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デザイナーズ・トーク-Honda製品のデザインに込められたこだわり

PCX

世界中のさまざまな街を走る ひとつのデザイン いろいろな国に、それぞれの道路事情があり、乗る人の好みも異なる。けれど、本質を徹底的に追求していけば、「日常生活に使う」というスクーターの使い道の中で誰もが喜んでくれるものが必ずできるはずだ──。人間は混雑した都市部でどんな走りを求めるのか、「気持ちがいい」「高級感がある」と思えるかたちとはどんなものなのか。それを真摯に追い求めていくことで、「世界中のさまざまな街を走るひとつのデザイン」が完成した。 本田技術研究所 二輪R&Dセンター 立石 康 ホンダR&D サウスイーストアジア シワタット・モンコンサッパヤー 写真は海外仕様車

PCXはタイで生産され、タイ国内の他、日本やヨーロッパの街も走る「グローバル」なデザインのスクーターです。ただしHondaにとってその言葉は、つくられる場所や走る地域が幅広い、というだけの意味ではありません。

今回は、PCXのスタイリングや機能へのこだわりに関するエピソードを通じて、Hondaの考える「グローバル」なデザインについてもご紹介したいと思います。

PCXが走る、世界の街

最初に、PCXが走ることになる各国の「バイク事情」をお話ししましょう。
まずはスクーターが生まれ、そして発展してきたヨーロッパ。ここでは、通勤や通学、日常のちょっとした移動などに古くからスクーターが使われています。クルマの免許を持ってさえいれば125ccまでのバイクに乗ることができ、乗る人の体格が大きいこともあってか、車体も大柄。スタイリングはちょっと独特です。老若男女、毎日の足として気軽に使っているシーンをよく見かけます。

日本はヨーロッパと比べて、バイクが日常生活の中で必ずしも不可欠なものではなくなってきたのも事実。しかし、今もクルマの免許で乗れる50ccスクーターが多く走っていて日常生活に役立っていますし、クルマのようにゆったりと乗れて、大きなトランクを備えた「ビッグスクーター」も人気。PCXが属する「125ccクラス」のスクーターは近年、特に都市部でその機動性や経済性が見直され、人気を博しています。

最後に、このバイクの企画やデザイン、製造が行われたタイ。ここのバイク事情は、ヨーロッパや日本の人からしてみると、かなり特殊。都市部の若者たちを中心に台数を伸ばしてきてはいるのですが、基本的にギアチェンジの必要なバイクを当たり前として捉えてきたタイの人たちにとって、オートマチックのスクーターは「新しいジャンルのバイク」として捉えられているのです。

この写真は、タイの街角の風景。スーパーカブをルーツとするタイプのモーターサイクルが多く走っています。中にはスクーターもいますが、ヨーロッパや日本で見られるようなビッグスクーターはほとんど走っていません。そこには、通勤・通学はもちろん運搬から遊びまで、日常に必要な移動のほとんどをバイクで行っていたため、何よりも小回りや積載性といった実用性が重要視されてきたということが理由として挙げられます。特に都市部では強烈な渋滞が発生するので、たとえ快適でスタイリッシュなバイクへの憧れがあったとしても、日本やヨーロッパのように、「気軽な移動手段」というだけの存在にはならないのです。

すべての街を、ひとつのデザインで

では、改めてPCXをご覧になってみてください。
足を投げ出した姿勢──いわゆる「シットイン・ポジション」で乗るタイプのスクーターです。エンジンは125ccで、タイヤは、日本で走るスクーターとしては珍しい14インチサイズ。ボリューム感はあるけれど、フォルツァやシルバーウイングといった、日本国内でおなじみのモデルと比べて、かなりコンパクトで、軽快な感じがすると思います。
このデザインが、世界中の「グローバル」な道を走ることになるわけです。

こんなにもいろいろな場所にいろいろな道があり、いろいろな人が乗るのに、同じデザイン?求められるハードウェアも、デザインの好みも違うのに、そんなことができるの?とお思いかも知れません。確かにそうです。しかし、我々はそれを可能にできるはずだし、やってみる価値がある、と考えたのです。

バイクに乗ったことのない人にも振り向いてもらえるように

背景にはタイにおける近年の経済成長があります。これまでタイではずっとバイクが移動手段の中心でしたが、近年はクルマへとシフトする人も増えてきました。それどころか、経済的に豊かになったことで「初めて手にする乗り物がバイクではなくクルマ」という人も出てきたのです。
しかし、だからこそ見直される「渋滞した道でもすばやく移動できる」「燃費がよく経済的」といったバイクの価値というものもあります。
かつてのバイクのことは知らないが、機動力や経済性は魅力的。他とはちょっと違った、乗ることを誇れるようなバイクだったら乗ってみたい──。そう考える人にも振り向いてもらえるような高級感と、確かな機能性を備えた、タイにおける「フラッグシップモデル」と呼べるバイクをつくろう。そうすれば、タイの国内はもちろんのこと、古くからスクーター文化があるヨーロッパのお客様にも、スクーターに対して目の肥えた日本のお客様にも楽しんでもらえるはず──。そう考えたのです。
タイのR&Dセンターのスタッフたちは、開発スタッフから生産のスタッフまで、強い意気込みで臨みました。もちろん、口で言うほど簡単なことでないのは、最初からわかっていましたが……。

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