上司力研修
成果発表会 2020
Report

3年目を迎えた上司力研修。今年度は全研修をオンラインで実施。
今回、2020年度受講者104名の中から代表者5名の取り組みを
好事例として共有する成果発表会もオンラインで開催した。

長引くコロナ禍の中、
組織に直面する課題に向き合い、
乗り越えた事例を共有

成果発表会をオンラインイベントとして
開催し進化

研修受講者となるマネジメント層が、学びながら、自身の職場で実際に取り組みを並行していく上司力研修。2020年度はついに全事業所参加が実現した。

成果発表会は、オンラインでのグループワークや質疑応答の時間を設け、受講者参加型のイベントとして実施した。

上司力研修 成果発表会とは?

「講演」でダイバーシティマネジメントのヒントや気づきを得て、「上司力研修」の「研修」と3回の「ゼミ」で「上司のあり方」「チームビジョン」「組織デザイン」「現場を応援する仕掛け」のテーマを現場に持ち帰り、受講者がチームメンバーを巻き込み実践していく。「成果発表会」は、受講者がどのような状況下で取り組み、生じた葛藤や障壁をどう乗り切ったのかを共有することで、各自のマネジメントに活かしてもらうための場。

ダイバーシティマネジメント講演受講後、上司力研修へ。上司力研修では研修、3回のゼミと並行して、各職場で実践課題として取り組む。成果発表会は各現場での実践の好事例を共有する場。 ダイバーシティマネジメント講演受講後、上司力研修へ。上司力研修では研修、3回のゼミと並行して、各職場で実践課題として取り組む。成果発表会は各現場での実践の好事例を共有する場。

ゲスト講演

人を大事にする環境と制度づくりの徹底が
会社を成長させる自己組織化を推進する

『多様な働き方を可能にする経営理念と実践』
(株)日本レーザー 代表取締役会長 
近藤 宣之 氏

「人を大切にする経営とは何か?」という問いを切り口に、ご自身の経験談からTopとしての在り方と、日本的な経営の良さを生かしながらワーク・エンゲージメント、エンプロイー・エンゲージメントを高め、成果につなげる組織の作りについて語っていただいた。

質疑応答では各々の「課題感」を
全体に向けて発信

講演後には、Zoomのブレークアウトルーム機能を利用し、参加者同士が小グループに分かれて感想を述べあった。最後に2グループの代表が発表。「部下とのコミュニケーションが取れているか、自問するきっかけになった」という意見や、「経営者ではない自分の立場でできることは、何があるのだろうか?」という質問が出るなど、講演で刺激を受け、悩みながらも上司として前進しようとする参加者の積極性が見えた。

代表発表

Case01自責で捉えメンバーと本音で語り合う
Willを理解することで自走する組織に変貌

四輪事業本部 ものづくりセンター
電子制御開発統括部 先進安全技術開発部
車両ダイナミクス制御開発課
CE 兼子 俊海

四輪のユーザ操作で切り替える制御開発を行っています。10名前後が所属するグループですが、研修前は日々の仕事に追われ、一人ひとりとのコミュニケーションに時間が割けず、各人のモチベーションの低下をフォローできていないことや、人を育てられていないことが悩みでした。

2Wayでコミット。
Willの尊重と強みを活かした役割付与

フラットに話をしたいという思いから、チームビジョン作成はメンバー全員と、じっくり時間をかけて行いました。「相互の想いをぶつける」ということを意識し、それぞれの立場での理想像や意見を丁寧にすり合わせて作ったことで、みんなが立ち返る軸になったと思っています。

2WayではWill(やりたいこと)を尊重することを意識。当人との議論を経て抽出したその人ならではの強みをベースに役割を付与しました。また、「他メンバーへ教える」という役割を併せて与えることで強みをさらに強化する一方で、弱みは別の人にフォローしてもらうという仕組みも作りました。そのような取り組みの中で、互いにリスペクトの気持ちが芽生え、自走してうまく走るチームになりつつあると感じています。

「この仕事は誰の仕事」という定義は、正直固定観念ではないかと感じています。互いを信じ認めて、役責にとらわれすぎず、ワイワイ楽しくやっていくグループでありたい。この研修を通して、自分自身のマネジメントスタイルの起点をつくることができました。

ひとりよりもみんなで作ることで、魅力的なものが生まれる ひとりよりもみんなで作ることで、魅力的なものが生まれる

田岡講師コメント

面談を誰よりも多く行い持前の“素直力”を活かしてメンバーの特性を理解し、人の弱みを人の強みで補うチーム作りを達成されました。「強みからWillを生み出す」ことに注目された点は、まさにダイバーシティマネジメントです。

Case02組織をF1現場に見立て司令塔としてシフトチェンジ
相互の信頼を高めて主体性を引き出す

四輪事業本部 ものづくりセンター
完成車開発統括部 車両開発一部
生産製造技術課
課長 羽田 将友

四輪新機種開発体制の再編により直属の部下が3倍に増え現在は一部業容見直しにより3桁を超える人をかかえる組織となりました。
このように大きな組織をどう回していくべきか、リーダーとしての気負いがあり、部下に頼れず、自分ですべて実行するというスタイルが変えられませんでした。

メンバーからの指摘でハッとした
リーダーはあくまで支援者であるという気づき

職場実践にあたり、まずは3人のキーパーソンを選出してチームビジョン作成に着手。メンバー内で各々がHondaの1ユーザーとしての視点で意見・感想を述べ合うことで、相互の信頼を高められたことが収穫でした。

組織デザインは、私が研修内で「F1」を意識して作成した組織図をもとにメンバーの意見を聞きました。すると、ゴールでの旗振り役としていた私の立ち位置に対し「課長は司令塔では?」という率直な意見が。また、ドライバーは実務者であり、リーダーはそれを支援するピットクルーであると指摘されました。リーダーはあくまで支援者であるという貴重な気づきを得られました。

一連の活動を経て、「自分がリードするだけでなく任せて支援する」という上司のあり方に気づき、マネジメントの視野を拡げることができました。「熱さ」で引っ張っていくことが一番良いことだと思っていましたが、加えて冷静に相手の話に耳を傾けることが重要だと気づき、実行したことで、メンバーも自分ごととして主体的に動き始めてくれたと実感しています。

部下を信じ傾聴し期待を伝えて、自分も共に成長 部下を信じ傾聴し期待を伝えて、自分も共に成長

須田講師コメント

「部下に任せきれないという気負いがあった自分自身」に向き合ったからこその気づき。それが、若手からの「自分たちに任せてくれ」という自発的な声に結びついた。上司冥利に尽きる出来事ですね。

Case03ベテラン層のメンバーに素直な想いを伝え
組織が一体となれた

ホンダアクセス 営業部 第一販売ブロック
ブロックリーダー 穂谷 和宏

ベテラン層が多い部門で、組織の閉塞感・存在意義への疑問などを持つメンバーも多くいました。また、内外環境変化もあり、2020年4月の異動後手探りで組織改革に着手しました。その矢先に上司力研修がスタートし、職場での実践内容の確認の場として研修を活用していこうと考えました。

メンバーを信頼して任せることが上司の真髄
主役はメンバー、上司は脇役!を意識

チームビジョン、組織デザインは2Way後にベテラン層メンバーを中心にアサインしたコアメンバー5名で作成。みなさん実力的には申し分は無く素直に頼りました。

原点に戻って組織の問題点の棚卸をして、「どうやったらブロックメンバー全員に浸透できるか」をコアメンバー5名全員で考え抜いて腹落ちする形で言語化・共有化できたことで、コアメンバー間に強い連帯感が。コアメンバーに組織を牽引する原動力としての役割を付与できたことで、今後も継続して組織全体の活性化に貢献してもらえるという期待が持てるようになりました。

コアメンバーのみなさんとこの組織をこれからどうしていくかを本音で腹を割って語れた事。みんなで作り上げるという一体感を醸成し、全員が主役であるということを自然と形成出来た事。そしてメンバー全員が活躍できるよう上司は脇役に徹することが大事だと学びました。

チームビジョンを総意で作ることで仕事の意味付けが明確になった チームビジョンを総意で作ることで仕事の意味付けが明確になった

前川講師コメント

“自分が職場を変える”という強い意思を持ち、研修をインプットだけに留めず、現場に活かした点がすばらしいです。メンバーを信じて任せる姿勢を結果に繋げたことで、今後上司としてさらに飛躍されることでしょう。

Case04成長を妨げているのは私?
我慢し任せたことで芽生えた若手の主体性と自信

二輪事業本部 営業部 営業二課
課長 荒井 清香

本社海外営業で日本域外でのビジネスを日本からサポートする業務を行っています。
私の所属する営業二課は20代の社員が半数以上を占める部門なので、次世代人材育成も大切な仕事です。しかし、若手の本音を汲み取れずつい自分がリードしてしまうことが多く、リーダーとしてその姿勢で良いのかモヤモヤを抱えていました。

「変わらなければいけないのは私」
一人ひとりに興味を持ち雑談も交え自ら近づいた

仕事を進めようとするあまりつい自分が前に出てしまう、そのことで彼らの考える機会を阻害してしまっているのではないかと研修を通じてふと気づきました。何よりも自分自身が、メンバーに対して先入観を持って接していたのではないかと。そこで、まずは声がけ・挨拶など積極的にコミュニケーションを取ることからスタートし、2Wayでは傾聴と共感を意識したことで、今まで気づかなかったそれぞれのキャリア観や将来への想いを聞くことができました。

チームビジョン作成では、メンバー全員が集まって議論しました。時折訪れる沈黙につい口を出したくなる気持ちをグッと我慢。すると徐々に議論が活性化するようになっていったのです。

新型コロナウイルスの影響で、海外の現場で何が起きているか分からないという課題には、「次に行く時に向けて何ができるか」とポジティブに打ち手を考える方向にシフトしました。
施策提案に向けては若手とシニアでペアを組む体制で、お互いの立場を生かして協力して取り組めるように。若手が自ら主体的に動き、考え、提案した結果、見事に予測が的中し、本人たちの自信に繋がりました。

メンバーの持ち味を引き出し自信に繋げ自己実現できる職場に! メンバーの持ち味を引き出し自信に繋げ自己実現できる職場に!

田岡講師コメント

傾聴と共感の姿勢を重視し、業務だけではなく人に関心を持って接したことが、メンバーの内発的動機付けにつながったと感じます。「見張る」ではなく「見守る」姿勢が、メンバーの成長を生んだのだと思います。

Case05「自分は何者?よそ者?」
自分自身が多様性だからこそ出来たこと

二輪事業本部 熊本製作所
完成車工場 車体製造モジュール
モジュールマネージャー 加瀨 弘明

昨年、工場のマネージャーとして異動しました。長年研究所に勤務していた自分にとっては青天の霹靂。自分が一番の「よそ者」であると感じたスタートでした。上司・部下の思想行動などのギャップ、長所を認め合わない、上司の想いが伝わりにくいことがマネジメントの課題であると捉えました。

よそ者だから状況を変えられる
積極的な姿勢で着実に前進

「よそ者」が信頼を得るにはどうしたらよいか。私は部下からの報告を待たずに毎日必ず自分が生産現場へ出向き、積極的にコミュニケーションを取ることにしました。現場でいろいろな人の意見を直接聴くことで、潜在的な問題が表面化。また、労いの言葉をかけることを意識し、できる限りの誠意を見せるという小さな積み重ねで徐々に信頼を獲得できました。

部下のモチベーションを高めるために、本来みんなが持っている「つくる喜び」を取り戻すべく「不良品をなくせば残業は減らせる。早く帰って良いものを作りましょう」と何度も繰り返し伝えました。そして個人・部門ごとの改善提案数を競う制度を設け、個人同士の競争から部門、そしてモジュール全体のチームワークを高める仕組みを実践しました。

「何かを変えてよくしたい」とよそ者である私が言い続けることで、現場のメンバーの見方が変わり、実際に何かが変わりそうだと思い始めてくれたと、残業減などの目に見える結果から実感しています。

よそ者の自分を温かく迎えてもらった。今は職場が自慢 よそ者の自分を温かく迎えてもらった。今は職場が自慢

須田講師コメント

「よそ者」であることをプラスに活かした自己開示を原動力として、現場訪問や組織図の変更など一貫した行動をとっておられる。加瀨さんの行動や態度が、現場メンバーからの変化への期待を生んでいるのでしょう。

グループ
ディスカッション

参加者同士で意見を交換し
試行錯誤する現場の悩みを共有

代表発表後は、その内容についてグループ内で意見を交換。3グループの代表者が感想を述べあった。質問では「若い部下に任せる範囲の見極めは?」「ベテラン層活性化において、ブレイクスルーの方法は?」と自らの現場での悩みを反映した具体的な問いかけが挙げられ、職場でのコミュニケーションや上司と部下の関わり合いについて、現状を打破する方法を少しでも多く学びたいという参加者の意欲・関心の高さが窺えた。

講評

二輪事業本部 熊本製作所
完成車工場
工場長 森田友蔵

部下を信じる「信用」と
部下を頼る「信頼」の使い分けが大切

皆さんの好事例発表を聴き、多様性や褒めることが定着し、同じ立場を持つ者同士の横のつながりも強まっていると感じました。Honda社員は本当は個性に溢れているのに、その力が弱まってきているのではないかと感じることがあります。個の力を最大限発揮するために、どうマネジメントするかが私たちの最大の課題です。そのために、部下を信じ、自分を信じる「信用」。自分より優れている部下には頼れるところを頼るという「信頼」。この使い分けが大切だと思います。これからも、一体感ある職場・仲間づくりを頑張っていきましょう。

人事部 部長 大野 慎一

職場の困りごとに真摯に向き合い
試行錯誤し続けることの大切さ

100年に一度の変革期と言われる今、組織に求められるものが多様化・高度化する中においても皆さんが日々奮闘しながら、より良い職場づくりに取り組まれていることに勇気づけられました。マネジメントの資質というのは、限られた人に与えられたものではなく、『機会・旅』だと思います。大切なことはチャレンジ精神を持って取り組む姿を上下関係なく見せ合うことではないでしょうか。Hondaが存在を期待され、輝き続けるためにも、従業員1人ひとりがその可能性を解き放てるような職場づくりに一緒に取り組んでいきましょう。

受講者からの声

  • 代表者の発表事例を自分の業務に置き換え、行動を振り返る良い機会に
  • 研修での仲間がもがきながら組織に貢献する様子を視聴し、刺激を受けた
  • ディスカッションで管理職同士の苦労を分かち合えた。もう少し時間がほしかった。
  • ゲストの講演を生で聞きたかった。会場の臨場感により、 さらに理解が深まる
  • オンライン開催でも一体感があったが、最後は直接会って親睦を深めたかった
  • 同じ研修を受講しても目前の課題と悩みの大きさで、アウトプットに差が出ると認識
  • 主役は自分ではない「部下に興味を持つことの重要性」に はっとさせられた
  • 足しげく現場に出向く行動力やコミュニケーションの取り方が参考になった
  • 「ありのままの自分を出し合う職場に!」という講話は印象的で、そんな職場を目指したい
  • 主役であるメンバーに対し、上司がメンバーの背中をどう押し続けられるかが課題
  • マネジメント自らがすぐに動き、メンバーとの距離を縮めることが大切
  • 身近なところからしっかりやり切ることで、職場で相互信頼を築けることに気づいた

人事部多様性推進室から

20年度は全開催回オンラインでの研修となりました。初めての研修環境の中でも、活発に意見交換が行われ、研修での学びを職場に持ち帰り積極的に実践に移されている姿が印象的でした。成果発表会はオンラインイベントとなりましたが、代表発表者やゲスト講演、受講者同士のディスカッションからの学びをダイバーシティマネジメントの伝道師として全社へ波及していってください。今後のご活躍を期待しております。

上司力研修 成果発表会
2020 事務局
多様性推進室 主任 
増子 美和