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デザイナーズ・トーク-Honda製品のデザインに込められたこだわり

モンキー

 
ちっちゃさ、かわいさ、シンプルさは「絵」だけでは生み出せない ちっちゃいこと、かわいいこと、シンプルなこと。この3つがなければ「モンキー」ではない。しかし、環境性能を高めるためのモデルチェンジを行うにあたって、これを守りきるには大きな壁があった。 バイクの仲間ではあるが、もはや独立した存在ですらある「モンキー」という乗り物を、これからの時代にも走らせていくために。自らもこの不思議な乗り物に魅せられたデザイナーが「絵」ではなく「現物」のデザインで挑んだ。 (株)本田技術研究所 二輪 R&Dセンター モンキー デザイン担当 西本 晃彦
現場で現物をつくりながら、考える
ここまで来たらスケッチブックに向かって絵を描いたり、数字の上でどのようにパーツを配置するかを考えたりするのではなく、現物を目の前にしながら、設計やテストを担当するスタッフたちとともに、数多くの「現場判断」を下していくことになります。結局、これが一番早いし確実ですから。
複雑になる配線を、どのように取り回して、美しく収めるか。増えてしまったパーツをいかにしてシンプルに配置するか。まさに「あちらを立てればこちらが立たず」の連続で、何よりこの部分が一番大変でした。
従来よりもコンパクトに見えるようにしながらも、従来と変わらない容量を確保できるタンクとはどんなものか?シート下にECUやバッテリーなどを収めてコンパクトにしながらも、誰もが乗っていて疲れないシートにするには?ここも、相当にこだわりましたね。モンキーはこんなに小さなバイクですが、知らない街をのんびり走ったりするようなツーリングに使っても楽しいバイク。だから、航続距離や乗り心地に関係するこれらのデザインは、非常に重要なファクターなのです。
あまり洗練された方法ではありませんが、現物を並べながら、タンクの容量を量りながら、シートに跨りながら、デザインする。これは、Hondaのデザインの伝統です。
そしてデザインしたら、それを3つのキーワードに照らし合わせて判断する。多くのスタッフと協力しあいながら、ギリギリの大きさを狙いました。
「見た目だけ」のデザインには、したくない…
デザイナーの役割は、さらにバイクの走りを決定づけるエンジンまわりのデザインにまで及びます。「走る機能」と「デザイン」を両方満たすことこそ、優れたバイクのデザイン。もちろんエンジンの中身にはタッチできませんが、その性能に関係するパーツのデザインも、もちろんデザイナーの仕事の中に含まれるのです。モンキーもまさしくその一例となりました。
ある日、エンジンのテスト担当から「排気系の取り回しはこうしたい」という試作車での提案がありました。しかし、エキパイを見て驚きました。今までに見たことがないほどの長さです。「新しいエンジンは、過去のモノよりよくなっていて当たり前」という考えには大いに賛同できるのですが、「これが低回転から高回転まで、全域をトルクフルにするためのベストな管長」と言われても、デザインを成立させるのはかなり難しそうです。「えーっ、本当?」というのが、正直なところでした。
でもエンジンのテスト担当だって自信があります。「そんなに言うなら、乗ってみな」とニヤリ。そこで、試作車に何種類かのエキパイを装着して走ってみたところ、「ニヤリ」の意味がわかりました。まるで排気量がアップしたかのようにトルクフルでスムーズ、その性能に思わず顔がほころんでいたと思います。そして、テストコースを周回しているうちに、「このエキパイじゃなきゃイヤだ」とさえ思うようになっていたのです。
「わかった、なんとかする」とだけ返事をしたものの、エキパイの長さを確保しつつ、コンパクトでシンプル、かわいく見えるようにするにはどうすればいいのか……。設計担当とともに頭を抱えました。その結果生まれたのが、エンジンの下でとぐろを巻く、このエキパイ。曲げる位置が少しでも違うと長さが足りなくなったり、オイル交換の作業の妨げになる位置を通過することになってしまったりと、ここでも試行錯誤を繰り返すことになりましたが、これまで苦労してきたことを「見た目だけ」のデザインにしたくない。何より、その想いが強かったですね。ともあれ、新しいモンキーのエンジンは、明らかにこれまでのものよりパワフル。さらに排気ガスもクリーンになって、燃費までよくなっているのですから、本当にやりきってよかったと思っています。
モンキーという世界観
こうして、多くの人と協力しながらモンキーのデザインは完成し、無事30年ぶりのフルモデルチェンジを迎えることとなりました。
モンキーのコンパクトさを印象づけていた、エンジンまわりの「スカスカ感」は増えたパーツによって薄まってしまいましたが、できるだけ各パーツのサイズを抑え、フロントフォークとリアクッションでつくる台形のなかに収めることで、「ギュッ」と凝縮した「コンパクト」「シンプル」「かわいい」を表現できたのではないかと思います。
ずっとバイクに乗り続けている人も、これまでバイクにまったく興味がなかった人も、ぜひ一度この新しいモンキーに触れてみてください。
いつもはバイクのスピード感を楽しんでいるライダーが跨って走り出したとき、「のんびり走るのもいいね」と、バイクの新しい楽しみ方を見いだしてくれたなら。いつもはバイクを気にしない人が目にしたとき、「かわいい!」と思ってもらえたなら。デザイナーとしてこんなに嬉しいことはないですね。
それは、姿カタチだけではなく、「モンキーという独自の世界」をデザインできたことに他ならないですから。
何を隠そう私自身も、かつて仲間がモンキーでほのぼのとツーリングに出かけたり、カスタムをしたりして楽しむ姿を見て、モンキーの世界に魅入られてしまった一人。この新しいモンキーが、新しい仲間たちを連れてきてくれることが、楽しみでならないのです。
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