間違いがありません。愛犬の健康を守るために一人で悩まず、迷ったら獣医師など動物のプロに相談するとよいでしょう。

犬の健康診断の注意点

犬の健康診断は事前予約が必要な場合が多いです。まずは事前に問い合わせをし、必要なら予約をしておきましょう。人間ドックの場合は健康診断前に一定時間絶食しますが、犬の健康診断では、検査内容によっては絶食がとくに必要ない場合もありますので、絶食する必要があるのか事前に動物病院に確認しておくとよいでしょう。また、人と違い便や尿をその場で意識的に出すことは出来ませんので、検査当日に便や尿を持参する必要があるのか確認しておくとよいでしょう。体調の良い状態で健康診断を受けるのが好ましいので、少しでも愛犬の体調に不安がある場合は獣医師に相談しましょう。

獣医師は愛犬の普段の様子を知っているわけではありません。犬の健康診断を受けること自体は大切ですが、飼い主が愛犬の様子に変化がないかを観察することも重要です。食欲や睡眠時間に不調がないか、歩き方の異常はないか、痒がったり、何度も舐めたり気にしている箇所はないか、体を触ってイボやしこりがないか、自宅での愛犬の様子をよく観察し、健康診断の時に伝えて重点的に診てもらいましょう。人間より早いスピードで年をとっていく分、病気になるタイミングも早く訪れます。また病院では気が張って症状を隠す犬もいますので、気になる行動や仕草があれば、スマートフォンなどで動画撮影し、獣医師にみせることも有効です。

大切な愛犬のために
定期的な健康診断を!

愛犬は私たちが愛情をたっぷり注ぐと、いつだって大きな愛情で返してくれるかけがえのない存在です。そしてよほどのことがない限り、飼い主や家族に心配をかけまいと元気に振る舞おうとします。「うちの愛犬はまだ大丈夫だろう」と思ってしまいがちですが、人間よりも先に老いていくということを忘れないでください。また、愛犬の健康を考えて入念にセルフチェックを行っていたとしても、見えない病気に気が付かない可能性もあります。さらに仕事が忙しくなるなどライフスタイルの変化から愛犬の健康チェックがおろそかになってしまうこともあるかもしれません。見落とされがちな病気を早期発見するためにも動物病院で健康診断を定期的に受けることが重要です。

愛犬と遠出をする予定がある場合など、おでかけ先で困らないためにも日頃のケアが大切です。ぜひ半年から1年に一度は愛犬を健康診断に連れて行ってあげましょう。

監修者:ぐぅ動物病院白神 久輝 院長